「良かった。」紙の月 サダッチ52さんの映画レビュー(感想・評価)
良かった。
あらすじは、銀行員の横領事件。若い男に貢ぐために横領を重ねた悲しい銀行員の話し。
だけでは無く、ありふれた毎日の生活の中で、充たされない何かに不満を持ちつつも生きてきたけれど…、ある日仕事を持ったことから、少しお金を借りただけ、ちょっと勇気を出して年下の男の子に話しただけ、ふとしたきっかけから、ころころと坂道を駆け降りる、そう自転車のように、ハンドルを握るのは自分、ブレーキは始めは効くはずなのに、スピードを増すともう止められない、後はハンドルさばきで…。自転車は自分の力で動かすことが出来るもの、でもだから…。BMWとの比較?スイッチなんてほとんど無い(笑)。
途中交差点で立ち止まる自転車に乗った主人公が尋ねられる、「渡るの渡らないの?」彼女は渡った。もう後戻りしないとでも決めたように…。
あまり深く話しを知らず、若い男に金を貢ぐために横領を重ねた悲しい銀行員の話しと思っていたら、ぜんぜん違っていました。とても良かった。
宮沢りえさんが女優賞を取った映画だと知っていましたが、凄いと思いました。本当にどんどん変化していく女性の姿が演じられていた。 最後はガラスを割って逃げ 出した彼女…。どんどん変化していく、力強くなっていく女性の凄さを感じました。 でも、その本質的な力は少女から持っていたけれど…。
でも、それだけで無くて凄く丁寧に物語が進められていて、出ているキャスト全てが良かった。いい脚本だと思いました。
女優さんたちの演技、宮沢りえ、小林聡美、大島優子さんたちももちろん良かったけれど、少しボケかけてきている、買い物にしか充たされない、ニセモノとわかっていても…。車になんか興味ないと言っている奥さん、どこにでもあるようなことだけど…本当に脇役さんたちも丁寧に描かれていたように思った。 そう、男優さんたちも…夫もお爺さんも、最後の銀行員さんたちの中にたぶん次長もその上の方々もいませんでしたね…。小林聡美さんだけでしたね…。
少女の頃、見ていた少年の写真が若い男の子、不倫相手に似ていると思ったが?
バブリーな時代を感じさせるホテルでの散財場面も、こんなこといつまでも続かないけれど、と今の時代だからこそ知っている私たちだけど…。
最後に逃げ付いた土地はかつて盲目的に施しを重ねたところ。そこで目にした彼の笑顔…。
たぶん私的にこのラストが良かったのかなぁ…。この映画では誰もそんなに不幸になってないので…。
本当に何も知らずに、観る前は、紙の月=ペーパームーン、あの親子の名作モノクロのアメリカ映画を少し意識していたけれど…ぜんぜん違っていました。
もっとたくさんに人に観て欲しいと思い、☆たくさん付けました。