セインツ 約束の果てのレビュー・感想・評価
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時の観念を忘れさせる現代版の西部劇がそこにはあった
なぜだか60年代のアメリカン・ニューシネマ時代の西部劇を見ているような感覚に陥った。眩い光が差し込み、もう何十年、何百年と繰り返されてきたであろう男女のやり取りを目にするにつけ、観る側もすっかり時の概念を忘れ去ってしまう。これを手掛けたロウリー監督がのちに『ア・ゴースト・ストーリー』で時空の壁をいとも簡単にヒョイと飛び越えて見せたことを考えると、時代背景をあえて曖昧にする作法は彼独特のこだわりと言えるのかもしれない。誰もが穢れを背負って生きている。メインとなる男女も自分たちの選んだ人生について覚悟を決めているし、彼らに手を差し伸べる人々もまた、単なる守護天使ではなく、心の内側に言い知れぬ過去を秘めていたりもする。その意味で邦題の「セインツ」とは非常に逆説的な言葉だ。しかしやがて訪れる運命を覚悟し、それでもなお、純粋にただ「会いたい」と願い続ける彼らの生き様を、人々はそう呼ぶのかもしれない。
この時代のアメリカの法律がどんなだかよくわからないが、罪を償って出...
この時代のアメリカの法律がどんなだかよくわからないが、罪を償って出てくる事は出来なかったのだろうか?彼女の罪を被って脱獄はいささか疑問が残る。所々見逃したから間違っているかもしれないが、元はといえば、この2人の義理の父の裏稼業が原因で事が起こったようだったが、説明が少なくよくわからなかった。
純愛がテーマだろうが、ストーリーがいまいちでモヤモヤした。家に戻るシーン、毎回車をどこに置いていたのか。道路沿いだった気がするのだが一発でバレないか?
つまらないが嫌悪感を感じたわけではないので★1
美しくも切なく、儚いドラマ
恋人の罪を庇い服役した男。その男の子供を身ごもり、出所を待つ女。男が母娘に会う為に脱獄した事により揺れる関係を描く人間ドラマ。
クライムドラマ・・・という紹介でしたが、人間ドラマに寄った作品でした。男の愛情。男への愛情を感じながらも娘の幸せを願い戸惑う女。二人の心情に、警察や過去の強盗仲間を上手に絡ませ話が進めます。
とても情緒深く、美しく儚い物語に感じますが、物語全体はやや抑揚がなく平板に感じたことが残念。サスペンス目的での鑑賞には、やや物足りなさを感じました。
私的評価は普通にしました。
現代版、俺たちに明日はない‼️
二人組の銀行強盗。男は捕まり女は釈放。女は妊娠している。男の帰りを待つ女。生まれた娘が4歳になった頃、男は女と娘に会うため脱獄する‼️先にあるのは破滅と分かっているのに、それに向かって突き進んでいくアウトローたち‼️まさに現代のアメリカン・ニューシネマですね‼️光が射し込む眩い映像と、ルーニー・マーラの美しさが印象的な秀作‼️
静かな旋律
個人評価:3.4
離れ離れのトゥルー・ロマンス。
独特な空気感でおきる、静かなクライムドラマ。
ルーニー・マーラによく合っている雰囲気を出せる監督だ。
特に際立った部分はないが、この静かな旋律を刻める監督はなかなかいない。
待ち続ける儚さ
西部劇の様相に初期T・マリックの雰囲気も感じられて埃っぽさに緑が印象的で綺麗な映像と静かな物語。
C・アフレック演じるボブは愛しているからといって何を根拠にあんな無謀で破天荒な行動を取るのか理解し難い。
寧ろ最後まで会わなくてもと願いながら鑑賞していたし男として父親の責任として自ら去るのも一種の美学。
三人のチンピラは立ち位置がイマイチ不明で目的も解らない。
R・マーラは魅力的で母親になる女性は強くて"ガスリー"って名も"ウディ・ガスリー"を意識している?この作品のLOOKに合っていてナイス。
息遣いと佇まい
劇場でなく、DVDでの鑑賞となったんですが・・・・これは本当に後悔ですね・・・ 印象としては、たぶん劇場であれば感動がまったく違ったものになっていただろうなぁということです。
