イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密のレビュー・感想・評価
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想いはシンプルなのに。
政府によってその存在を50年間以上も隠されていた天才数学者、
アラン・チューリングの人生を描くドラマ。
人間が手計算を行ったらその解読に2000万年の時間を要すると言われるエニグマの暗号を
コンピューターの先駆となるマシンの発明により読み解いたチューリング。
しかし、解読している事を隠す為、一部を救い、他を見殺しにするという選択を取っていた。
この行いに正義を感じる事も、同意をする事も到底出来る事ではないが、
彼が見ていたのは目先ではなく、もっと遥か遠くだったのだなと思わされる。
孤独で、絶望的な選択を迫られる人生。
しかも当時は同性愛に対する理解など無かったから、相当に辛い日々を送ったのだろう。最後の決断に痛み入る。
カンバーバッチ氏の高い演技力が終始光る作品だった。深く重く、そして悲しい。
色々難しい言葉は出てくるが、彼の望みはいたってシンプルで、「大好きな友達に傍にいて欲しかった」。
これが分かった時、涙が止まらなくなりました。
天才の思考
頭がいいって、大変だな、と思う。
会話の中で、含んだ表現を理解できないところが面白かった。
とても日本人とは、付き合えないだろうな、と。
とくにこれといった凄い演出なんかは
無いように思うし、
すごい盛り上がりがあるわけでもないけど、
見ていて飽きることはなかった。
カンバーバッチは良かったと思う。
史実であることの凄さが勝る。
天才
暗号キーに気づいてクリストファーの動作が静止した時はしびれました。
天才は変わってるというけど死に方が可哀相だったな。
現代に生まれていたら死なずに済んだろうに、でも彼がその時代に生まれからこそ1400万以上の命が救われたんだろう。
歴史の巡り合わせというか運命的なものも感じるけど凄いと同時に哀れにも感じた作品でした。
不世出の天才の孤独
打倒エニグマを掲げる天才数学者アラン・チューリングの活躍を描く話でもあるが、その実は、LGBTである彼の苦悩と孤独にフォーカスした映画。
若かりし頃死んでしまった恋しい人の名を、暗号解読機に投影した積年の想い。
カンバーバッチがオスカーにノミネートされた理由が、納得できる演技。
人を見下し協調性に欠くアランだが、女性を蔑視せず才能で評価するなど、常識にとらわれない考え方をする。そんな彼と心を通わす同僚の女性、ジョーン。
両親に結婚退職を勧められるジョーンを手放したくないがため、アランは偽装結婚をする。ジョーンはアランがゲイであることに薄々気がついていながらも結婚を承諾したし、同僚ジョンもそれを察知しつつ彼を陰ながら見守るなど、理解者はなきにしもあらず、彼らを守るためにアランはそれらを手放さざるを得なかった。
同姓愛であるだけで逮捕されてしまう第二次世界大戦後の社会。 イギリスの負の側面、知られざる歴史を見た気がする。
密告を恐れ、嘘の刃を自分に向けながら心の血を流してきた不世出の天才の姿に涙した。
解読後の残酷な日々
暗号を解読した事そのものが機密事項で、解読がバレないよう解読情報は一部だけ活用して他は見殺しにする。活用した解読情報には偽の情報入手経路を用意してドイツ軍に流す。味方の陸海空軍にも解読の事実は伏せられ、戦後も長い間機密事項となる。
確かに、暗号を解読したことがバレれば暗号を変えられてしまう。暗号の解読に成功してから終戦まで、日々大量の暗号を解読しそして味方を見捨てていく。解読すれば戦争に勝てるという希望から一転、日々誰かを見殺しにしていく残酷な時間。
映画を見るまでは、暗号解読後に待ち受ける残酷な現実について考えもしなかった。
オーソドックス
これを映画館で観た時は、画作り音楽その他が非常にオーソドックスで、まるでBBCの古いドラマを見ているようだと思った。キャスト、題材からして、もうちょっと違う雰囲気を期待していたので、ふーん普通だなあと思った。
