「懐かしの現代版コンバット?」フューリー kita-kituneさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしの現代版コンバット?
一部加除訂正
ドイツ軍の負けっぷりが昔ながらのアメリカ戦争映画風で痛い。
単にドイツ軍が負けるからと言えなくもないが(悪の枢軸たる、ドイツ軍、日本軍が負けるのは、何故か心の奥底ではがっかりしてしまう)、正直、かつてのアメリカ戦争映画と同じく、ドイツ軍がふがいなさすぎる。
いくつか列挙すると
・終戦間際と言う時点で、既に見る側に緊迫感が湧いてこない(1945/4じゃ、もう戦勝ムードじゃないの?)。
・ドイツ軍の恐怖を謳いながら、いざ戦闘が始まると、ドイツ軍の弾が当たらない。見ていてまず、何でドイツ軍の弾が当たらないんだと心の中で叫んでしまった。
・平原をのうのうと走行するM4ごとき、茂みに隠れたPAK40対戦車砲なら訳なく撃破できそうな。逆に茂みに隠れるPAK40の拠点になぜM4が正確に照準できるのか?
・新兵が敵を発見しつつ見逃した部分は、まぁ予想された展開。ベテランなら側面に茂みが接近すれば、まずそこを警戒するだろうに不自然。新米の部隊長を消すための演出が見え見え。
・対タイガー戦は、本来ならわざわざタイガー側が進撃せずとも黙って全車撃ち取れそうな気も。バルジ大作戦並みに腹立たしいシーン(バルジも子供心ながらに納得しがたい負けっぷり)。また、歩兵を随伴もさせず、単独で行動するのに違和感(ドイツから見れば迎撃戦なので、待ち伏せしてアウトレンジで撃破するのがセオリーのはず)。
・ラストも、動かない戦車ごときに精強な?SSが弱すぎ、バカすぎ。本来なら、パンツァーファストがあれば、2~3発当てれば沈黙して終わりだろうに。
・戦車は確かに強いかもしれないが、単独だと死角が多くてそれなりの対戦車兵器を持つ歩兵に群がられるとむしろ弱いはず。
・見せ場らしい?新兵と少女とのエピソードは感動すべきところなのだろうが、あざとさが見て取れて、むしろシラけてしまった。
見終えて思ったのは
・ナチス憎しで見るなら「戦場のピアニスト」
・M4対タイガーならやっぱり「戦略大作戦」
・ストーリーと鬼軍曹なら「戦争のはらわた」スタイナー軍曹
・戦場の恐怖、SS憎しなら「プライベートライアン」
本作の場合、映像、音響はすばらしいものを感ずるが、
・演出があざとい、あるいは既視感があって今ひとつ乗れない
・ドイツ軍の負けっぷりがかつてのアメリカ映画
で、個人的には、スケールは大きいが大味な「遠すぎた橋」にやや近いランク。
全く内容を覚えていない「シンレッドライン」よりはマシか。
立派な造りながら、琴線に触れる部分が少なく、淡々と見て終わり。
対戦車地雷のシーンはびっくりさせられたが・・・
申しわけないけど救護所でのブービートラップは少し期待した。
雰囲気として(「プライベートライアン」+「戦争のはらわた」+「戦略大作戦」)÷30 くらい?
ただ、M4シャーマンのクルーの視点としては上手く描かれており、クルーたちの恐怖を体現できる良い映画♪と言えなくもない。
個々の映像は確かにどの戦争映画にも負けないとは思うが・・・・・・・・
あと数回はスクリーンで見たいと考えているが、バカバカしいほどのドイツ軍の負けっぷりにはフォーカスせず、「できた動画」として楽しみたい。
戦闘シーンの部分部分を見ると、SSも善戦している風ではある。
戦争をカッコいいと思って見ちゃいけませぬ・・・とは散々教わってはいるが、コンバット世代、WWⅡ戦記ブームをまともに受けた世代(ハダシのゲンはリアルタイム、神風特攻等の劇画本が子供向けに存在していた時代)としては、ひとつひとつの画はなかなか良いと思えた。
新兵の成長の物語として見るのが本来なのだろうが。
本作が過去作に取って代わられることはないと考える。
本音を言えばやっぱ「タイガー戦車」視点で見たいよねぇ・・・・悲壮感で言えば「Ⅳ号戦車」、「Ⅲ号突撃砲」視点とか。
望めないのは分かっているけど。
ただ、反戦を気取って観る映画ではないのは確か。
戦車を借りたブラピ万歳映画と言えるかも。
ブラピ&パンツァー?
(当方、ガールズ&パンツァーにはついて行けないオジサン世代)