「難解を装った力業」野のなななのか mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
難解を装った力業
言わずと知れた大林の戦争3部作。前半のシュールな舞台劇風な展開に呑まれて後半に辿り着くのにかなり苦労はするがその難解さがある意味良い溜めになって、後半の迫力のある展開を後押しする。映像美には鈴木清順や寺山修司、はたまた黒澤の🎦夢を想起させたり、🎦フェリーニのアマルコルドをオマージュしたり、とにかく女優の描き方が小津をメチャクチャ意識してたり、中でも常盤貴子へはメチャクチャ、イングリット・バーグマンのアングルを重ねてくるなど、往年の映画ファンにはたまらないサービスが満載である。そのメッセージはシンプルで力強い。説教臭いと思う向きもあるかもだが、変に物語の中に織り交ぜるのではなく、唐突にセリフとして役者に語らせる手法は強烈である。🎦この空の花 長岡花火物語(英題:Casting Blossoms to the Sky)を新潟(舞台、長岡)で、花筐(はながたみ)を佐賀(舞台、唐津)で見て来た自分としては本作品は何としても北海道(舞台は芦別)で見たかったのだが、最後の最後で叶わなかった。それはそれで残念でならない。しかしそれ故にこの3本の作品に込められた戦争に対する、それはもとより様々な災害に対する鎮魂のリレー作品である事には本当に頭が下がる。そこにはまさに日本そのものが美しくもはかない日本原風景の美と共に人々のたゆまないささやかなる日常と青春が描かれているのだ。
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