「お金の使い道。」紙の月 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
お金の使い道。
映画化されると評価も高くなる角田光代の原作を吉田大八監督が映画化。
契約社員の銀行員が何千万も横領したというお話。
銀行という場所は、会社を相手にしているときは企業対企業という感じで、語弊があるかもしれないが、頼もしく見えるときもある。
これが対個人ということになると、とたんに怪物のように目の前に立ちはだかる。
僕自身は預金があるくらいで、銀行と折衝する場がないので銀行の脅威というものを感じたことはないのだが。
映画のなかで梨花(宮沢りえ)が見せた横領の手口は、信用をバックにしたもので、到底許されるものではない。
だが、映画の梨花に対して、そのような怒りを覚えないのも、また確かである。
誰かに融通しその人が喜んでくれるのが、自分の喜び。そのためなら手段は二の次。
だが、そういった一種の享楽は長くは続かない。
宮沢りえが美しい。美しいだけではなく梨花という人物になっていた。
小林聡美も素晴らしい。
ラストのふたりの対決は見応えがあった。
お金。使い方には十分に気をつけよう。分相応に。
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