劇場公開日 2015年11月21日

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「ばらの花」リトルプリンス 星の王子さまと私 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ばらの花

2015年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

いやぁ泣いてしまいました。もう予告編の段階から泣けたんでね、本編観たら絶対泣くだろうなあ……と思ってたら案の定という。はい。号泣です。

なかなか面白い構成ですよね、これ。サン=テグジュペリの「星の王子さま」を、お話はまんま使っているんだけども、サン=テグジュペリの執筆した、とはせずに、そのお話だけを物語に落とし込んでいる。かつて飛行機乗りだった老人が、若い頃に砂漠で不思議な体験をした、ということにして。それが「星の王子さま」で。まあ、まんまですよね、そこは。で、その老人が隣に越してきた女の子に語って聞かせる、書いた文章を読んでもらう、という構成。このパッケージで物語が展開する。
「星の王子さま」を愛読してる人には話を熟知しつつも新しい体験として、全く読んだことない人には純粋にひとつの物語として楽しんでもらえる。つまり、どちら側にも配慮が行き届いてるんです。
「星の王子さま」まんまでアニメーション映画にしなかったところがね、サン=テグジュペリに対しての、製作陣側の最大限のリスペクトなんじゃないかなと。胸をお借りしますと。

それで、なんというか、「星の王子さま」って、言ってしまえばファンタジーじゃないですか。でも本作はファンタジーではなくて、所謂リアルな現代社会が舞台で。ここの折り合いの付け方が絶妙なんですよね。
老人の体験が果たして嘘なのか本当なのか、なんてのはどっちでも良くて、作り話かもしれないし体験談かもしれない。そして女の子が立ち向かう「星の王子さま」のその先の物語。それが実際に起きたことなのか、夢なのか。でもそんなことは関係ない。全然重要じゃないんだよと。本当に大切なものは、目には見えないんだ。

このレビューの冒頭でまず、自分号泣した、と書きましたけど、理由は敢えて書きません。是非、劇場で体験してもらいたい。台詞のひとつひとつ。女の子の表情、眼差し。現代社会への痛烈な批判。蛇。キツネ。勇気。愛。ばらの花。

ロロ・トマシ