でも、最近ケーブルテレビで放映しているのを何気なく観てたら、ものすごく引き込まれた。泣きそうになった。
アラン・チューリングは、異端の人だ。同性愛が異端という訳では勿論なく、その才能、その功績が異端だ。普通の人には見えない地平の先が見えていて、それを利用する人ばかりで理解してくれる人は少なくて、ものすごく孤独だっただろう。
そして、普通の人には理解しづらい異端の人の孤独を、我々観客…普通の人にわからせるにはオーソドックスな作劇が必要だったんだなあと、あらためて思った。
異端にみえる主人公も、実は一人の人間を深く愛した普通の人だったんだ…という締め方も、この映画に合ってたなあと思った。
英雄扱いされていないのが良い
アラン・チューリングは 20 世紀の英国を代表する天才数学者で,ケンブリッジ大の教授を務め,「一度に非常に単純な作業しかできない機械でも,作業をステップ化し,ステップの順序を工夫して複雑化すれば,ほとんどの問題を解くことができる」という現代のディジタルコンピュータの基礎理論を打ち立てたことで知られ,そのプロトタイプとして知られる装置「チューリング・マシン」に名前を残している。第2次大戦中は英国諜報局でドイツのエニグマ暗号の解読装置の開発に携わり,「ボンベ」と言われるモータ式の解読装置を完成させ,人間が手計算で行った場合 2000 万年以上かかると言われた当時最強の暗号の解読に成功している。
と書いてしまうと,数学やコンピュータ分野での偉人伝に過ぎないのではと思われるかも知れないが,彼のエピソードで非常に大きな問題は,彼が同性愛者であったことで,これが物語のもう1本の柱になっている。同性愛を禁じる法律は,古くは紀元前の古代アッシリアの法典に見られるほど歴史が古く,イギリスでは 1967 年に合法化されるまで違法行為とされ,19 世紀半ばまでは死刑に処せられるほどの重罪であった。イギリスでは 2014 年に同性婚を認めるまでに社会体制が変化しているが,他国,特にイスラム教国の多くなどでは未だに同性愛者には死刑が行われている。
仏教では僧侶に女犯を禁じていたが,男については記述がなかったために,弘法大師空海の頃から蔓延したとされている。仏教の戒律を作った人物は,まさか男を相手にという想定がなかったために書かなかったのだろうが,規則を作る者が想定せずに書かなかった事項を,ダメと書いてないのだから良いという理屈で行うというのは,まるで豚レバーの生食や,イスラム教徒の喫煙と類似した事象であろう。ムハンマドがコーランを記述した時代は,コロンブスの新大陸発見の遥か以前であり,コロンブスが持ち帰った喫煙という嗜好は,それまでの西欧や中東には存在しないものだったからである。いかに厳しい戒律を強いた教祖であろうと,存在しないものを禁じることができないのは当然である。
我が国では歴史的に寺社が教育を行っていた時期が長く,特に戦国大名の子弟は幼児期より寺に預けられることが多かったため,上杉謙信,武田信玄,織田信長などをはじめほとんどの者がその洗礼を受けており,そのケが皆無だったのは百姓上がりの秀吉くらいのものだったらしいという風土がある。このため我が国は世界的に見て異常なほど同性愛に寛容であり,現在も TV 番組等には多くのゲイ能人が出演しているが,未だに同性婚を法律で認めるには至っていない。私は全くそのケがないので,同性愛者の心情は図りかねるが,立場を逆転させて推察してみると,例えば女は禁止だから男だけ相手にしろとか言われてしまっても,それに従うのは容易ではあるまい。まして,犯罪とされていた時代に相思相愛の同性愛の相手を見つけるのは至難の技であっただろうし,そのかけがえのない相手との別れは,男女の分かれとは桁違いの喪失感を味わわされたに違いないと推察できる。
