リトル・フォレスト 夏・秋のレビュー・感想・評価
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【”豊かな人生とは、何だろう・・。”東北の何処か”小森”に住む若き女性が、日々三食の食事を旬の食材をひと手間かけて作り食す所作と、豊かなる東北の自然の風景が魅力的な作品。】
ー 橋本愛さんを知ったのは、劇場で観た「桐島、部活辞めるってよ」である。整った顔をした美しい娘さんだなあ、と思った記憶がある。
その後も、数多くの作品に出演されているが、良く覚えているのは母を亡くした喪失感を抱える少女を演じた「バースデーカード」である。印象としては、どこか陰がある役が多いイメージであるが、今作では明るくて食いしん坊な女性を演じている。
どちらにしても、素敵な女優さんである事には、間違いないであろう。-
◆感想
・橋本愛さん演じるいち子さんは、都会から故郷に戻って来た女性である。そして、東北の豊かな自然の中で取れる様々な食材、トマト、アケビ、ミズ、合鴨、青菜、などを使って母(桐島カレン)の料理を思い出しながら、楽しそうに料理を作る。
その姿が、自然でとても良い。
・「桐島、部活辞めるってよ」に続いて登場するブレイク前の松岡茉優さんの姿が観れるのも、嬉しい。
■今作では、そんないち子さんのナレーションが流れる中、料理を丁寧に作るプロセスが見れるのが楽しい。何となく、水上勉さんの「土を喰らう十二カ月」を実写化した作品を思い出すが、この作品の方が公開が10年近く早いので、このテイストを醸し出す嚆矢的な作品なのであろう。
・個人的に眼から鱗だったのは、青菜炒めのシーンである。筋を取るとより美味しくなるのは知らなかったなあ。今度やってみよう。料理を作るのは好きなのである。世に言われる手間をかけた料理ではなく、ササっと作れる料理が良いと思っている。酒飲みである事も起因しているであろう。
<我が家にも、小さいながらも庭があり、家人が家庭菜園で様々な野菜を作り、料理して出してくれる。
今作でも描かれていたトマトソースなどもバジルを混ぜて作ってくれるし、取れたての胡瓜などはサッと洗って、味噌を添えて出してくれるだけで、酒のつまみになる。
そう、今は夏野菜が美味い時期なのである。夏野菜をふんだんに使ったキーマカレーも作ってくれる。忙しい日々を過ごす中での、週末の夕餉に訪れる細やかな喜びである。
今作を観ていると、秋編も魅力的である。特に、合鴨を丁寧に捌き、ローストして食べるシーンは垂涎モノであった。里芋も美味しそうであったなあ。
大切な人とゆっくりと時間をかけて豊かな食事を食べる時間とは、確かなる幸せではないかな、と今作を観て思った次第である。>
食べるまでの過程
原作者の五十嵐大介の名前は、Eテレの漫勉という番組で知った。絵がうまいが、驚いたことに、ボールペン1本で描いていた。人それぞれ癖や好みがあるだろうが、かなり珍しい。
映画は大きな事件もなく、ひなびた農村でひとり田畑を耕し、収穫した野菜で料理をする、若い女性いち子の姿を淡々と描く。生きることは食べることであり、食べるために働く。作物を育て、自然の実りをちょうだいし、手間と時間をかけて、調理する。そのシンプルな円環を、夏から秋まで、里山の美しい風景とともに写し出す。
太陽が出ている間は、ひたすら働く。水まき、雑草取り、虫取り。日が暮れたら本を読んで過ごす。家の外では、夜の生き物が動き回り、時々物音がする。虫くらいならかわいいが、クマとかだったら…うう怖い。この環境に一人きりって、町育ちには恐ろしいかも。田舎暮らしはヤワではできないと痛感する。
おいしそうなものがたくさん。トマト、甘酒、焼き立てパン、グミの酸っぱいジャム、手作りウスターソース、イワナの塩焼き、くるみごはん、アケビ、栗の渋皮煮…。収穫から調理の工程まで丁寧に映し出され、すごく食べたくなった。
苦労は多そうだけど、いち子が不幸ということはない。幸せそうでもない。ふらりと家を出て行ってしまった母のこと、自分の将来のこと、考えなければいけないことから、目をそらすために動いている感じ。汗水垂らして働けばお腹がすくし、モリモリ食べてよく眠れる。他人に気を使わなくて済むし、自分のペースで暮らせる。そうやって問題を見ないでいるのは、幼なじみのキッコやユウタには見抜かれていて、チクリと指摘されてしまう。確かに逃げてる部分はあるかもしれないが、私はいち子のこと、すごいと思う。チェーンソーで木を切ったり、薪割ったり、重いもの運んだり、みんな自分でやってる。ここで生まれ育ったのはあるけど、根性ないとできないよ。
橋本愛の生真面目そうな、ちょっと硬い感じが、作品に合っていた。美しい風景を背景に、どこか所在なげな表情が、とても自然だった。自転車こいでる時は楽しそうで、かわいかった。
BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
しまった、夜中に観るんじゃなかった (笑)。
お腹が空きました。
しかも、マネして何か作りたくなる。
丁寧に、時間と手間暇かけて作られる素朴な、でも、体が、心が、魂が欲するような食事。
★ ★ ★
ブログのような映画。
物語はあるのだろうけど、大きくは動かない。
自然に圧倒される。
料理はシンプルで美味しそう。
再現しようとするとかなり手のかかっているものばかりなので、即物的に欲求を満たそうとするとダイエットの敵だが、真似しようとすると意外とダイエット効果あるかも。
森のイスキアの初音さんを思い出しました。
五感を使って感じる映画です。
確固たる主張はあるのだけれど、
ムードムービー・イメージムービー
イージーリスニングのような。
映像がきれい。
音楽も、こちらの生活を邪魔しない。
基本ナレーションで進むので、テンションの起伏も激しくない。
へー、そうなんだというトリビア的面白さもありますが、
生活の根幹を描いているのに、生活感がない。
不思議な映画です。
おすすめ
何十回も見た大好きな映画
映画に出てくるもの全てが私にとってリアル。
一瞬一瞬が心に刺さって毎回泣いてしまう。
いち子の覚悟ができないところが今の自分にそっくり。
亮太の言うサラリーマンの世界を表すような言葉。
田舎で生きていく覚悟の深さ。厳しさ。
それでも自分で納得できるまでやりきるいち子が
すごくカッコよく見えたし、羨ましく思えた。
都会は色んなもので溢れているから、自分と向き合うことが辛くても現実逃避できるものが沢山あるけれど、田舎は何もない分自分と向き合う時間が否が応でもできてしまう。
この作品は田舎を題材にしたことで、生きるとはどんなことかをシンプルに、時に鋭く映し出せているのかなと感じた。
がむしゃらに生きてきた20代。
私はこれからどう生きたいんだろう。
今の都会の暮らしでどこか満たされないのはなんでだろう。心から楽しめないのはなんでなんだろう。
その答えっていつか見つかるんだろうか。
夏・秋と約1時間くらいずつのショートムービー。 ストーリーを観ると...
