「蛇足感が凄い」美女と野獣(2014) えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
蛇足感が凄い
『美女と野獣』を観賞。
ファンタジーの最高傑作と言われるフランスの同名おとぎ話の実写版である。
タイトルから連想されるのは大抵ディズニーによるアニメーション映画版であろう。
よって今作も比較される事は避けて通れない運命にある。ところがクリストフ・ガンズ監督は方向性を誤ってしまったようだ。
ディズニー版よりも原作に近い脚本となっているので設定はかなり異なるが、それ自体は全く問題ではない。
今作では原作で描かれていない部分を拡張して描いているのだが、蛇足感が半端ないのだ。その箇所とは王子が野獣に変身する呪いをかけられた経緯。(これは公式サイトにも書かれているのでネタバレではない)
ご存知の通り、この王子は日頃の行いが悪いから罰として呪いをかけられるのであって、その悪い行いを細かく描く事に何の意味があるのかという事。逆にこの演出のおかげでベルが野獣に惹かれていく様子が中途半端となっており物語の軸がぼやけてしまっている。
しかも野獣を演じるのはヴァンサン・カッセル。御歳47である。
さすがのベルも人間に戻った姿がこんなおっさんでは興醒めである。
そんなわけで、ディズニー版には遠く及ばないのはわかっていたが対抗する術を誤った事が致命傷となった作品。
最後に少し褒めるとすれば幻想的で美しい景色などの映像美はかなりのもの。と言ったところである。
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