歴史的人物で同性愛者として知られる人物も多い。推測の域を出ない者もあるが,ダ・ヴィンチ,ミケランジェロ,カラヴァッジョ,音楽家には特に多く,ヘンデル,チャイコフスキー,ラヴェル,ブリテンなどが良く知られている。発覚すれば当然重罪になるので,各自巧妙に隠し通したのであろうが,チャイコフスキーは迂闊にも旅先で相手と腕を組んで撮った写真などを残してしまっている。この中で,ブリテンはチューリングより1歳若いだけの同世代であり,名テノール歌手のピーター・ピアーズと実質的には同性婚と見なされる共同生活を送っていたが,生前に発覚することはなかったのに対し,チューリングは男娼を買ったことが発覚したため,化学療法として女性ホルモン注射を定期的に受けさせられるという全く無意味な処分を受けて体調を崩し,大学もクビになっている。これが彼の晩年を非常に暗く覆ってしまっているのだが,この映画は美化することなくそれらを描写している。
エニグマ暗号を解くまでの部分が特に見応えがある訳だが,解いたからと言ってすぐにドイツ軍の作戦の先回りをして勝利してしまうと,敵に暗号が破られたのを察知されて暗号を変えられてしまう恐れがある。解読できた暗号の運用のほうが難しいというのも非常に納得できる話で,そのためにチーム内に軋轢が生じるという流れは,実に良くできていた。暗号解読チームに KGB のスパイがいたことなども含め,この映画で描かれている物語は,ほとんどそのまま史実だというのが凄いと思う。
惜しいと思ったのは,チューリングをあまりに変人として描き過ぎているところである。巨額の予算を要する国家プロジェクトをチームで遂行するには,何より互いのコミュニケーションが重要であり,意思疎通を欠くようなリーダーの下ではどんなことでも成功するはずがなく,実際,実在のチューリングはがっしりした体型で,話は機知に富んで面白かったというので,コミュニケーション障害のように描くのはどうかと思った。だが,こうした傾向はこの映画だけではなく,ハリウッド映画で描かれてしまうと,何か天才的なことをする人物は必ず皆変人にされてしまうのは避けられないので,今のところ泣き寝入りしかないようである。また,ホンの触りだけでも装置の原理など説明して欲しかったのだが,全く説明がなかったのが理系の人間として非常に悲しかった。
役者は何と言っても主演のカンバーバッチが素晴らしかった。シェイクスピア劇という伝統を持つイギリスの役者は,まず外れがないが,彼の存在感の見事さは特筆ものだと思う。物語中で刑事が絡むシーンが無駄に長いのも残念だったが,チューリング・テストを行うシーンは,かつての名画「ブレード・ランナー」や「アマデウス」をリスペクトしたのか,名シーンを彷彿とさせていたのが印象的であった。音楽は「英国王のスピーチ」や「アルゴ」のアレクサンドル・デスプラで,この作品でも非常に叙情的で素晴らしい音楽を書いていた。
(映像5+脚本4+役者5+音楽5+演出4)×4= 92 点。
コンピューター
天才数学者が挑む、世界最高峰の謎、二次対戦下のドイツの暗号エニグマの解読。
これだけで十分引き込まれる。
それから彼の周辺...天才肌ゆえに、誰にも相容れない孤独、暴力への猜疑、やりがいはあっても結果が出せない仕事。
そんな日常が変化していく。
彼が辞めさせられそうになったときの仲間の対応なんかもう。。。泣きそうになったね。
彼のカミングアウトとか、こいつがスパイかと思ったら えぇ?!って展開とか、全く飽きない展開に終始ハラハラ。
またすごいのが、これが実話だってとこ。暗号解読のパターンを計算するための自動演算機が、今のコンピューターの基礎だとは!飛行機やダイナマイトのように、戦争とは違う目的で作られたものが人殺しに使用されることもあれば、逆も然りってことか。
私的には そのラストシーンが総毛立った。私達が今、使ってるパソコンが。。。またその名前がクリストファーって もう。。。
すごい私好みの映画でした。
○○じゃなかったら。
天才は奇行が多いのか?
時代が違ったら。戦争がなかったら。彼女がいなかったら。
すべての事が必然なのか偶然なのか、なにかに夢中になる人は純粋すぎて、だから何かを成し遂げるのか?
