「最高傑作。この言葉を初めて使います。」ショート・ターム ARC監督/脚本 篠原隼士さんの映画レビュー(感想・評価)
最高傑作。この言葉を初めて使います。
最高傑作。
ブリー・ラーソンは笑顔にならない。仕事をする行為に楽しさもない、辞めたい。そんな表情をしている彼女からは悩みや苦しみが滲み出る。
ただ、彼女の言葉の温度からは守りたい。信念がある仕事をしている。突き進むだけ突き進もう。そんな温度を感じ取れる。が、未来がない。
未来を信じていない、もう表情からは何ひとつ希望も感じることのできない子どもたち。ショートタームでは本当に心を開ける人なんていない。
彼らをスクリーン越しに見つめる我々も、どうすればいいのか分からない。
ショートタームに研修でやってくるネイトと共に私達もショートタームに突入することができる。しかし、そこで見せつけられるのはとてつもない現実と痛み。どうしよう?そんな顔をするネイトと私達は同じなのかもしれない。
ショートタームでおきる出来事を見事に一つずつ且つ繊細に時に美しく、荒々しく描いたこの映画。ケイトリン・デヴァーのピカイチの存在感と、心の奥心の奥を見逃さず徹底的に現実と映画を見せつけたデスティン・クレットン監督。
この映画のために最高傑作という言葉があったのかー。
感動でおきる泪ではない泪が出る。
これは僕の人生の中で最も大切な映画。
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