「人には荷が重すぎる〝選択〟」ブレイン・ゲーム 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
人には荷が重すぎる〝選択〟
サスペンス要素や超能力者の戦いという視点での興奮を求めてしまうと肩透かしを喰らうと思います。
少しこじつけっぽいのですが、この映画のポイントは下記の2つかな、と。
①次の行動への選択と覚悟
・犯人のいる部屋に突入すれば、反撃の銃弾を受けるかもしれないが、他の誰でもない自分がまず行くのか?
・銃弾に狙われた仲間をむざむざ狙われたままにするのか、自分が盾になり、敵を倒すのか。
実は、後半で描かれる未来予知はその場にいれば誰もが想像できる次(超近未来)の行動であり、そのうちのどの行動を選択したのか、その結果はどうであったか、が描かれている。
②『死』を人が選択できるのか
誰かが生きるためと考えてとった行動は、結果的に看護する家族の負担が増したり、二次的な問題が生じることはあっても、延命措置を施した人を倫理的に責めることはできない。
一方、苦しませたくないという動機があったとしても死ぬまでの残り時間を強制的に奪うという行為は決して、〝普通の〟選択肢としては認められない。誰かを失った時に感ずる巨大な喪失感や後悔はどんなに合理的に聞こえる理由があったとしても、人間の手になるものであったら受け入れることが出来ない。親しい人の死が、運命や神様が決めたことだと思う以外に、その事実を受け入れたり、咀嚼していくことが困難だからだと思う。残された人が親しい人の死を乗り越えるための物語を紡ぐ時に、見知らぬ第三者の人為的な行為を認めることはなかなか出来ない筈だ。
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