「儚い悪党」ハミングバード bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
儚い悪党
ジェイソン・ステイサム主演にしては、珍しくアクションシーンはそれほど無い、シリアスなサスペンス。そこに、シスターとの儚いラブ・ストーリーも絡めた、切ない内容となっている。
軍人あがりの、ジョゼフは、戦地でのトラウトを抱えてホームレスとなり、社会の底辺の生活を送っていた。チンピラのホームレス狩りにあい、追われて逃げた先が、しばらく留守の金持ちの家。そこで、その住人になりすまし暮らし始める。
そして、勤務先の中華料理屋で、中国マフィアに気に入られ、金の為に悪事に手を染めていく。そんな折、ホームレス時代に優しくしてくれたシスターと出会い、心惹かれていくが…。
華やかな街の裏に潜む、闇の世界を舞台に、そこで生きる半端者のジョゼフを、ステイサムが演じる。いつもの逞しく、勇ましいアクション俳優としてのステイサムではなく、1人の男としての悲哀に満ちた、ヒューマンティックなステイサムに魅了される作品である。
だらしない髪の毛を剃り上げて、いつものキリッとしたステイサムに戻るシーンは、特に印象に残った。
そこに花を添えるのと同時に、悲哀をより色濃くしていくのが、シスター役のアガタ・ブゼクの役回り。決して美人でないが、悲しい過去を秘めながらも、慎ましいシスターとして健気に生きる女として、ピッタリの配役と感じた。
また、最初とラストシーンに衛星画像が使われ、ジョゼフを映し出すシーンは、なかなか唸らせる演出であった。
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