「イーストウッド監督作品らしいリアルな映像と、演出、バンドの演奏や歌、当時の風俗描写が素晴らしかった。」ジャージー・ボーイズ Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
イーストウッド監督作品らしいリアルな映像と、演出、バンドの演奏や歌、当時の風俗描写が素晴らしかった。
クリント・イーストウッド監督作、大ヒットしたブロードウェーミュージカルの映画化。
普通このパターンだと、突然歌い始めたり、踊りはじめたりするけれど、そういうところがまったくなかった。
イーストウッド監督作品らしいリアルな映像と、演出、バンドの演奏や歌、当時の風俗描写が素晴らしかった。
貧しいイタリア移民の子フランキーは、床屋の見習いとして働いていた。地元の知人はギャング系の人ばかり。歌がうまいフランキーは、地元ギャングのボスにも気にいられていた。フランキーは友人のトミーのバンドに入るが、やることは主に盗みばかり。未成年のフランキーは見逃されるが、バンド仲間のトミーやニックは刑務所を出たり入ったりしていた。ある日、別の仲間がボブを連れて来る。天才だという。対等以上の条件を出すボブの加入を、リーダーのトミーは反対するが、フランキーはその才能に惚れ込み、トミーの反対を押し切ってメンバーに入れる。真剣に音楽に取り組むフランキーとボブはレコード会社にデモテープを持ち込むが不調。レコードを出すには、かなりの金がいると告げられる。その話を聞いたリーダーのトミーがギャング系の金貸しに金を借り、なんとかレコードが出せることになる。そのレコードは大ヒット、4人のバンド「フォーシーズンズ」は一躍、スターダムにのし上がるが・・・・。
内容的にはよくあるミュージシャン物で、実話だからしょうがないけれど、ストーリー的にはあまり面白くなかった。
だいたいアメリカのミュージシャン物の映画はこんな感じ。
一歩一歩、苦労して努力して成功したわけではなく、生まれつきの才能や強運を頼りに成功した人は、他の人もおおむねこんな感じなのだろうと思った。
結局、成功しても、幸せになれるとは限らないし、快適な環境は手に入るのだろうけど、特に苦労した経験がないから、すぐ慣れてしまい、全部当たり前で、なんとも思わなくなる。
現状では不満、さらに上ということになると、かなり厳しいものがあるし、そういう環境が得られないとなると、どんどん道をはずれていき、かなり危うい感じになるものなのかもしれない。
よくバンドが解散する時、音楽性の違いとよく言うけど、結局、金だよね、と改めて思ったのは言うまでもない。
細かいところだけれど、白黒テレビに映っていた若い頃のイーストウッド氏(たぶん「ローハイド」、ちなみに今では信じられないような、チャラくてナンパなキャラだった)と、人間がピンを並べているボーリング場、ものすごくでかい子供の自転車の車輪くらいあるオープンリールのテープなどが、微妙に面白かった。