「冗長」悼む人 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
冗長
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「死者を悼む」行為が、宗教観無しで表現できるのは世界中でも日本だけしかないであろうと思えた。静人自身も確固たる信念や決め事も無く、「あなたが生きていたことを、僕は覚えておきます」と呟くその姿は、差し詰め何かの開祖にでもなり得るのか、としか見られない自分を恥じる、そんなデトックス効果のある映画です。
しかし、あそこまで聖人足りえる静人が、倖世に対してあーゆー行動に出るのは、元々そこまで聖人ではないにしても、ちょっと残念。しかもそのシーンが無駄に長い。要らない。
「悼む」という行為自体に答えはなく、この作品も結論は出さない話だが、物凄く刺さった台詞がある。
静人の母が、蒔野が終盤に訪ねて来た時の台詞で、
「私の愛する人には、いっぱい人を好きになってほしい」
これがこの映画の大命題なのではないかと思う。
死んでいった人には、愛する人も愛される人もいた。その中でその人は間違いなく生きていた。その事実が大事だ、という事。死んでも倖世に付きまとう甲水は、倖世が愛した甲水であって彼自身ではない。でも彼女は確かに彼を愛していた。彼も彼女を愛していた。
殴り殺された高校生は、確かに両親に愛されていた事。
全ての人が、愛し愛される誰かのなかで生きていた。その事実を忘れたくない、と思う静人に胸が熱くなる。
そもそもで言えば、この話は映画にするには難しすぎる。
アニメでも微妙かな。
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