グレート・ビューティー 追憶のローマ

劇場公開日:

グレート・ビューティー 追憶のローマ

解説

カンヌ映画祭審査員賞受賞作「イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男」で知られるイタリアのパオロ・ソレンティーノ監督が、「偉大な美」を求めてさまよう初老の作家の姿を描いたドラマ。ローマでは毎夜、テレビスターやアーティスト、モデル、プロデューサーなどのセレブが集まりパーティが繰り広げられている。65歳の作家でジャーナリストのジェップ・ガンバルデッラは、そんなセレブコミュニティの有名人だが、連日の狂騒に嫌気を感じつつあった。そしてある日、初恋相手だった女性の訃報を聞き、心に大きな穴があいたような虚無感にとらわれたジェップは、人生の価値を求めてローマの街をさまよう。主演はソレンティーノ作品常連のトニ・セルビッロ。2013年カンヌ映画祭コンペティション部門出品、ヨーロッパ映画賞作品賞受賞など高い評価を受け、第86回アカデミー賞では外国語映画賞も受賞した。

2013年製作/141分/PG12/イタリア・フランス合作
原題または英題:La grande bellezza
配給:トランスフォーマー
劇場公開日:2014年8月23日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第86回 アカデミー賞(2014年)

受賞

外国語映画賞  

第71回 ゴールデングローブ賞(2014年)

受賞

最優秀外国語映画賞  

第66回 カンヌ国際映画祭(2013年)

出品

コンペティション部門
出品作品 パオロ・ソレンティーノ
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4

(C)2013 INDIGO FILM, BABE FILMS, PATHE PRODUCTION, FRANCE 2 CINEMA

映画レビュー

4.0【”退廃と虚飾と孤独の人生の根底には、美がある。根っこは大事。”今作は、圧倒的な映像美で綴る、”一人の若くして成功を収めた小説家の男が終生求めたモノは何か・・”という事を描いた作品なのである。】

2024年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 序盤、若い頃に書いた小説”人間装置”が大ベストセラーとなり、印税で悠々と暮らす初老の小説家、ジェップ(トニ・セルヴィッロ)が、毎晩狂騒のパーティに出席しているシーンや、ローマの水道橋の下で、前衛舞踏家の如き全裸の女性が壁にぶつかるシーンなどは、高名なデザイナーでもあるトム・フォード監督の「ノクターナル・アニマルズ」を想起させる。
  パオロ・ソレンティーノ監督作品は、主演者たちの洗練された衣装や意匠を実に美しく描き出しているが、今作であれば屡々映し出されるコロッセウムなど、古代ローマ建築なども大変美しく描かれているのである。
  そしてそれが、映画の気品を高めているのである。-

■現代のローマが舞台。
 若い頃に書いた小説”人間装置”が大ベストセラーとなった初老のジャーナリスト、ジェップは以来、毎夜パーティーを渡り歩く日々を送っていた。
 そんな彼の元に、初恋の女性エリーザの訃報が彼女の夫アルフレードの口で伝えられる。そして彼は”彼女は自分を良き夫としか見ていなかった・・、”と嘆くのである。それを複雑な表情で見るジェップ。彼は若き時にエリーザを愛していたが、振られていたのである。

◆感想

・ハッキリ言って難解な映画である。だが、観ていて面白い映画である。矛盾しているが画が美しくて飽きないのである。

・登場人物達は、皆成功を収めている人たちで、フランスの大女優ファニー・アルダン、イタリアの人気歌手アントネッロ・ヴェンディッティも一瞬出演している。

・それを、ジェップは微笑みながら見たり、挨拶したりしているが独身である彼には何処か、孤独の影が漂っている。
 だが、彼の着こなしはそれは見事なモノで、初老の男としての色香に溢れているのである。

・劇中では、しばしば美しい女性の半裸、もしくは全裸が映し出されるが、これも猥雑感はない。又、登場人物達の会話もスノッブではあるが、機知も感じられるのである。

・印象的なのは、次期教皇と言われる初老の男の俗物振りと、100歳を超えるというシスター・マリアとの対比である。
 初老の男は、美食について語るが、シスター・マリアは根っこしか食べないと語られるのである。そして彼女が一言言った言葉。”根っこが大事。”

