劇場公開日 2014年11月15日

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「いい作品だと思う」ショート・ターム R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 いい作品だと思う

2025年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この作品は、ティーンエイジャーを預かる短期保護施設(ショート・ターム)での日常と、そこに入る子ども そして面倒を見るだけのスタッフの交流を描いている。
セラピストでもない彼らの仕事は、寄り添うだけ。
しかし、この寄り添うというのがこの物語の肝なのだろう。
ショートタームとは短期 その施設の第12号棟での物語がこの作品
そもそもなのだが、
主人公グレイスの過去と共感と手助けしたい思いが、この職に就かせたのだろう。
彼女の過去 父による性的虐待とそのことそのものが彼女をトラウマの渦へと導く。
グレイスにとっての過去と、それを現状として抱え込んだこの施設へ来たジェイデン
放っておけるはずはなかった。
そんな奴はbハットで殴り殺しても問題はない。
しかし、ジェイデンの悩みはもう少し穏やかだったのだろう。
そのバットで父の車の窓を壊すだけで十分だった。
ただ、
自分に共感してくれたグレイスの心意気に、信じてもいい人がこの世界に入るとジェイデンは感じたのだろう。
「いい母親になれるよ」
このひとことが、グレイスの心を救った。
父に妊娠させられた事実とその事を恋人の間にも持ち込んでしまうトラウマ
汚れとか汚らわしい行為と想い出と事実と過去とそれ自体が全て許せなくなってしまう。
この物語は、
現在何らかの問題を抱えてしまった子供たちに寄り添うスタッフの日常だが、寄り添うことで本音は本心が見える。
それ自身、自分が持ってしまったトラウマとの葛藤
何もかも捨てって逃げ出したくなる衝動を持った子供たち
同じような境遇にどうしても共感して何とかしてあげたくなる衝動は、人間としての正しい在り方のような気がした。
本気
本気で何とかしたいと思う気持ち
その気持ちが透けて見えるほどよくわかる子どもたち
だから、この寄り添うという概念がどれだけ必要なことなのかを物語を通して我々に教えてくれるのだろう。
作り話でも、作り話なんかじゃない。
その本気度が良く伝わってきた。
いい作品だったと思う。

R41