「「ジャッジよりジャスティス」がいい、と思いつつ映画を観ていた。」ジャッジ 裁かれる判事 kthykさんの映画レビュー(感想・評価)
「ジャッジよりジャスティス」がいい、と思いつつ映画を観ていた。
「ジャッジよりジャスティス」がいい、と思いつつ映画を観ていた。
ジャスティスは大好きな言葉、それほど今日の映画は素晴しい。
しかし、この言葉は難しい、趣味趣向の映画の題名としては相応しくない。
この映画は押しつけではない、ごく日常的な現代人が持つジャスティスを矛盾も加味し、素直に描いている、というのがボクの感想。
アメリカ中西部、インディアナの美しい緑と水に囲まれた小さな田舎の町。
カリフォルニアに住むハンクが20年ぶりにこの町に帰ってくる。
待っているのは、唯一の家族の絆であった母親が亡くなったからだ。
街を離れ一流大学の法科を首席で卒業し、大都市の敏腕弁護士として成功したハンクだが、彼は意見合わない老判事である父親の殺人を弁護するという最も困難な裁判に関わることになる。
正義感の強い父親と彼の愛する母親に育てられた三人の兄弟たち。
しかし、心豊かな父であり兄弟であっても人間はみな三人三様。
各々には生きたい生き方があり、20年という時間の流れは各々別々に流れ、過ちも誤解をも生む残酷なもの。
各々のもつ正義と心豊かさは決していつも正当に理解され、心を満たしてくれるわけではない。
大人になり振り返ればわかることだが、誰にでも均等に流れる時間、その流れはいつでもどこでも短絡的で残酷。
その残酷さに立ち向かうものは、神ではない現代人であるがゆえになさざるを得ない個々人のジャッジなのだろう。
ジャッジはどこまで正当であっても、それは一つの切断だ。
しかし、各々の人間が持つジャスティスには、各々バラバラではあっても、
哀しく寂しい残酷な時間を克服し安らぎを継続させる力がある。
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