グランド・ブダペスト・ホテルのレビュー・感想・評価
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最高に楽しませてくれる映画
すれ違うはずの人がすれ違わないとき、物語がうまれる。
ウェス・アンダーソン監督作品は、絵本のような雰囲気が個人的に好みではなかったのだが、本作は楽しめた。
ストーリーは比較的シンプルで、名門「グランド・ブタペスト・ホテル」の初代コンシェルジュであるムッシュ・グスタヴ(レイフ・ファインズ)と、その弟子であるゼロ(トニー・レヴォロリ)の冒険を描く。
グスタヴは、優秀なコンシェルジュで、宿泊客の中には彼を恋人のように思っている人も多くいた。その中のひとりであるマダム・D(ティルダ・スウィントン[)は、ホテルを去るときに、ひどく不安を感じるので一緒に来てくれないかと頼んだが、グスタヴは断る。
その後、マダム・Dは毒殺される。彼女の不安が的中したのだ。グスタブはゼロとともに、マダム・Dの葬式に向かう。そこには遺産を狙う親戚が勢ぞろいしていた。代理人のコヴァック( ジェフ・ゴールドブラム)が遺言書を読み上げる。そこには、グスタヴの名前も入っており、名画「少年と林檎」を相続すると記載されていた。親戚でもないグスタヴに途方もない価値のある絵画が譲られたことで、その場は騒然となる。暴力沙汰となり、その場を立ち去ったグスタヴは、「少年と林檎」の絵画を取り外して、立ち去った。もちろん、それで済むわけがなく、マダム・Dの息子ドミトリー( エイドリアン・ブロディ)は、殺し屋のジョプリング( ウィレム・デフォー)を差し向ける。
といったもの。
ストーリー展開はかなりスピーディーで、うまくまとめたと思う。
製作費は2500万ドル(37億円)で、興行収入は1億7200ドル(250億円)。30 億円が大ヒットの目安だとすると、めちゃくちゃ売れた、といっていいだろう。
こうして書くと、人気のある監督が、スター俳優を大量に使って撮った個性的で楽しい大ヒット映画、という感じになるのだが、本作で語られるのは「孤独」についての考察だ。
登場人物がみんな孤独なのだ。グスタヴの家族は登場しないし、ゼロは両親を殺されて国を逃げてきた移民。マダム・Dも親戚はたくさんいるのだが、孤独だったからこそグスタヴを愛したのだった。
本当の家族との愛はなくても、孤独な人々がつながり、助け合う。
本作で語られる人とのつながりは、本来つながらないであろう人々のつながりだ。ホテルを統括するコンシェルジュと移民のボーイ、そのコンシェルジュと富豪の老婆、そのコンシェルジュとナチス的な軍隊の司令官、またはそのコンシェルジュと収容所の囚人たち。ボーイと、お菓子屋で働く娘。
こういった、顔は知っているけれど、すれ違うだけであろう人々が、不思議な縁でつながる。
本作が公開されたのは2014年。撮影されたのは2013年。そう考えるとシナリオは2012年あたりの世界情勢が影響しているのではないかと思う。当時は世界の指導者が変わり、ユーロ圏の債務危機、シリアの内戦、といった出来事があり、不安に包まれていたのではないかと思う。
そういう時代に「孤独とは、誰ともつながらないことではない」というメッセージを伝えるのが、この映画の目指したところなのではないか。
映画は人間が作るものだ。そこには作られるための意図があり、メッセージがある。それを自分なりに読み取るというのが大切なことだと思う。
クスッと笑えて、最後は深い余韻が残る
学生だったころにテレビでたまたまみた『グレーテルのかまど』、ちょっと変わったお菓子をつくる番組で『グランド・ブダペスト・ホテル』の劇中に出てくるお菓子を扱った回があった。
奇抜な紫の服を着たチグハグな男二人が右往左往する映画のワンシーンがなぜかずーっと印象に残っていて、数年を経てついに観ることができた。
老人の独白から始まるとあるコンシェルジュとロビーボーイの物語。殺人事件に巻き込まれた二人のドタバタ劇が軽快かつコミカルに展開されていく。恐ろしい状況でもクスッと笑えるシーンが多く、突っ込みたくなるほど間抜けに真面目で…とにかく変わってて…。
事件は無事解決し二人は強い絆がうまれ友となり、ロビーボーイは愛する人と結ばれて最後はハッピーエンド。
けれど…。
かつての栄華が過ぎ去ったグランド・ブダペスト・ホテルで自分の過去を語る老人はかつてのロビーボーイその人だった。独白の中で見た若く純真なかつての面影は跡形もなく消え、まったく変わった老いた深い孤独をたずさえていた理由が明かされる。
最後はただただ切なくなりました。
後悔や未練その悲しみに終わりはない。
納得できることもなく…
消したくなることもある、けどその記憶の中に確かに良かった瞬間がある。
悲しみを忘れるということは、その人を愛した気持ちまで忘れるということ。
戦争の足音が聞こえてくる中で幻を維持してくれた心根の優しい友。共に天涯孤独貧しい同士でやっと手にした愛する恋人。
痛みを伴う記憶を愛する象徴がグランド・ブダペスト・ホテル
かつて繁栄を極めた、今はすでに廃墟と変わらぬ姿になってしまったそのホテルがとても特別で愛おしく感じた
