「2度目は笑劇と…」複製された男 shadow-81さんの映画レビュー(感想・評価)
2度目は笑劇と…
プリズナーズでギレンホールという人の演技が良かったので観賞しました。1回目は理解できず、2回観賞しました。
プリズナーズは社会性がやや強いので監督にまで興味は沸きませんでしたが、こういう純粋なフィクションが撮れる監督は好きになりました。
本作品の結論としては、観賞者がそれぞれ解釈して良い作品と思います。
サスペンスとしてあちこちに隠された蜘蛛の意味を解く楽しみ方もあるでしょうし、現代社会を風刺したホラー的な見方もあるでしょう。
ただ、おそらく製作側は細かい辻褄合わせは意図していないでしょうし、夢の中を漂う様なこの作品にあまりロジカルさを求めるのは野暮だと思います。
私の解釈としてはこれは全て夫婦の話で、端的には妻が妊娠中で、おそらくは2回目の、浮気の妄想が止まらず罪悪感にかられている男の話です。
男なら気持ちは良く分かるのではないでしょうか?奥さんがある日から子供のことしか考えなくなったら、寂しいでしょうね。
そして男の浮気の「虫」はムクムクと大きくなりますが、結局、マザー/クイーンである蜘蛛の網の支配から逃れられない、というのが悲しいところです。
蜘蛛=妊娠中の奥さん役の演技が素晴らしくて見とれました。表情が良く、私はギレンホールよりも印象に残りました。
ジャンル的に区分けすると古典的なコメディとも取れるし、雰囲気は暗いですが、気軽に観れば良い作品と思います。
製作側はこのテーマと雰囲気のギャップを意図している気もしますが、もしそうであればなかなか洒落た映画と言えるのではないでしょうか?
最後に、これを書いているうち、同じカナダ製作で、ドッキリカメラ番組のJust for Laugh Gagsを思いだしました。
カナダ人って洒落っ気が強いのかも知れません。