継承
ROBOT制作らしく不思議なCGで始まり、その後は究極の田舎レシピ映画となる。夏でも湿気を逃すためにストーブを焚くというのがまず驚き。汗をかいているいち子(橋本愛)がとてもセクシー。農業ってセクシーなんだなぁ~などと思いつつ、ストーリーよりも映像によって日本の四季と料理の美味しさをいかに伝えることがテーマなのかとも思った。
パンも最初から作るし、酒だって造る。元カレとのグミの思い出。そして酸っぱいグミジャムまで。そんな中でもやっぱり調理しないトマトが美味しそうに映る。見た感じでは結構カロリーは高めのような気もした。
「夏」パートから「冬」パートへ。ストーリーは素っ気ないものだが、いち子の心情はよく伝わってくる。都会から逃げてきた。一方で幼なじみのユウ太も都会から故郷の小森に帰ってきたもののそれは「自分に向き合うため」だったこと。考え方もしっかりしているけど、都会の人間の胡散臭さに嫌気がさしたためだと想像できる。
アケビ、クルミ、クリの渋皮煮など、秋の味覚は充実した自然豊かな小森。食べるために料理し続けるだけじゃなく、母親の料理を越えたい一心な部分も見せてくれる。
ちょっとショックなのはアイガモ農法で貴重なペットのように育てた鴨たち。でもやっぱり食うんだね・・・
自然と共に生きる。
生きているということ
魅せる田舎生活
映画のなかで「いち子」は自然体で描かれていますが、じっさい仙人のようなスキルと達観が「作者」にはあるように感じられました。
ものを欲しがらず、孤独や不便を厭わず、お料理の食材を育てたり獲ったりする段階から楽しめるのに加え、農業や自然に対する知識が高い。もはや仙人です。
多くの都市生活者が田舎暮らしに憧れを持ちますが、現実は過酷なものだと思います。また、田舎とて、いやむしろ田舎だからこそ、枯れた穏やかな隣人ばかりとも限りません。
でもこの映画は作って食べるに焦点があたっているので、田舎暮らしへの憧れを増幅させる四季の佳景とスローライフが展開していきます。こんなことは私には無理だろうと解りつつ、やってみたいなと思わせる魅力を持っています。ロケーションも村の人々も確かな現実味がありました。
また人と人のエピソードが断片的な挿入にもかかわらず、有機的に生きていました。すなわち、いち子とユウ太、キッコ、福子との関係性が、部分的なのに、妙な説得力を持っていました。
母の失踪は悲劇ですが、あっさり描き、かつ「いち子」の芯の強さを裏付ける説明にもなっていました。
発見は桐島かれんでした。ミカバンドの頃しか知らず、セレブの印象があったのですが、台所でうつむいている姿は堂に入っていました。女優としては殆ど見たことがないので、雰囲気持っている佇まいに驚きました。
自我をおさえ孤独を友とし、ずっと片親で娘を育ててきた哀感が、美しくやつれた桐島かれんの表情にあらわれていた、と思います。そこに現実の母親の実績がかいま見えたのです。もっと女優やればいいのに、と思ったのでした。
自然とともに生きる。その大変さと素晴らしさを教えてくれる!
地球と呼吸している
飽食の時代
都市部に住んでサラリーマンをしていたとしてもどんなにお金を稼いでいたとしても、日々の食べ物は森や山村や海から頂いているものです。自然からの恵みを頂いて暮らすことは、先人からずっと受け継がれてきたことですが、今はそんな当たり前の事も忘れてしまったかのように感じます。大量に生産し大量に屠殺し大量に棄てる時代。季節に合わせて淡々と料理をする主人公を観ていると、飽食の時代と言われる現代は異常な時代なのかもしれないと思いました。
出てくる料理がシンプルで栄養があり美味しそうでした。これを観るだけでも不思議と疲れが取れます。パン、ウスターソース、フキのトロロ、くるみおにぎり、甘酒、岩魚の南蛮漬け、全部作ってみたいです。
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