「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」ビッグ・アイズ シャイニングチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ
実在の事件に対する視点や表現がとてもイケメンな映画でした。
「シザーハンズ」しか見たこと無いくせに心のどこかで
ティム・バートンはオタクなので女性を必要以上にいじめたり
適当に描く監督に違いないと勝手に思い込んでいた私ですが、
大ハズレでした。
誤解してました本当にすみません。
冒頭の住宅街や自然の景色などに顕著な、
見たことがあるようで計算された感が強い映像。
その中でとても丁寧に、ヒロインが真綿でジワジワと締め付けられるように
追い詰められていく過程が描かれます。
中には色々な問題が含まれていて…
男性優位のこの社会での女性の生きづらさ。
シングルマザーに対する世間の風当り。
夫婦間のモラルハラスメント。
クリエイターの口下手問題。
芸術とは何か?
表現とは何か?
これらの要素が複雑にからまり蓄積されて苦しめられるわけですが、
ヒロインが視覚的に追い詰められるシーンは終盤の一シーンのみです。
それに至るまでの(視覚的には)地味ぃーな悲しみや苦しみ、寂しさを
ちゃんと丁寧に描いてくれている。
特に女性の真綿でジワジワ締め付けられるような生きづらさを
男性の監督がこんなに繊細に拾ってくれるなんて
心底驚きです。
その心意気がイケメンです。
絵のインパクトが凄いですから、
逆にゴテゴテの過剰演出も可能な題材だったはずですが、
そういったシーンが無いのも絵への敬意を感じて
ステキだと思いましたし…
ヒロインに対する視点も過剰に肩入れせず、
だけど優しく背中を押してくれる感じが実にスマート!
なんかやっぱりイケメンです。
前述したように計算された感の強い映像も
観客をおもてなししてる感が強くてそこもまたイケメンです。
うっかり画像検索した監督が
半ば本気でイケメンに見えてきてしまい、
今ちょっとうろたえています。
あとあと、
主演のエイミー・アダムスの演技がすんばらしいです。
美人なのに絶世の美女でも、もんの凄く可愛いわけでも無いところもいい。
でもそこらへんにいそうかと言われるとあんな美人いないと思わせる感じもいい。
絶妙な距離感で感情移入できちゃうんです。
久しぶりのデートではにかむ姿。
絵を描いてる時の消耗して疲れきっているのに目は真剣な感じ。
(クリエイターあるあるw)
一番はなんといっても絶好の名乗る機会で言い出せないあの表情!
(これもクリエイターあるあるw)
実に生々しい。
なのに美しい。
改めて役者さんって凄いなあと思いました。
この映画を見て改めて、勇気を持って言いたいことは言える人になろう、
と思いました。
力はあっても口で言えないといいように搾取されてしまうのが現実ですから。
世界は生きづらいけど頑張ろうと思える、そんな映画でした。
少なくともこんなイケメンな物事の捉え方が出来る人もいるんだから、
勇気を持とうって思えました!
あとシングルマザーへの風当りは今の日本も同じですねw
映画と関係無いですけど
安藤美姫がシングルマザーになって以来マスコミやネットで叩かれ放題なのを
思い出してしまいました。
特に女性が叩いているのを見るとげんなりします。
シングルマザーって女性なら誰でも成りうる立場なんですが…
マスコミゴリ押しの某スケーターに対するヒール役設定で
叩いてるんでしょうけど
生まれた命の是非を問い、シングルマザーであることをきっかけに
嬉々として集団で叩くなんてどうかしてますよ。
みんなティム・バートンみたいに心のイケメンになろうよ!
と思いますね。
女性の場合はイケジョ?
なんか明らかにイケメンに対して語感悪いですね。
まあとにかくみんなもっと思いやりと想像力持って! お願い!
って思いますね。
話がだいぶそれてしまいましたが、
心のありかたについて考えさせられる良い映画でした!
心がイケメンな映画です!