・若きジェップは、若く美しいエリーザと石段で会う夢のシーン。彼女はジェップに自分の胸を見せ、脇に消えて行くのである。
 そして、画は何処か呆然とした表情の、初老のジェップに変わるのである。

<今作は、様々な観方を見る側に許容する作品であると思う。
 私は、”退廃と虚飾と孤独の人生の根底には、美がある。根っこは大事。”というメッセージとして今作を捉えた。
 それが正解だとは思わない人も居るかもしれないが、私はそう思ったし、この映画を飽きることなく観れたのは、様々な美を堪能したからである。
 勿論、その美の中には古代ローマ建築の数々も含まれているのである。
 今作は、パオロ・ソレンティーノ監督が、ローマの様々な美を背景に、”退廃と虚飾と孤独の人生の根底には、美がある。”という事を描いた作品ではないのかな、と思って勝手に満足した作品なのである。>

コメントする (0件)
共感した! 3件)
NOBU

3.5不思議な映画

2024年3月16日
Androidアプリから投稿

面白いんだか面白くないんだか分からない、けど見終わって嫌な感じは残らない。あらすじには初恋の女性が亡くなって虚無感を、みたいに書いてあったけど冒頭の65歳の誕生日ですでに始まっていたみたい。書けない(書かない?)作家ってのがちょっと手垢のついた感じで、ん?と思ったけどまあ映画スターってわけにもいかないし、これが妥当か。この物語が成立するのはローマだけな気がしますね。東京でもパリでもミラノでもダメで、ましてやニューヨーク、ロンドンなんて話にならない。ローマに行ってみたくなる映画でした。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
三毛猫泣太郎

2.0うーん

2023年7月9日
iPhoneアプリから投稿

単純

美しくもカッコよくもない人達。何か特徴的な顔の人ばかりではある。ジジババのパリピは見ていて本当にきつかった…映画好きの友人が感想を聞きたいとの事でなんとか頑張ってみた。出だしでキツかった…確かにローマは綺麗だけど、それ以外が全て汚いと思ってしまったし薄っぺらい上に長いとも感じてしまった。
マザー○○○みたいなババアも実際のマザー○○○はいろいろ闇深な人物だから、あのキャラを神聖な存在に思えなかったし、根っこが大事ってベストキッド3かよ(笑)と思ってしまった…ファッションにも興味ないし、昔の自分はイケてたと思ってるような人が見ると何か来るものがあるのかな?結局好き嫌い問題になってしまうが、嫌いな映画であっても好きっていう人の説明でなるほどと納得する事は時たまある。しかし、この作品はいろいろそういった評価を読んでみても、うーんとしか思えない。悪い意味でポエムって印象。未来が完全に無く死しか残ってない状態でみたら良いと思えるのかな。過去の栄光にとらわれてる事を人間味と考えられなくもないが、自分の美学的には後ろ向きは好きじゃないので。
もしかしたら、このムカつく感じが意図的に空虚を描いてるのかもと解釈出来なくもないが、やっぱり対比として、じゃあ美とは?と何も得られるものが無い。もしかして無いって事?哲学ですなぁ

コメントする (0件)
共感した! 0件)
yoshuggah

4.5ローマの壮大なる歴史的建造美を背景に、退廃的享楽に浸る皮肉な老小説家の内面的変遷を描く

2022年5月15日
PCから投稿

「主役の老小説家はまるで”私自身”のようだ」と共感できた者であればどっぷり映画の世界観に浸ることができるかもしれない。
主役ではなく配役の中の誰かに共感できても。

仮に誰にも共感できなかったとしても、ローマの映像描写と種々様々な音楽の組み合わせの妙を感じ取れたなら、それらの視聴に身を委ねるだけで”何か”が内面から湧きあがってくるかもしれない。

そして”何か”を把握しかけ、再度の視聴欲求が生じたなら何度か見ることで、最初は訳わからなかったことが有機的関連を持っていたことが理解され納得できるようになるかもしれない。

しばらく間をあけてもう二三度は見ることになりそうな予感。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
resuwisshu311