「親の心。子の心。」トワイライト ささらさや ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
親の心。子の心。
原作の内容は知らなかったが、宣伝から大体見当はつく。
これは…ダメだな、泣いちゃうな。とまず思った。
私的な感情を含めず映画を観るのは大概難しい。
そう思って観に行ったのに、観終えてみたら予想と違った。
ささらさや、というタイトルのように、そよ風が流れて
いるかのように笑いと泣きが交互に訪れて明るく軽やか。
夫に急逝された妻子がどんな運命を辿るか、その苦労を
想像するところだが、物語はそちらへズームしていかない。
大泉洋のキャラクターもあって「バカだねぇ」の台詞が流れる
冒頭から、ややミステリー調の笑いが続いていく。
人を疑うことを知らない妻が心配で心配で…と亡夫はいうが、
子供を産んだ母親ほど強い者はない。うら若き新垣結衣でさえ、
しっかり母親になっている。こんな時頼りないのは夫の方だろう、
なんて思っていたら、本当にそういう話だった^^; あらまー。
亡夫が憎んでいた実父との関係がポイントになってくるが、
大泉演じるユウタロウが(おそらく)誤解してきた当時の記憶が
後半、父親の回想となって流れるところでは感極まってしまう。
可愛くて仕方ない息子への想いは、何も変わりがなかった。
母親には分からない、父親側の愛情がテーマだったのか。と、
まさかと思う場面で泣かされる観客の方が狐に抓まれた思い。
だけど、そうだよなぁ…と思う。もしも自分が死ぬ前に一度だけ、
もう一度だけ、果たせる夢があったらとユウタロウに共感する。
(あ、いけない。もう死んでるんだった。)
様々な人に憑依しては笑いの渦が巻き起こるが、やはり出色は、
あの子供!「じじい、ばばあときて、今度は子供だよ」に笑った。
ちっちゃい手で、カウンターを、バン!って叩くところも可愛い。
大泉洋に一番似ていたのは中村蒼。ビデオで研究したらしいが、
動きも台詞も大泉か?と思うほどよく似ていた。特に背中の演技。
死んでしまった彼が手助けする名作といえば「ゴースト」があるが、
目的を果たしたら魂は旅立っていく。やはり別れはやってくるのだ。
運命は残酷だと思う反面、不幸の次には何か齎すのも事実である。
(ささら町の撮影方法がユニーク。ミニチュアにしか見えなかった^^;)