「チャウ・シンチー版摩訶不思議アドベンチャー!」西遊記 はじまりのはじまり 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
チャウ・シンチー版摩訶不思議アドベンチャー!
お馴染み『西遊記』だが、皆が知ってる『西遊記』ではない。
三蔵法師がまだ妖怪ハンターだった頃のお話…。
と言ってもそれは、監督チャウ・シンチーによるオリジナル。
自由度の高い『西遊記 エピソード0』。
若き妖怪ハンターの玄奘。後の三蔵法師。
“わらべ唄”で妖怪の善の心を取り戻そうとするも、いつも失敗ばかり。
何度も危うい所を、美人妖怪ハンターの段に助けられ…。
チャウ・シンチー作品なので、肩の力を抜いて楽しめる娯楽作。
冒頭の妖怪魚退治は、ユニークなアクションの連続。(実はこの妖怪魚の正体は…)
ある妖怪が人間がやって来るのを待ち構える“店”には、人間の丸焼き!…というチョイグロ&過激描写。(この妖怪の正体は…)
何故か段は玄奘に一目惚れ。仲間の協力や妖術を使って、あの手この手。
ここら辺のベタな笑いやギャグはTHEチャウ・シンチー印。
珍道中繰り広げながらの冒険。
旅の目的は、孫悟空。
妖怪ハンターとして、悟空を善き妖怪にする。
しかし今作での悟空、かなりの曲者。
悟空の他後の旅のお供も、かなり独特の姿形で描かれる。
後の三蔵法師と後の旅のお供たちの、奇妙な出会いの物語でもある。
終盤はVFXをたっぷり用いてのアクション。
悟空は大猿の妖怪に変身したりして、何かアレみたい。
鳥山明は『西遊記』に影響を受けてあの超人気漫画を描き、チャウ・シンチーもその超人気漫画路線を目指しながら本作を作ったとか。
確かにこの摩訶不思議アドベンチャー、そんな感じだ。
ありえねー!アクションとベタベタ笑いだが、終盤は真面目に熱くなるのがチャウ・シンチー作品。
悲恋。
僧侶としての目覚め。
そして三蔵法師として、お供と共に、旅のはじまりはじまり。
エンディングに日本人には聞き覚えのあるまさかのテーマ曲。
あ、でも、あのアニメじゃないよ。