「目玉も飛び出るビックリな史実ッ!😳 宗教勧誘おばさんって、洋の東西を問わずあんな感じなんすね…。」ビッグ・アイズ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
目玉も飛び出るビックリな史実ッ!😳 宗教勧誘おばさんって、洋の東西を問わずあんな感じなんすね…。
60年代のアメリカ美術史を騒がせた、キーン夫妻によるスキャンダル事件を題材にしたサスペンス&コメディ。
監督/製作は『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』の、巨匠ティム・バートン。
主人公マーガレット・キーンを演じるのは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『魔法にかけられて』の、名優エイミー・アダムス。
マーガレットの夫、ウォルター・キーンを演じるのは『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』の、オスカー俳優クリストフ・ヴァルツ。
マーガレットの友人、ディーアンを演じるのは『幸せになるための27のドレス』『お買いもの中毒な私!』のクリステン・リッター。
第72回 ゴールデングローブ賞において、エイミー・アダムスが主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞✨
2022年6月、マーガレット・キーン逝去。合掌。
という事で、マーガレット&ウォルター・キーン夫妻のゴーストペインター事件を取り扱った本作を観賞〜。
この映画を観るまでマーガレット・キーンについては全く知らなかったのだが、彼女の作品は何となく見た事あるようなないような…。
彼女の代表作「ビッグ・アイズ」シリーズは60年以上前のものになる訳だが、今見ても全く古びていないと思う。
というか、巨大な目をしたキャラクターというのは今のアニメの主流な訳で、キーンの絵に共通する一種のキッチュさは、むしろ現代でこそ受け入れられやすい作風なのかもしれない。
彼女の絵を見ていると、なんとなく奈良美智さんの描くヌボーっとした少女画を思い出した。
奈良さんもマーガレットの作品から影響を受けているのかしらん?
本作の監督は、皆さんご存知ティム・バートン!
ティム・バートンはかねてから彼女の作品のファンだったらしい。本作の製作も請け負っているのはその為なんだろう。
確かに彼のゴシックホラー&コミカルな作風に、マーガレット・キーンの影響を感じなくもない。
本作を観て一番強く思った事。
…バートンって普通の映画も撮れるんじゃん!!😳
神経衰弱に陥ったマーガレットが、周囲の人々の顔を「ビッグアイズ」として認識しちゃう、という描写にはいかにもバートンらしい不気味さがあったものの、それ以外はかなり普通。
異形の存在も、ジョニー・デップもヘレナ・ボナム=カーターも出て来ない。
実はバートン作品があまり得意ではない自分のような観客でも、本作は全く違和感無く受け入れることが出来ると思う。
確かに本作はバートンのフェティッシュが抑え込まれた飲み込みやすい作品である。
しかし、彼のフェティッシュが抑え込まれた結果、面白みの欠けた薄味な作品になっていることもまた事実。
バートン・ワールドを期待していた観客は肩透かしを喰らっちゃったんじゃなかろうか?
ゴールデン・グローブ賞を受賞したエイミー・アダムスの演技もさることながら、本作で最も輝いていたのはクリストフ・ヴァルツでしょう!
絵に描いたようなクズ男、ウォルター・キーンをノリノリで演じ切っている。
あまりのハマりっぷりに、もはやクリストフ・ヴァルツが実際にこういうクソ野郎なのだと思わずにはいられない。
クライマックスの裁判シーンなんて、もう完全にクリストフ・ヴァルツ劇場。
これまで割とシリアスかつリアルな物語が展開していたのに、この裁判シーンだけは完全にコメディ映画と化している😅
いくらなんでもやり過ぎなんじゃ…、と思わなくもないが、クリストフ・ヴァルツさんが楽しそうで何よりです。
でもでも。エイミー・アダムスもクリストフ・ヴァルツも良かったけど。
個人的に最高だと思ったのは、マーベルのキャラクター、ジェシカ・ジョーンズを演じた事でも知られるクリステン・リッター!✨
いやー、めっちゃ綺麗じゃないですかこの人〜!
あんまり知らない女優さんだったけど、要チェックや〜、って感じですわ〜。
ロングな黒髪がめっちゃ素敵っ💕
女性の自立を描いたフェミニズム映画であるのだが、最終的には宗教によって精神的な解放を得るというのはうーん、と思ったり…。まぁ史実なんだからしょうがないんだけど。
いやしかし、宗教勧誘おばさんって洋の東西を問わずあんな感じなんですね〜。あの雰囲気、阿佐ヶ谷姉妹を思い出してしまいました💦
フェミニズム映画としても娯楽映画としても今一つ決定打に欠けるところはあるが、誰が観てもある程度は楽しめる映画ではないでしょうか?
ポップコーン片手にボケーと観る分には、悪くない作品だと思います。
しかし、このウォルターってオッさん、しょうがない人なんだけど、プロデューサーとしての腕は確かでしたよね。
彼の商売人としての才能が無ければ「ビッグアイズ」が日の目を見ることもなかったと思うと、なんだか複雑な気分になっちゃいます。
宮崎駿に対する鈴木敏夫、鳥山明に対するDr.マシリト、etc…。
優れた絵描きには、才能を十二分に引き出し、その絵に商品価値をつけるプロデューサーが付き物。
このプロデューサーのエゴが、クリエイターを超えて前に出てきてしまうと、なんやかんやややこしくなってしまう。
本作のような内容は、現代の創作現場においても実は結構起こっているんじゃ無いでしょうか。
そういや佐村河内とかいうオッさんもいたよなぁ…。