いろんなストーリーがあって、おもしろかった。
●史実の残酷さと切なさと。
アラン・チューリング。ドイツ軍が誇る難攻不落の暗号エニグマを解読。そして、現在のコンピューターの基礎を作った人物。
彼は、とてつもない偉業を残しているが一般的には知られていない。大戦終結後の冷戦下でも暗号解読はトップシークレットだったからだ。
何も考えないと、それでもエニグマ解読で大戦の終結が2年は早まったと言われているのに・・と思ってしまう。解読した後のことは物語で明らかにされる。深い。そして不運なチューリングの運命も。
ドキュメンタリーもの、ましてや知られざる偉人の物語は大好きだ。しかし、史実に忠実に描くと、なんというか身も蓋もない。
かといって、脚色しすぎると、それはそれで興ざめで。このへんのバランスが難しい。本作は、もう少しメリハリがあってもよかったかなと。
切なさはピカイチなんだけど。
なお、実際の彼はカタブツではなく話好きだったとも。ただ、一方でアスペルガー症候群の気があったとも言われているが、ブレッチリー・パークで変人で通っていたことはホントらしい。
また、同性愛に対する偏見を題材にした映画も増えているが、本作ではあまり重要なポイントにはなっていない。ただ現実の世界では、近年になって、チューリングに大英帝国勲章が授けられたり、ブラウン首相が謝罪したり、恩赦されたり、各地に銅像や記念碑が建てられたりと、さまざまな名誉回復が行われている。だが、政府の言いなりにしたことへの謝罪ではなく、偏見への謝罪にすり替えられている気がする。
しかも、いずれも彼の死後の名誉回復だ。「時に想像し得ない人物が、想像もつかない偉業を成し遂げるものだ」このセリフが重く切ない。想像もつかない苦悩だっただろう。
以下、蛇足。
チューリングが自殺したときにベッドの横には、かじりかけのりんごがあったという。映画『白雪姫』を見た彼が「魔法の秘薬にリンゴをつけよう。永遠なる眠りがしみこむように」と言ったのを同僚が聞いており、白雪姫を真似たともいわれる。
さらに、アップル社のロゴのりんごは,右半分がかじられている。これは記憶容量の単位「バイト」と「かじる(bite)」と引っ掛けたもの。だが、一説によれば、実はチューリングがかじったとも。そして、このロゴには、誰がチューリングを殺したのか暗号で記されているとも(かじった跡が小文字の「a」)。
アスペルガーが魅力的
数学者アランチューリングが第二次世界大戦中に、イギリスの秘密任務に就き、スーパーコンピュータのような解読装置を開発して、ドイツ軍の暗号エニグマ解読に奔走する話。
今回もマイペースな主人公役のカンバーバッチ。アランチューリングはどこからどう見てもアスペルガーでとても生き辛そうだが、発達障害は周囲の理解の有無で大きく変わるというのを物語るような内容。おまけにゲイでも、キーラナイトレイ演じる賢い女性のサポートや、理解してくれる貴重な仲間を得られた。
本筋の暗号解読では、長い試行錯誤の末に解読に見事成功するも、ここぞという時まで、ドイツ軍の小さな軍事作戦は見過ごし(と言っても数百人の旅客船など)、大義のノルマンディー等に解読成果を活かしていたのが考え深かった。007は出てこないものの、mi6の洗練されたスパイが、解読組の中のロシアとの二重スパイを泳がせていたり、何重もの秘密作戦が行き交っていて面白かった。
最近の洋画はカンバーバッチが出ていれば絶対に面白いと目安になる。彼が作品を選んでいるからか、その作品が彼で面白くなるのかわからないけれど、この作品もとても引き込まれた。
エニグマ
映画館で予告を見たときから気になっていて、
結局家で見ました。
天才と言われる人の映画は大抵面白いですね!
本当にエニグマの暗号が解明されたときは、あんな感じだったんでしょうか?
わくわくしました。
ラストシーンは少し悲しかったですが、面白かったです。
数十年も明かされなかった重要な真実
スリリングに展開する、伝記であり、隠された重要な歴史的真実を明かす映画。チューリング の数学的、論理学的、技術的、哲学的な業績は広く知られています。エニグマ暗号解読もその事は広く知られていますが、実際にどう貢献したのか、その秘密裏の活動がもたらした苦悩まではあまり知られていません。多くの命に関わることとなった天才数学者のことをもっと知るべきですし、そのために最適な映画。数々の苦労と失敗の末、プロジェクト中止が迫る中、エニグマ暗号が機械式自動解読機にかけられ、その動作が止まって解読成功となる瞬間は鳥肌が立ちました。しかし、これが終幕ではなく、むしろ何倍もの苦悩の始まりという展開には目を見張りました。かつての国家による、同性愛に対する恐ろしい対処についても、この映画では描かれており、天才であり影の英雄の不幸がより際立って胸が苦しくなります。
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