チョコレートドーナツのレビュー・感想・評価
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素晴らしかった
男同士でいちゃいちゃしている様子は、正直気持ち悪いと感じてしまうのだが、それでも彼らが真剣にダウン症のマルコを大切に思っている様子には涙が出る。彼らには一切血縁がないのに強固な絆で結ばれているところが感動的だった。
法律が、個人の幸福を一切無視して決まりのための決まりに陥っているのは本当に問題だ。120年前に作られた戸籍の法律のせいで、日本でも、無戸籍で困っている人がいる。DNA鑑定を法律に組み込むだけで簡単に解決できるのに一体なぜしないのか。アメリカはまだ、法廷で正々堂々と対決できるのに、日本はなんとなく先送りにしたり、面倒くさがっているような感じで何も変えようとしない。社会や法律や制度になんか期待するのがバカらしくなる。
まさか、マルコがあんな悲惨な死に方をするなんてかわいそうすぎる。ポールが送った手紙が悲しかった。
ダウン症の負の側面はあまり描かれておらず、そこも踏み込んでほしかった。負の部分があってもなお、親子の絆が強くあるという様子が見たかった。それでも素晴らしい映画だった。
正義はないけどそれでも戦う
かなしいはなしだから、よかった!ってゆう感想はふさわしくないけれど、でもよかった、と言いたくなる感じ。(どんなんや?)
ルディがなぜ一瞬でマルコに愛を注ぐようになったかは、描かれてないけれど、想像ができる行間があったように思う。マルコを見つめる とルディの瞳が潤み、胸が苦しくなった。
ポールの家で初めて寝る晩、マルコにお話をして、とせがまれて、ルディが戸惑いと喜びがまじった表情になり、瞳が潤んで、瞬きをしたところ。あのシーンが切なかった。そこからほぼ泣きっぱなし。
幸せも束の間、ポールの同僚?上司?のパーティでのこわーい視線、そしていきなりルディ襲われる…
三十年ちょっと前まで、あんなにも同性愛者は犯罪者みたいな扱いされてたんや、と改めて思った。
怖いのは、判事も相手の弁護士もポール上司?も、自分の持ってる常識に疑いをかけらも持っていないこと。その常識は裏返せばただの偏見で、その常識からはっする言動は差別でしかなくて。自分が正しいと全く疑わないことは悪だと、思った。
程度はちがえど、今の世もそれは同じだなとも。
救いを感じたのはマルコの学校の先生と、裁判の途中でマルコに面談をした女性が、どちらもマルコはルディとポールといたがってるし、ちゃんとした養育ができるといってくれたこと。ほら、マルコに会えばそう思うのよ。みたらわかるのに、このわからんちんめ!と、相手側弁護士にむかってスクリーンのこっち側からにらんでやった。届かんけども!
ルディの歌はどれも胸に響いたし、マルコの笑顔や泣き顔に切なくなった。ポールもいいやつやのに。結末はあまりにも悲しい、憤りを感じるもので、今でも思い出しては怒りがわく。悔しい。悔しい!ひどい!マルコを返せ!
そこで、黒人の弁護士がゆってた言葉が、強く胸に響く。
正義なんてないけどそれでも戦う、と。
ほんとうにそうだなと思った。
黒人の公民権運動も、なにもかも、今までにあった差別はみんな、正義などない絶望から、それでも戦い続けた結果なんだなと。
ポールとルディはこの後も一緒に過ごしたのかな?差別や偏見に苦しみながら二人で戦い続けたのかな?そうであってほしい、そして幾許かの自由をつかんだのであってほしいと、願った。
きもちよく泣ける、きもちよく感動できるいわゆるいい話ではないけれど、素晴らしい感動作だと思います。
観て下さい。
ジャンキーの母親のネグレクトを受けている愛を知らないダウン症のマルコが、ゲイカップルから深い愛情をうけ、家族と愛情を知る。
しかし、ゲイへの偏見、法という温かい血が優先されない冷たい線引きに結果負けてしまう。
哀しい物語だけれども、実話というのも、余計に涙と憤りを誘う。
アラン・カミングの演技も好演でした。
マルコの幸せそうな笑顔が脳裏に焼き付いていつまでも余韻の残る映画。
any day now
’70年代が終わる頃のアメリカのお話。
ゲイにも障害のある人にも、厳然たる差別があった。それは、今でもあまり変わっていないのかもしれない。
親、友達、仕事、多くのものを失っても、マルコとルディとポールは、家族になろうとした。そこには血のつながりはない。あるのは、愛おしいと想い合う気持ち。
身体によくなくても、好物がチョコレートドーナツだって、いいじゃない。
それを、自分にも周りの誰かにも言うのは、いつかじゃない。
any day now …ルディの歌声が本当に沁みます。
とあるゲイカップルを除いて誰も気に留めなかった、一人の少年の歓びと哀しみ
2014年4月26日、シネパレス銀座にて鑑賞。
物語の冒頭、人形を抱えて一人夜の街を彷徨うマルコの姿。映画を見終わってそのシーンの本当の意味を理解した時、ルディの身を切られるような歌声とポールの手紙を読む淡々とした声の対比とも相まって、いろんな感情が激流のように胸の奥に流れ込んできた。
忘れられないのは、「愛しい」と書いて「かなしい」と読ませるような憂いを帯びたルディのまなざしと、痛々しいくらい不器用な仕草で子どもを抱き寄せていたポールの両腕、そして何よりそんな二人に永遠の「魔法」をかけた、マルコの光輝く笑顔と涙。
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