天才スピヴェットのレビュー・感想・評価
全115件中、81~100件目を表示
家族の絆は発明出来ないんだよね
優れた映画監督というのは、誰でも、心のどこかに「コドモのココロ」を持ち合わせていると思うのです。本作の監督、ジャン=ピエール・ジュネ監督もそんな一人。大ヒット作「アメリ」はとっても斬新、新感覚のポップなフランス映画。その画の作り込みに、豊かな感性、想像力を認めない訳にはいきませんでした。
前作「ミックマック」も僕はスクリーンで大いに楽しみました。
本作では天才的な才能を持つ子役さんを主人公に据えました。
ジャン=ピエール・ジュネ監督の意図はもう明らかです。
本作はカイル・キャトレットという子役の魅力をどう引き出すのか?その一点に集点をしぼったようです。
舞台はアメリカ西部の「ど田舎」
そこに五人家族の一家がありました。
お父さんは100年前に生まれていれば、きっと幸せだっただろうと思われる、時代遅れのカウボーイです。暮らし方もそれなりにワイルド。奥さんとつまらないことで仲違いすると、きまって外で一日中馬に乗ったまま黙っている。食事も馬の上。雨が降ろうが馬の上。そんな自分の寡黙な姿に、男のかっこよさを感じている、ナルシストなカウボーイです。その奥さん。これがまたくせ者。昆虫を集めている博物学者です。ちなみに特技はトースターを故障させて丸焦げにする事。いままで10台ほどおシャカにしてコレクションしてます。
子供は三人。長女は年頃で、自分はいつかミュージカルスターになる事を夢見ています。二人の弟。これが二卵性双生児。その長男がT・Sと呼ばれている、本作の主人公です。
でも、お父さんとしては、双子の弟の方が大のお気に入り。というのも弟は、活発でオトコらしくって、身体も丈夫で、馬も動物もだいすき。ワイルドなところがお父さんそっくり。父親としては、彼をカウボーイの跡継ぎにと思っています。しかし、ここが盲点でした。
将来のカウボーイ修行のためと、ライフルの扱いさえ、お父さんは認めていたのです。ある日、お兄ちゃんのT・Sと弟が二人っきりのとき、ライフルが暴発。弟は不運にも亡くなってしまいます。T・Sとしては、弟が死んだのは自分のせいではないか? お父さんの希望も、自分が奪い取ってしまったのでは?と心の奥で自分を責める毎日。
それでも、彼が夢中になって遊べるもの、罪の意識を忘れさせてくれる唯一無二のもの。それが「サイエンス」でした。
彼の天才的な頭脳はある時、発明品を生み出します。それをスミソニアン博物館に送ってみました。やがて博物館からT・Sに電話がかかってきます。
「なんて、素晴らしい発明品なんでございますの!!ワシントンDCの当博物館まで、是非是非いらしてくださいませ、表彰式にご招待しますわよ」
ただ、問題がありました。スミソニアンの担当者は、当然この発明品は大人が作ったものだと思い込んでいたのです。やがて、意を決したT・Sは、西部の田舎町から、たったひとり、ワシントンD.C.を目指して旅に出ることになるのです。
という訳で、少年の旅という事では、「スタンドバイミー」を思い起こさせますね。旅の途中、T・Sもいろんな人に会い、いろんな体験をします。本作はそこにスポットを当てるのかな? T・Sの冒険談みたいなものかな? と予想していたのですが、ちょっと趣きが違いました。
もちろんアメリカ大陸横断と言う大旅行ですので、当然、大陸ならではの素晴らしい景色があります。その風景の中で、主人公T・Sがどのように成長を見せてゆくのか? また、いろんなスリルある場面を設定して、それを切り抜けてゆくのか?というのが、まあ、旅もの、ロードムービーの王道な訳ですね。
しかし、ジャン=ピエール・ジュネ監督はそういう面も「多少」取り入れつつも、わざとツボを外した「オッフビート」なネタや笑いをちりばめている様に感じます。この辺りの判断はもう、ご覧になる方の趣味の違いの領域でしょうね。
映画を最後まで観た方には、きっとこの作品は家族を大切に思ったジャン=ピエール・ジュネ監督の優しさが印象に残るのでは、と思いました。少なくとも、僕にとって本作とは、家族が「もう一度家族になる」お話だと感じました。思わぬアクシデントによってバラバラになりかけた家族の絆。その細い糸を寄り合わせ、もう一度、たくましい絆にしてゆく事。それは発明では解決出来ない。それを発見した事自体、T・Sにとって、家族にとって、もっとも大きな大発明だったのかもしれませんね。
とっても、見やすい!
