「気づかせてくれる映画」トワイライト ささらさや umeさんの映画レビュー(感想・評価)
気づかせてくれる映画
つい最近、家族みたいにずっと一緒に居た友人が事故で亡くなりました。その友人も結婚して子供が産まれたばかりでした。だからどうしても大泉洋(ユウタロウ)と重ねてしまい、ユウタロウの台詞全てが友人の言葉のように感じ、残された妻やユウタロウの父までにも感情移入してしまいました。
他のレビューで、父は罪を償わなければならないだとか、散々放っておいてバカもんは理不尽だとか、ユウタロウの父親にいいイメージを持っていない人が多い印象なのですが、私は違うと思います。
確かに母が病気で入院している時、父は仕事ばかりでお見舞いに行かなかったけど、行かなかったのではなくて行けなかったんだろうなと思いました。
それは仕事が忙しいからとかではなくて、たぶんあの父親は不器用な人だから、一生懸命仕事をしてお金を稼ぐことが精一杯の愛情表現なんだと思います。
ユウタロウの事も妻のこともちゃんと愛していた。
もちろん父を責めてしまったユウタロウの気持ちも分かります。
だけど、妻を失って息子にまで拒絶され、先立たれた父親の気持ちを思うと悲しくて涙が止まりませんでした。
そう思うと、映画の冒頭では悪者に見えた父親が孫を取り上げようと電話で「俺にはその子しか居ない」と言っていたのも切ないセリフに聞こえました。
そして最後のシーンは特に
ユウタロウがどれだけ愛されていたかわかるシーンでした。どれだけ拒絶されても愛おしかった子供に先立たれた父の気持ちが痛いほど良く分かりました。
そして、もう会えなくなってから父の思いに気付いたユウタロウの気持ちも切なかった。
当たり前に隣にいた存在がある日急に居なくなる。
なかなか簡単に受け入れられる事ではないのに、息子のゆうすけを当たり前のように育て、愛し続ける母はやっぱり強いなと思いました。
目に見える行動だけを見るのではなく、その裏に秘めた気持ちを汲み取ってあげられる人間になりたいです。
当たり前こそ大切にしようと思わせてくれたこの映画、友人に感謝しています。