「眠れぬ夜の寝落ちムービー、あるいは?」リトル・フォレスト 夏・秋 もちをさんの映画レビュー(感想・評価)
眠れぬ夜の寝落ちムービー、あるいは?
「眠れぬ夜の寝落ちムービー」という映画として褒めてるのか貶しているのか分からない感想が散見されたので気になって観てみました。
夏秋春冬と季節が移り変わりとともに、東北の小森―リトルフォレスト―で暮らす人々を丁寧に描写するドキュメント風映画でした。
特に食事シーンが「丁寧」で、『この世界の片隅に』を彷彿とさせます。
他方で、丁寧さに伴う苦労が脱臭化されているようにも思い、実際田舎で暮らしたらこうはいくまいというシーンが散見されました。
(そもそも松岡茉優が親友としている田舎とそうでない田舎は大変な違いがある)
苦労の脱臭化の代わりに描かれるのは主人公の葛藤です。この田舎でいること、この田舎にいることの焦燥感・母親の行方。
田舎で暮らすにつれ、かつて母親に憧れ手が届かなかったことが自分にもできるようになってきて、母親に近づいてきて。そこで田舎から離れた母親と自分は何が違うのか。
自然と丁寧な暮らしの裏でゆっくりと、自分と向き合うことのできる映画です。
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