深い余韻が残る映画
この先ずっと思い出すと思う
テンポが合わずついていけない😭
ワハハと笑うコメディではなく
フフ、フフフフ…とお上品に笑う感じの全編オシャンな空気漂うコメディ風味ミステリー映画。 ポップコーンにコカ・コーラではなく、高級なチーズにワインなど片手に観る感じなのかな。
映画はある作家の回顧録の形で進む。作家は若い頃によく滞在した、かつての高級ホテル、グランド・ブタペストホテルでの滞在中に出会ったホテルオーナーのムスタファ氏に、ホテルを購入したいきさつを聞くことになる。ホテルのレストランで夕飯をともにしながら、ムスタファ氏がかつてロビーボーイとして働き始めたころの話から聞き始める。
ここからは、ゼロことムスタファ氏と、ゼロが師事したコンシェルジュのグスタフHとのエピソードが回顧録の中の回顧録として始まる。グスタフ目当てに宿泊しに来る常連の女性客の一人、マダムDの不可解な死とその遺産相続のやり取りをきっかけに、グスタフのホテルマンとしての日常が大きく変わっていく。
グスタフの流転の人生…のはずなんだけど、どこか飄々とあらゆる環境を受け入れて周囲の人間の好意を受けていくグスタフと、そのグスタフと固い師弟の絆で結ばれたゼロとの冒険を、殺人やら何やらもう結構なことをやっているはずなのに軽やかに淡々と描いていく。
絵面がいちいちアーティスティックなので、多少汚いところの場面でもなんだかオシャレに見えてしまうし、どんな格好をしていてもグスタフはひたすら伊達オトコ。ゼロのとぼけた感じも手伝って、コメディとしても面白い、けどガハハと笑う映画ではない感じね。
それから、一見無駄な超豪華キャストも必見。え、ジュード・ロウこんだけ?あれビル・マーレイだよな?ジェフ・ゴールドブラムとエイドリアン・ブロディとウィレム・デフォーは、三人ともいつもの役どころでまったくの平常運転やな!などなど、キャスティングもいかにも曲者だらけな感じ。それぞれしっかりハマり役。
なんか、大作観たなー!とか、これは感動巨編やなー、的な映画の合間に、美術館でさーっと美術品を眺めるがごとく楽しみたい、目の保養になる映画。
年寄りには成れなかった……
独特の世界観
この監督の映画を観るのは初めてである。ヒッチコックのミステリー映画をバズ・ラーマンがリメイクしたような感じの作品。
サスペンス・コメディというジャンルの映画は少ないと思うが、その中では出来の良い作品である。ただ最後はなんともあっけない締めくくり方だ。流れから言ってハッピーエンドにするべきでしょう。
コミカルかつアートな寓話
フォッグとパスパルトゥー
『80日間世界一周』だ。
フォッグとパスパルトゥーを連想する。
導入部の相関関係が分からなかったので、もう一度見た。名前から察するに、ハンガリー帝国の話だと思うが、ポリティカルな部分を考えずに見た方が良い。沢山の方々指摘しているように、画面のサイズが切り替わる所がみそだと思った。それで、ドッド方式ワイドスクリーンで上映された『80日間世界一周』を思い出した。
ひとつひとつのシーンが絵画のごとく
第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作。
第72回ゴールデングローブ賞作品賞(ミュージカル・コメディ)受賞作。
Disney+で鑑賞(吹替)。
ウェス・アンダーソン監督の映画を初めて観ました。こだわり抜かれたアングルや鮮やかな美術がおしゃれ。ひとつひとつのシーンが絵画みたいに計算し尽くされていて無駄も隙も一切無い。懐かしさまで喚起させる画づくりに魅せられました。
グスタフ氏とゼロの、ユーモアがたっぷりあって、友情に満ち、示唆に富んだところもあるやり取りが良い。キャストも豪華で、それぞれ個性的なキャラクターを熱演していて魅せられました。ミステリー仕立ての物語も大変面白かったです。
(キューブリック+三谷幸喜)÷2
アステロイドシティの予告編を見てフェスアンダーソンが気になりはじめました。今まで通らない映画の部類だったけど過去作の予告編をYouTubeで観て、一番観てみたかったのがこのグランド・ブダペスト・ホテル。どこのサブスクにもないのでアマプラで購入して鑑賞しました。
結果は大満足。とても楽しめました。このサイトの評価を見た限りあまり期待できなかった分、ハードルをしっかり超えてきてくれました。もしかしたら吹き替え版で観たのが良かったのかもしれない。この手のシュールコメディ洋画は字幕だと言い回しとかが細かく感じ取りにくくて笑いどころとか分かりにくいけど吹き替えならそんな問題なしで楽しめました。
カメラワーク、画角ほぼキューブリックやん。とずっと思いながら、そしてコメディ的要素は三谷幸喜とやり方がすごい似てたり、
本当は星4.0くらいなんだけどちゃんと楽しめたのに他が評価低いから「そんなことない!君は良くやってるよ!」
的感情で星0.5おまけです。
PS ヴォルデモートが主人公の映画
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