公開前から気になって、すぐ観に行った。
3Dは演出のための技法だという。
納得した。
コミカルな展開もしつこくなく、すんなり観れた2時間だった。
グレーシー、いいキャラしてるわぁ
クリスマスにもってこいだったなぁ。
ちょっと、トムとジェリーを見ている気分になった!
スピヴェットよく頑張ったね
アメリはオドレイ・トトゥの魅力全開でしたが、今作もスピヴェットのカイル・キャトレットくんが本当に可愛い。愛おしい。
科学のことになると饒舌になり、機転も利くし、10才と思えないほど天才なのだけど、
ちゃんと子供の可愛いらしさも出ていて、
他の方も書かれていましたが、ホームアローンのマコーレ・カルキンを思い出しました。
予告編でもジーンときましたが、
本編でもやはり涙してしまいました。
弟が死んだのは自分のせいだと思い悲しみを抱えるスピヴェットの気持ちに胸が苦しくなったり、あたたかい家族にほっこりしたり。
可愛い映画です。
ヘレナ・ボナム・カーター良かった。
脇を固めてるキャスト陣も皆、個性的で良かったです。
3Dが好評らしいので、
3Dで観れなかったことが唯一の残念点です。
重いテーマをコミカルに仕上げたチグハグ感
登場人物は、脇役に至るまでユニークで個性的。軽快なテンポと、絶妙な演出。そして何と言っても、主人公のスピヴェットを演じたカイルくんが、賢くて可愛い。
…けれど、見終わった後、面白かった!という充足感や、深い感動を覚えないのは何故だろう?そのことをずっーと考えてみた。
子どもの頃、父親が溺愛していた兄を不慮の事故で亡くし、父との確執がその後の人生に大きな影を残す「ウォーク・ザ・ライン」。幼少期に、銃の暴発により視力を失った主人公の人生を辿った「ミルコのひかり」。交通事故で突然、兄を失い、その影を求め続ける少年の姿を描いた「ヒア・アフター」。
いずれも、深刻なテーマを真摯な姿勢で描いていて、深い感銘を覚えた。
そう、この映画の、バラバラな家族に追い打ちかけ、スピヴェットが一人で旅立つ原因となった、銃の暴発による双子の弟の死が、コミカルなタッチとあまりにもそぐわず、何ともすっきりしないのである。
原作があるから仕方ないのだが、もっと子どもらしいキッカケで旅立ち、「ホーム・アローン」みたいに笑えて、ほっこりできる作品で終わらせてくれたら、楽しい気持ちで鑑賞できる一本となった気がする。
それでも、このコミカル感の中でも、テーマの本質を演じ抜いているヘレナ・ボトム・カーターは、さすがである。
家族ってば。
なぜみんな3Dを撮りたがるのか、いまだにまったく理解できない。クリストファー・ノーランのような監督はますます孤高になるばかりである。
本作を3Dで観ることになった。
観終わって、3Dであることを忘れる出来であった。
要は中身が良ければ、2Dで十分なのだ。昔の名作が良い例だ。
T.S.は自分の理論を形にした図面をスミソニアン協会に送る。それが賞を受けることになり、モンタナからワシントンへ単身向かうことにする。
ジャン・ピエール=ジュネ監督の眼差しはいつもながら優しい。T.S.の家族はちょっと変わっているのだが、それも優しく受け入れている。
T.S.の双子の弟が銃の事故で落命していることが、家族に、特にT.S.に影を落としている。
ひとり旅ではいろいろな人と出会い、T.S.なりに成長していく。
スミソニアン協会でのT.S.のスピーチは胸を打つ。
そして、家族は、面倒だけどいいものである。
まあまあだった
3Dは好きじゃないので2Dで見た。
ジュネ監督の新作と言うのでまたこってりした映画なのかなと身構えていたらそうでもなかった。今時、ホーボーでしかも子供がそんな行為をするというのがちょっと面白かった。子供のロードムービー。
主人公は発明の天才なのだが、それほど天才性が発揮されておらず、もっと天才ぶりをたくさん見たかった。常軌を逸した天才でも現実味がなくなってしまうので、このくらいがちょうどいいのかもしれない。しかしだとしたら、他の面で面白味を感じさせて欲しい。
双子の兄弟が死んでしまった事が大きなテーマとなっている。そのことにそれほど深く感情が入っているような表現とは感じられず、物語の面白味に子供の死を扱うのはいかがなものかと思う。扱いの軽さが、それほど作品を重々しいものにしていないのが魅力なのかもしれない。
つまらなくはないし、そこそこ面白かったけどあまり印象に残らず、すぐ忘れそうだ。
