劇場公開日 2015年1月17日

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ジャッジ 裁かれる判事 : 映画評論・批評

2015年1月6日更新

2015年1月17日より新宿ピカデリーほかにてロードショー

ダウニーJr.が演技巧者ぶりを見せるカミングホーム映画

弁護士のハンクは「たとえ無罪でも貧乏人は僕を雇えない」と豪語する、正義より実利を優先するタイプ。そんな言わば法律屋が、本能に突き動かされて被告を冤罪から救うことで倫理観を取り戻す話ならよくある。しかし、ハンクの場合はより状況が複雑だ。

彼が弁護することになるのは、ひき逃げの容疑で逮捕された、今も故郷で判事として法廷を仕切る父親のジョセフなのだ。こうして始まる物語は、1人の敏腕弁護士が裁判に必要な状況証拠を収集していく過程で、父と息子の関係を破綻させた過去の悲劇と、時を隔てて起きたひき逃げ事件との意外な関連性が解き明かされていくドラマチックな構成。厳格で近寄りがたかった父親が犯した過ちの背景に、我が子を思うが余りの衝動があったことを知った時、息子は恐らく初めて、人生の深層に潜む真実の重さに気づかされる。人間には法律では踏み込めない、かくも愛おしい聖域があることに。

摩天楼のシカゴから緑深いインディアナへ久々に帰郷したハンクが、そこで家族や元カノと触れ合ううちにリフレッシュされていく構図は、主人公がニューヨークからアラバマに戻る「メラニーは行く!」(02)や、オレゴンから父親の故郷ケンタッキーに向かう「エリザベスタウン」(05)と同じ“カミングホームもの”。表向き成功しようがしまいが、都会で実質挫折した人間を原点回帰させる踏み台としての故郷は、このジャンルでは依然有効みたいだ。

原点回帰を試みたのはハンクだけじゃない。演じるロバート・ダウニー・Jr.も2本のメガヒット・シリーズで一財産築いた後、妻と共に立ち上げた製作会社の1作目にあたる本作で、本来のキャラクターアクターへ“カミングホーム”。父親を演じる同じ名前の大先輩、ロバート・デュバルのみが賞レースを賑わせているのは計算外だったかも知れないが、勝負作で一層躍動しまくる演技巧者ぶりは、アクションに飽きたファンの目には懐かしく且つ新鮮に映る。

清藤秀人

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