「お栄も、杉浦日向子も江戸の華」百日紅 Miss HOKUSAI きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
お栄も、杉浦日向子も江戸の華
HOKUSAIを鑑賞して、
その娘お栄にとても興味が湧きました。
検索してみると、彼女の遺した作品には驚愕させられます。腰を抜かします。
花魁も、吉原の町並みも、枕絵も。
目を見張るほどに肉感的です。
父北斎の作風とは異次元の絵描きです。
一緒に暮らしていて、変った絵を描き始めた娘を、奔放人の父親は咎めなかった事も、そこも面白い。
日本の「浮世絵」は、その画風と形式が、欧州の画家たちの目を奪ったことはよく知られているけれど、
逆に お栄がヨーロッパの油絵に触れた機会があったのではないかなと想像させる、肉感的な筆遣いなのでね。
そして「黒」の使い方が凄い。
レンブラントの名前を出した人もいるくらいです。
原作者は、
杉浦日向子さん。
彼女の語る「江戸の風物詩」と「庶民の情緒」は、いつもトラックを運転しながらラジオ深夜便で拝聴していました。
こうしてご著作がアニメーションになっていたのですね。
残念ながらアニメーションとしての出来は質が低い。風景は佳いが、人物が ( クレヨンシンチャン並み)。
だからこそ、ラストのタイトルバックに小さく「吉原格子先之図」をば申し訳程度に貼り付けるのではなく、
その逸品を、たくさん、大画面で映して、お栄の真筆で観客を圧倒させてもらいたかったです。
劇中、実際の作品ではなく、象徴的に用いられたイメージ画でしたが「 妹 お猶が、見えない目で金魚のたらい桶を覗き込む庭先の図」が、アニメ全体の頂点。
行方不明になって没年も分からないというお栄と、お栄に夢中になった早世の作家杉浦日向子と。
橋を渡った彼女たち。
江戸の花火のように、そして江戸の火事の炎のように、女たちの命は咲き誇りましたね。
今晩は。コメント有難うございます。
既に連休疲れしているNOBUです。あと、7日間何しよう・・。(ぶん殴られそう。)
杉浦日向子さん、早逝されてしまいましたが、漫画もエッセイも一級品だと思っているので妻の断捨離攻撃の際も死守しましたよ。
お栄さんは、私は良く知らないのですが、凄い人なんですね。有難うございました。では。良き連休をお過ごしください。