「期待の「セブン」の監督作品ではあったが…」ゴーン・ガール KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
期待の「セブン」の監督作品ではあったが…
後味の悪い作品ではあったものの、
上手いサスペンスとして魅せてくれた
「セブン」の監督作品でもあったので、
TV放映を機に初鑑賞。
しかし、「セブン」と比較すると、
とても賛同出来る内容とは思えず、
長い上映時間への付き合いが
もったいなく感じる鑑賞だった。
夫婦問題をディフォルメした作品と
言ってしまえばそれまでだが、
最大の問題は、妻の家庭への希求と、
その結果としての犯罪性に隔絶の差がある
ことではないだろうか。
夫の元からの失踪計画も、
昔の交際者の殺害も。
また、妻の夫への愛と犯意が都合よく混在
させていることも含め、
異常人格者と言ってしまえば
それまでかも知れないが、
その割には緻密な犯罪計画が不釣り合いで、
一応、幼年期の経験がもたらしたかのように
描いていてはいるものの、
私には動機が弱くこじつけように感じる。
更には、
良く調べれば妻の細工が分かりそうな
2つの犯罪現場での警察の検証能力を
極端に低く貶めること等、
数多いリアリティの欠如から、
妻による種明かしが早過ぎ、
何かミスリードするための手法とも
考えたため焦点がしぼりきれなくなり、
長い展開もあり乗り切れなかった。
出来の差があるとはいえ、
いずれにしても「セブン」といい、
この作品といい、後味の悪さは格別で、
監督も原作者も、何か人間不信の状況にいる
方のように思えてならなかった。
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