「【噂に違わぬ超難解映画。・・を勝手に解釈する。】」複製された男 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【噂に違わぬ超難解映画。・・を勝手に解釈する。】
ー 一度、通しで観て細部が分からず、VODだからこそ出来るズル
”気になったシーンの再生”
をしても、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の意図が全て把握出来なかった作品。(悔しい・・)
だが、全編を通して静かに流れる不穏な音楽や、独特の映像美には惹かれた作品である。-
◆感想
・キーの一つは、外見、声共に瓜二つの、大学の講師、アダム・ベル(ジェイク・ギレンホール)と、ダニエル・シンクレアという芸名の役者、アンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール:二役)を見分けるのが、”左手の薬指のエンゲージリング”という点。
アダムは、”金髪の”恋人のメアリー(メラニー・ロラン)がおり、アンソニーには、妊娠六カ月の”金髪の”妻、ヘレン(サラ・ガドン)が居る。
冒頭の、謎のストリップショーのシーンで、裸体の女性を指の間から凝視している男の指には、エンゲージリングが、ハッキリと映っている。
という事は・・。
・アダムが、大学の講義で繰り返し、語っている事。
”「支配」・・時の権力者は、情報を制約することで、支配してきた・・”
- 成程。”情報の制約”ね・・。-
・アダムが、自分とそっくりのアンソニーが”少しだけ”出演している映画を観て、彼に近づいていくシーン。
ー 最初は警戒するアンソニーだが、アッサリとアダムと会うことを受け入れる。ー
・アダムの母(イザベル・ロッセリーニ:母は、イングリッド・バーグマン)は、冒頭、アダムに電話で御説教じみた話をし、物語の途中では実際にアダムに会い、御説教じみた話をする。
- ブルーベリーの話。
別のシーンではアンソニーが、妻に有機栽培で育てたブルーベリーが冷蔵庫に無い・・、という話をしている・・。-
・この物語のもう一つのキーは、”蜘蛛”。冒頭のストリップショーで、踏みつけられようとしている”蜘蛛”。それを凝視するアンソニー。
劇中、街中を巨大な”蜘蛛”が歩くシーン。
因みに、この映画では殆ど霞がかった曇天が覆っている。
この、”蜘蛛”は何を象徴しているのか・・。
・アダムに成りすましたアンソニーが、”指輪の跡”をメアリーに指摘され”貴方は誰!”と詰問されるシーン。
その後、二人の乗った車が言い争いの果てに、早朝の高速道路でクラッシュするシーン。
ー その後、二人の遺体は一切、写されない。-
<今作を、映画館で観たら、感想はどのようになっていたであろうか。
ココからは、個人的な感想であるが、(VODでキーになると思われるシーンを二度見した私は、)
1.アンソニーとメアリーは、アダムの脳内でアダムの欲望を満たす、もしくは現実逃避の創造物である。
2.実際にはアダムが、妊娠6カ月の妻ヘレンを持つ男であり、冴えない毎日を送るアダムの不安感や焦燥感が、アンソニーとメアリーを作り出した・・と勝手に解釈した。
だが、映画としては、面白くはあるが、余りに解釈を観客に投げ過ぎではないかな・・、と思った作品でもある。>