はじまりのうた : 特集
~わずか“5館”から“1300館”にクチコミパワーで拡大上映~
「ONCE ダブリンの街角で」監督の最新作が再び奇跡を起こした
「ONCE ダブリンの街角で」で映画ファンと音楽ファンの心をつかんだジョン・カーニー監督注目の最新作、「はじまりのうた」が2月7日に公開される。全米公開スタート時は5館だった上映館が、クチコミの力で1300館へ。見た者の誰をも幸せな気持ちにする、大ヒット作の見どころとは?
■評判が評判を呼び《1000館を超える規模の拡大上映》──
アカデミー賞受賞「ONCE ダブリンの街角で」の“奇跡”が最新作で再び!
製作費はわずか15万ドル、たった2館の全米公開に関わらず、内容の良さが見る見るうちにクチコミで広がって拡大公開され、見事に第80回アカデミー賞歌曲賞を受賞──あなたは、ブロードウェイ・ミュージカルにもなった2007年の名作「ONCE ダブリンの街角で」を覚えているだろうか。アイルランドのダブリンを舞台に、繊細で美しいハーモニーとともに、ストリートで出会った男女の思いを描くラブストーリー、誰もが愛する作品を生んだジョン・カーニー監督が、またもや“奇跡”を成し遂げた。
妻子と別居中、会社をクビになったばかりの音楽プロデューサー・ダンと、最愛の恋人に裏切られ、夢もあきらめようとしていた無名のシンガーソングライター・グレタ。どん底のふたりがニューヨークで出会い、ともに作り上げていく音楽が予想外の展開に発展、明日への一歩を踏み出す勇気を熟成させていく。希望に満ちたカーニー監督最新作「はじまりのうた」もまた、見た者すべてを巻き込むクチコミの大ヒットを記録。わずか5館の全米公開スタートが、ついには1300館へと到達するという“奇跡の再来”となったのだ。
1館当たりの平均興行収入は、全米で同時期に公開された「トランスフォーマー ロストエイジ」を抜いて第1位を獲得。拡大公開後の3週目に、全米週末興収ランキング第9位を記録したことからも、その評価の高さがうかがえる。主人公のふたりには、「つぐない」「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのキーラ・ナイトレイ(グレタ役)、「キッズ・オールライト」「アベンジャーズ」のマーク・ラファロ(ダン役)と、魅力あふれる実力派をキャスティング。ナイトレイは初挑戦となる弾き語りも披露するなど、見どころもたっぷりだ。
クチコミで広がっていく映画こそ、本当に面白い、良い映画なのは確か。あなたも「はじまりのうた」を見れば、大切な友人たちにおすすめしたくなるはずだ。
■「本作は、“なぜ”公開規模が広がっていったのか?」
映画.comがひも解く──本作が“誰からも愛される理由”!
なぜ「はじまりのうた」は、公開規模が拡大して大ヒットとなったのか。誰もが人に話したくなるクチコミのツボ=ロング・ヒットの3つの源を映画.comが解説しよう。
従来のラブ・ストーリーのイメージを覆し、主人公を空想好きの変わった女の子(しかも空想のディテールまでをしっかりと作り込む)にした「アメリ」を筆頭に、「こんなの見たことない」という際立った設定に、観客は興味をそそられるものだ。本作もまた、人生のどん底にいるふたりが偶然出会い、知恵と度胸で成功を目指すという設定が人を引き付けるほか、スタジオを借りる資金のない彼らが、アルバムを録音するためにニューヨークの街中でゲリラ録音するという奇抜さが、これまでにないワクワク感と爽快感を見る者に提供する。
“新しい驚き”も重要だ。ビル・マーレイ演じるハリウッド俳優と、スカーレット・ヨハンソン扮するアメリカ人の人妻の交流を描いた「ロスト・イン・トランスレーション」では、ソフィア・コッポラ監督の感性を通して東京がフィルムに焼き付けられ、日本に暮らす我々が知る風景とは違う雰囲気の都市が観客を驚かせた。本作では音楽によって彩られたニューヨークの風景が切り取られるほか、その中心にいるキーラ・ナイトレイが、初めての挑戦となるギター演奏とキュートなボーカルを披露。見事な歌唱とたたずまいに、見る者が驚くのは確実だ。
クチコミで内容の良さが広がる映画は、マスコミ向けの試写会でも評判がいいのは当然だ。クチコミから大ブレイクした作品といえば、近年では、あるゲイ・カップルが、親に見放されたダウン症の少年と家族としての絆を築いていく姿を描いた「チョコレートドーナツ」がイメージしやすい。今作「はじまりのうた」もまた、このマスコミ受けが抜群という系譜に連なる1本。「ONCE ダブリンの街角で」をお気に入りに挙げる評論家、ライターが期待を込めて試写会に足を運び、鑑賞後は内容について高い評価や好反応を伝えているのだ。
■“友達同士”“カップル/夫婦”“映画ファン”──見ればみんなハッピーに!
凹んだ心も凸(ふく)らませて、誰の心にも元気をくれる!
落ち込んだりしていても、前向きな希望に満ちた本作を見れば、老若男女、誰が見てもハッピーで元気な気持ちになれる! 友達同士、カップルor夫婦、そして映画ファン──あなたが鑑賞するのは、どんなシチュエーション?
シンガーソングライター・グレタと、音楽プロデューサー・ダンが築いていく強力タッグが見どころなのはもちろんだが、彼らに力を貸す仲間たちとのさわやかな絆が見逃せない。恋人に裏切られて部屋を飛び出したグレタを優しく迎え入れるのは、イギリス時代の友人であるストリート・ミュージシャン。そして彼の友人たちが、ダンとグレタのアルバム制作の大きな力となっていくのだ。資金や力がなくても、目標に向かって仲間たちがひとつになっていく姿に熱くなれることは確実。見終わった後は、それぞれが感想を語り合い、友情が深まってハッピーになれる!
主人公が男女ふたりに設定されていることで、男性目線・女性目線が交錯した映画となっているのが本作。カップル、夫婦が気負わず一緒に見られるデート・ムービーとしても最適だ。いくつかある名シーンの中でも、グレタとダンがひとつのiPodで互いのプレイリストを聞きながら街を歩くシーンには要注目。互いの性格を知り、理解と共感を深めていく重要なツールとして音楽が使われ、つい真似をしてみたくなる。また、ダンと別居中の妻(演じるのはキャサリン・キーナー)という長年連れ添った夫婦の姿にも焦点が当てられる。カップル、夫婦の親密度がより高まってハッピーに!
希望を描く物語の力を支えるのは、スタッフ&キャスト陣のクオリティの高さに他ならない。「ONCE」のジョン・カーニーが監督&脚本を手掛けるのはもちろん、ナイトレイ、ラファロの主演陣を筆頭に、「25年目の弦楽四重奏」のキャサリン・キーナーがダンの妻役、「トゥルー・グリット」でアカデミー助演女優賞受賞のヘイリー・スタインフェルドがダンの娘役を演じる。さらにはグレタの恋人役として、アメリカの人気バンド“マルーン5”のメンバー、アダム・レビーンが映画初出演を果たしている。数々の“feel good movie”を見てきた映画ファンでも、やっぱりハッピーになれる!