「誰でも観易いようにまとめてあるなと」グッド・ライ いちばん優しい嘘 yupppiiiさんの映画レビュー(感想・評価)
誰でも観易いようにまとめてあるなと
この作品の大きな題材は“ロストボーイズ”の生き様について。
スーダンで襲撃を受け、両親を亡くし。
異母兄弟で構成された“家族”のみで安全な地を目指して何キロも歩き続ける。
飲み食いもままならず、兄弟のひとりは命を落とし、兵士に遭遇することを怯えて命からがらエチオピアを目指していたが、そこも危険地帯だとしらされて漠然とし…
こんどはケニアを目指すが途中兵士に遭遇し、一緒に移動する難民達や兄弟も殺されたり。
夜を明かした草原の中、目を覚ますとそこにはまさかの兵士がいて、家族を守る為に一番のリーダーである兄が囚われたり…
絶望的な中、ようやく難民キャンプに辿り着く。
今までに比べたら安全で、飲食もできとても良い暮らしだった。でも何も変わらず何年も経ったある時。
アメリカの難民受け入れプログラムが始まり、その家族は渡米できることに。
難民キャンプは良い暮らしだったが、新たな夢の国にみんな意気揚々夢を膨らませていた。
でも、いざ暮らしてみると“豊かだけどからっぽ”だった。アフリカが恋しいと思うようにもなる。
食べる物に困り、でも“生きる為に”と排尿を飲んで凌いでいた自分が、期限切れの綺麗な食品を毎日大量に廃棄しなければならないのはあまりに酷だ。
彼らはとても心が綺麗で、思いやり、感謝の気持ちも大切にしていて、今現代人に欠けているものを当たり前のように示してくるところに私は胸を打たれた。
なぜ『グッド・ライ』をついて、元リーダーであったテオを自分と引き換えに渡米させてあげたか。
大切な家族が、背中にひどい傷を負っている間、自分たちは良い思いをしていたこと。自分の身代わりに兵士に囚われてくれた恩…沢山の思いと思いやりの結果だろう。
豊かな生活を一度経験してしまうと、それを落とすのは覚悟が必要だ。でも、そんなことよりも家族を想う気持ちが強かったのだから。
あんまり良いレビューもないようだけれど、こういう題材だと目を背けたくなったり、観ようとしない人も多いと思う。でもそんな人にも観易く上手くまとめてあるなぁ、と私は思った。すごく良い作品だったと思う。