それもそのはず、この映画の核心は、登場人物たちの、息遣いと佇まいを、じっと感じるというものだったように思うからなんです。音楽は控えめで、ケイシー・アフレックのかすれるような声と、ルーニ・マーラの存在感、それが身体に浸透するように時間を過ごすのが、この映画の本来だったように思うんですよね。
ほぼ全編にわたって暗い画面の中で、そこに浮かび上がるルーニ・マーラの表情が忘れられません。教会からの帰り、親子二人だけの孤独と愛情を感じさせる、長い歩みのシーンが忘れられません。
雰囲気は良いけどぼんやりし過ぎて感情移入しづらい
2013年サンダンス映画祭撮影賞受賞、2013年
ナショナル・ボード・オブ・レビュー トップ10入り
の他、本作の監督デヴィッド・ロウリーが
バラエティ誌の『注目監督10人』に選出されるなど、
高評価を受けている作品。
1970年代アメリカ、テキサス。
銀行強盗に失敗し、投獄された男ボブ。
その出所を、幼い娘と待ち続ける女ルース。
そしてその女に惹かれる保安官のパトリック。
複雑に絡み合う三人の心模様を描くドラマ。
* * *
この映画最大の見所は、『ドラゴン・タトゥーの女』
以来、引っ張りダコな主演ルーニー・マーラだと思う。
本作の彼女はとにかく美しい。
彼女、外面は恐ろしく華奢で儚げなのに、
内面に関してはしなやかで強固な芯を感じさせる。
それに、妙な言い方だが、本作の彼女は
良い意味で表情から感情が読み取りづらい。
彼女がどういう行動を取るのかが読み切れない所が
この映画のサスペンスに繋がっていると感じる。
テレンス・マリックの作品を連想させる
懐古的でありながら瑞々しい映像も魅力だ。
冒頭の草原を照らす、朝とも夕ともつかない
陽光の美しさや、屋内の暖かく艶やかな
オレンジの照明が忘れ難い。
* * *
だけど。
ストーリーや人物が説明過多な映画はいただけないが、
この映画の場合は逆にそれらが “匂わせる” 程度にしか
説明されない。輪郭がボンヤリし過ぎていて、
かえって物語に感情移入しづらいのが難点だと感じる。
主人公ら3人の関係は分かり易い。だが、
それ以外のキャラの人物像や物語の背景は
『多分こういう立ち位置や事情なんだろう』と
イマイチ確信がつかないまま。
まず、物語中盤から登場する、ボブを襲う集団。
誰が、どうして主人公の命を狙うのか。
恐らくは過去の銀行強盗で街を仕切るギャングの金に
手を出してしまったのだろうとは推察できるが……
一度も明確な説明はされない。
次に、元保安官スケリット。
ボブとルースにとっては自分達みなしごを
父親として育ててくれた人物で、パトリックに
とっては父のように尊敬すべき人物。
……なんだと思う。
主人公らとの関係がぽつぽつと説明されるだけで、
そういった思慕の念が僕にはどうにも伝わらず、
彼の最期のシーンにもあまり感情が動かなかった。
ストーリーも結末もはっきり言って使い古された
内容だと思う。ならば登場人物の心の流れをじっくり
見せてもらいたかったが、そこが前述通りボンヤリ
し過ぎている上、今まで観た同じような内容の物語と
比べて深みがあるようにも思えない。
* * *
冒頭でも書いた通り、本作は世間からの評価が
ずいぶん高いらしい。だが、僕にとっては
映像と演技を除けば単調な内容の映画だった。
いくつかの批評を観ると『俺たちに明日はない』
などのアメリカンニューシネマの名作が
比較に引っ張り出されている様子。
また、時代は1970年代だが、人間ドラマ主体の
西部劇のような雰囲気も感じる。
繊細な映像が評価されているのは納得なのだが、
加えて昔のアメリカ映画に造詣の深い人から受けが良い印象。
過去作の記憶で各所を補完してやらないと
評価が完成しない映画なのだろうか。
ふうむ、自分にはどうにもハマらず。
<2014.04.12鑑賞>
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