ほっこり。
主人公の愛らしさは必見
どなたかも書かれていましたが「ホームアローン」を思い出させる映画です
ただ「ホームアローン」のように決してドタバタ劇が見どころな訳ではありません
わずか10歳の天才少年T.Sが実は深い悲しみを背負っていること、家族はその悲しみを無かった事のように振舞ってしまい、結果家族がバラバラになってしまったのです
天才少年の物語はこまっしゃくれたキャラクターが多くあまり好みでは有りませんが、この映画の主人公T.Sはちゃんと「子ども」です
ただひたすら愛されたいと願う普通の「子ども」なのです
だからこそ終盤でパパママに素直に「ごめんなさい」と言うシーンは胸が熱くなります
弟の特権と思っていたパパの帽子をかぶれたシーンは涙が溢れました
主人公T.Sの愛らしさは必見です
そしてこの映画の楽しみである冒険シーン、化学を表現するシーン、主人公T.Sの子どもらしい空想の世界は是非3Dでの鑑賞がおすすめです
意外とファンタジーな要素も多く含むので3Dで観ることで楽しさ倍増です
単に「飛び出す」だけの映像ではなく、様々な工夫が凝らされていてとても面白かったです
アメリっぽい。
アメリもこんな風なお話だったな、と思う。
一風変わった主人公を温かく見守りながら物語は進んでいく。
天才少年の孤独と渇いたユーモアが交互に訪れる作品。
3Dが面白い使い方をされていて、飛び出す絵本の場面など、
かなり趣向を凝らしているらしい。観れば良かったかな。
最近やっと減ってきた3D上映だけど(個人的に好きじゃない)
さすがジュネ監督、面白方向に変換させたみたいだ。
各章の冒頭に出てくる飛び出す絵本は確かに凝ってて楽しい。
いかにも天才児という顔をした主人公・スピヴェットを演じる
カイル君、聞けば6カ国語を操るマーシャルアーツの達人らしい。
ナニ本当に天才なんじゃん!と、やはり人は見た目だった(爆)
繰り出す台詞もその行動も実に大人びていて頼もしい。
だけど、普通の10歳児の感情もちゃんと持ち合せている。
事故で亡くなった弟のことが頭から離れず、寂しくて堪らない
心の隙間を埋めてくれる両親や姉も未だ抜け殻のような感じ。
そんな中で突如舞い込んだスミソニアン博物館からベアード賞
受賞のお知らせ。まさか子供が!?とは夢にも思わない館側は
スピーチの依頼をする。困ったスピヴェットだが、意を決して
モンタナの自宅からたった1人でアメリカ横断を始めるのだが…
映像は凝っているが内容は普通のロードムービーなので観易い。
おそらくこうなるんだろうな、と思うラストへと繋がっていく。
弟の死によって離れかかった家族の心がまた集結する、という
テーマにはなっているが、そこまでの彼の冒険がメインなので
後半は(感動はすれど)面白さが尻すぼみになっていく感がある。
うん、やっぱりアメリっぽい。最後までそう感じた。
(スピーチでポロリ泣くところがメチャ可愛い!あの子供らしさv)
アンチビルドゥングス
子供が主役のビルドゥングスムービー。
かと思う暇もなく、なんせ彼は、T.S.スビヴェットは初めから天才だし自立している。
最後には自力で親父の帽子をかぶる彼は、これからも独立独歩で行くのだろう。
軽快なシーケンスで楽しく観れた。
同じ劇場に居た、よく笑う老夫婦にも感謝。
是非3Dで!!!
飛び出す絵本のような楽しい映画でした!
正に飛び出す絵本。
3D版で鑑賞。
正に「飛び出す絵本」のような、ジュネ監督久々に快心の一本。
いや、3D映像だから飛び出すんだけどね…
天才少年のアメリカ横断独り旅を通し、すれ違った家族の再生を描いた物語は鉄板だけれども。
それを描く画面の仕掛けが楽しいこと楽しいこと!
3Dである事を逆手に取ったかのような、やりたい放題が堪らない。
いつも監督の作品にある、どこかしらのダークさや歪さは姿を潜め。
その分昨今流行りの「自然な立体感」に、全力で砂をかけるようなメリハリが効き過ぎ!位の画面の凸凹が、作品のトーンとは関わりなしにまるでサーカスのよう!
スピヴェット役の子も名演だったけど。
何よりも母親を演じたヘレナ・ボナム・カーターが素晴らしかった。
旦那はもうちょっとデキる彼女を大事に撮ってやって頂きたいな…
ともあれ。
懐かしくて、暖かくて、若干奇妙で忙しい…
家族で観るのもオススメな作品。
鑑賞は是非3D版で!
可もなく不可もなく
全115件中、81~100件目を表示