「よくできている話。ラストを知りたいと最後まで目を離させない。」ゴーン・ガール 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
よくできている話。ラストを知りたいと最後まで目を離させない。
最後まで一気にダレることが無く、見ることができた。サスペンスものとして全体がまとまっており、ラストのショットと夫の煩悶が魔性の女の不気味さとこれからの苦悩を予感させ、とても良くできている(見直すと、完全に忘れていたが、物語開始で同じショットを見せている)。
良くできているが、ラストは私が求めている夫のハッピーエンドと妻への制裁のエンドでは無かったため、心につっかかりが残るものであった。しかしそれは監督の色である。ドラゴンタトゥーの女のラストはリスベットにとって報われないラストだったし、ゾディアックではラストは無く犯人が定まらない現実に帰るだけだった。だから、私が求めているラストでは無かったのは監督の表現の帰結がそういう性格をしているからというだけではある。
ゴーン・ガールというタイトルはミスリードを誘っている。タイトルの件だが、ゴーン・ガールは事実ではある(一人の女が行方不明になった)が、その行方不明は偽装されたものであるという意味でミスリードであるということだ。それを踏まえたわけでは無いが、ネタバレ含んだ実際にあるべきタイトルは「サイコパス・ガール」であろう。
途中から妻エイミーの奇妙さが過去の回想を小出しにめくることで見せていく、それと同時に夫ニックの絶体絶命な状況からなんとか起死回生をとあがくリアルを見せていく、その2つの時間軸が絡み合うことで互いにもう片側の軸の展開を見せてほしいと思わせることに成功しており、素晴らしい作りだ。
言い残したこととしては、この作品を見終わって、日本のヤンデレ文化からインスパイアを受けたのかな?と疑問に思った(根拠は無い。調査もしてない)。