「バートン的な陰影の代わりにクリストフ・ヴァルツの怪演が光るポップな色調が印象的な実録ドラマ」ビッグ・アイズ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
バートン的な陰影の代わりにクリストフ・ヴァルツの怪演が光るポップな色調が印象的な実録ドラマ
横暴な夫のもとから娘を連れて逃げたマーガレットは彼女の画家としての才能を認める画家のウォルターと出会い、やがて結婚。マーガレットが描いた大きな目を持つ子供の絵を自分の作品として売り込んだウォルターは注目を集め、マーガレットに絵を描かせては大胆なマーケティング手法を取り入れて売りさばき一躍時の人に。やがて結婚生活は破綻、巧妙に隠されていたウォルターの素性を知ったマーガレットは全てが自分の作品であると公表することを決意、法廷で争うことになる。
自身が抱えるトラウマや厭世観を作品に滲ませるティム・バートンの作品群は個人的にはあまりに痛々しすぎて好きではないのですが、本作はそんな陰影は殆ど感じられず、サイコパスに服従させられ自分を見失った人間が自我に目覚めて立ち上がるまでをポップな色調の映像で軽快に描写しています。表裏がまるっきり食い違う怪人物ウォルターを実に憎々しげに演じるクリストフ・ヴァルツの巧さが異様に際立っていました。
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