「予想は覆らず」砂上の法廷 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
予想は覆らず
法廷サスペンスはどんでん返しや衝撃の真実が付き物。なので見る側は、ある程度あれこれ予測する。
本作の場合は…
大物弁護士のブーンが自宅で殺され、容疑者に上がったのは息子マイク。彼らと親しい弁護士リチャードがマイクの弁護をするも、マイクは終始無言を貫き、不利な証言の数々でマイクの有罪濃厚。が、ブーンの妻ロレッタへのDV疑惑で徐々に風向きが変わる中、無言を貫いていたマイクが遂に口を開く…。
マイクは何を語るのか…? 語られた真実とは…。
この場合推測出来るのは、ブーンを殺したのはロレッタで、自身も父から性的虐待を受けていたマイクが庇っているとか。
キアヌ・リーヴスとレニー・ゼルウィガーの二大スターを配しているので、弁護士と妻の間に関係があるとか。
いや、そんな安直ではないだろう。もっと予想を超えてくるに違いない。監督は『フローズン・リバー』でアカデミー脚本賞にノミネートされた実績のあるコートニー・ハントだし。
“判決(結末)”の行方は…?
ところが、予想を覆すほどのものではなかった。
父から性的虐待を受けていたのは嘘。母が父を殺し、それを庇おうとしたのは本当。
が、ある“証拠”からマイクは全ての真相に気付く。
リチャードと母が不倫関係にあり、その発覚を恐れ殺害を企てたのが真相。
自分の担当弁護士こそ真犯人だった…!
まあ確かにどんでん返しや衝撃の真実としては悪くないが、先にうっすらそんな予想を立てていたので、期待以上の驚きはなかった。
作品も決してつまらない事はないが、そのまんまかいな!
リチャードもマイクもロレッタも証人も皆、嘘を付いている。
リチャードの助手の女性弁護士が嘘を見破るのに長けているが、ちとそれらの設定を活かせなかった気がする。
助手が嘘に感付くが、リチャードを問い詰めるのは結局マイク役回りだし、他の人物も保身の為とは言え何故嘘を付くのか、ちと腑に落ちなかった。
突如降板したダニエル・クレイグの代役のキアヌ。だからなのか、あまり役に合ってなかったような…。やっぱりキアヌもアクション派かな。
すっぴんノーメイクだったのか。当初レニーとは気付かなかった。こちらの方こそ衝撃!