マンデラ 自由への長い道のレビュー・感想・評価
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論理的な自己犠牲の勝利
私にとってはキネマ旬報第115位の評価以上のネルソン・マンデラ史作品だった…
先々月、
「インビクタス/負けざる者たち」を観て、
余りにも完成されたマンデラ氏の人間像、
以前は武装闘争まで行った彼が、
長い勾留期間も含め、どのような経緯で
あのような優れた人物像に
成長し得ることに至ったのだろうと
思っていたところ、
近所の図書館にこのDVDが置いてあったので
そのヒントを求めて初鑑賞した。
そして、この作品は丁度「インビクタス…」の
冒頭に繋がるまでの内容であることが
分かった。
さてこの作品、残念ながら、
マンデラが「インビクタス…」で見せた
人間性・寛容性がどう培われたのかは
良く分からなかった。
この作品から受ける私の想像だが、
彼は弁護士時代からリーダーになるべく
素養があったような印象も受けたし、
そのタイミングでの国づくりには
白人への寛容性が無ければ上手く機能しない
と判断した現実的な政治決断だったのでは、
との思いに至った。
もちろん、彼の強靱な精神力があったことは
論を俟たないと思うが。
当時のことは、
子供心にかすかに覚えていて、
アパルトヘイト政策のために
世界的孤立を招いていた南アフリカが
その打開策の一環で白人政権が
マンデラを釈放したことが思い出された。
しかし、更にこの作品では、
デクラーク政権は、
マンデラ大統領を生むべき政権として
発足したかのような見方もあったこと、
また、その過渡期では黒人世界が
割れていたことも知ることが出来た。
この映画は
「ブーリン家の姉妹」の監督作品と知ったが、
この作品の方が
良く出来ているように感じる。
いずれにしても、ネルソン・マンデラ史を
しっかりと学ばさせていただくことの
出来た私にとっては、
キネマ旬報第115位以上の
価値ある作品となった。
現在の南アフリカの発展に比べると近年までこのような暴力などひどい人...
アパルトヘイト
音楽がいい♪
青年マンデラはヨハネスブルクで法律を学び、やがて反アパルトヘイトを掲げるアフリカ民族会議(ANC)に入党。非暴力主義を唱えていたANCに限界を感じたマンデラはやがて過激な武装闘争を推し進めるが、結局はそのおかげで裁判にかけられる。最初は死刑を望んでいた検察側だったが、裁判官の温情?のため仲間とともに終身刑に・・・18年間は孤島の刑務所にてすごすことになる。ここで自ら反省し、またしても非暴力の思想が・・・前半の見どころは刑務所内での“長ズボンの要求”だ(笑)。
2番目の妻となるウィニー(ハリス)も活動していた。しかし、やがて武器を取ることを選んでしまったウィニーは釈放されたマンデラとたもとを分かつことに。
マンデラは尊敬すべき人物ではあるが、こうした伝記っぽい作りにされるているのががっかりでもある。しかし、ところどころ民衆パワーの掛け声や歌に涙してしまう。マンデラがそうであるのだから、もっと民衆パワーを前面に押し出してくれてもよかったかな。復讐したい気持ちはあるが、そうはしない!アパルトヘイトの悲しさをもっと語られても良かった・・・
どんなに強くても女性の強らには敵わない。
ネルソン・マンデラは自由と共に
27年間も投獄されながらも、アパルトヘイト撤退と自由の為に闘い、後に南アフリカ大統領となったネルソン・マンデラ。
何度も映画の題材になっているが、本作は直球の伝記モノ。
ネルソン・マンデラという人物を改めて勉強するには丁度いい。
偉人として描かれる事が多いマンデラだが、意外や知らなかったその人物像も。
若い頃は弁護士だった事は何かで知ってたが、妻が居ながら、浮気…。結婚も3度も。
こういうダメな部分も描くのはいい。包み隠さず、それが伝記映画というモノ。
南アフリカでの人種差別の現状を目の当たりにして、抗う闘いに身を投じていく。
その方法は、時に実力行使。
国家から反逆者、テロリストなど要注意人物扱いされる。
しかし、その国家も、白人警官たちが無防備の黒人たちに銃を向け、発砲する。
目には目を…って訳ではないが、国の不条理な暴力と悪意の無い闘い、正しきは?と考えさせられる。
有罪。終身刑。投獄。
でも、本人が最も苦しんだのは、家族にも被害が及んだ事だろう。
妻も逮捕。拷問のような仕打ち。
罪人の身内も同罪って、一体いつの時代の事か。
こんな事がほんの50年も前の南アフリカで起きていた。
やがて南アフリカで、アパルトヘイト反対の気運が高まる。
国民が行動する。
国民はネルソン・マンデラを欲している。
釈放、そして…。
後は承知の通り。
波乱に満ちた半生だが、それが胸打つのは、ネルソン・マンデラ自身がそれらを経験したから。
見応えはあってその半生を知るには良かったが、作品はちょっとパンチに欠けると言うか、教科書通り型通り。
アパルトヘイト反対の闘いに身を投じる事になった動機、獄中生活時代の苦悩、国民の立ち上がりなども何となくは分かるが、何か深みや強さが足りない。
ラグビーを通じて人種の壁を無くそうとした『インビクタス』の方がじわじわと胸打つ。
2時間半の長尺は身構えるが、ネルソン・マンデラの95年の人生を全て描くには短すぎた。
なるほど、だからこれまで『マンデラの名もなき看守』『インビクタス』など一つの側面を切り取り、本作のような直球の伝記モノが作られなかった訳も頷けた。
イドリス・エルバの熱演は素晴らしい。
それにやはり、ネルソン・マンデラは偉大な人物だという事は再認識させられた。
彼は何も、南アフリカの黒人たちだけの自由の為に闘ったのではない。
南アフリカの国民一人一人、南アフリカという国の自由の為に闘ったのだ。
ネルソン・マンデラは“自由”の名と共に永遠に刻まれる。
闘いを止めなかった男
言論の闘争により自由を求め、非暴力を訴え、南アフリカの平和実現のために命を懸けて戦ったネルソン・マンデラの物語。1994年4月、マンデラが南アフリカ共和国大統領に就任した時点で映画は終了する。
印象深かったのは、大統領選挙前にマンデラが全国民向けに出した声明で、”白人を赦す”と発言したこと。白人に対する憎悪が極限に達していた黒人達には到底受け入れがたい内容だったが、マンデラがいかに非暴力で国を団結したかったかがわかる。
どこの国ででも、大統領は板挟みの状態。国民の意見に耳を傾けるのが政治家の仕事でもあるが、時には国や地域をよりよくするために何をすべきか、ということを自らの判断で決断することも必要だろう。それにはもちろん正しい信念を要する。
現在の日本はどうだろうか。テレビや新聞を見ると、安全保障法案に反対する声が多いように感じる。それにも関わらず、安部政権は”強行採決”した。
安部首相は信念に基づいてこの決断をしたのだろうか。日本は平和の道を歩むことはできるのだろうか。
国家のリーダーの決断についても考えさせられる映画だった。
心が暖まりました。
差別とは
長いダイジェストみたいな映画
自由の歴史
95年の人生を懸けて。
ネルソン・マンデラ氏の自伝を基に描いているだけあって、
おそらく彼の実像に最も近いのだろう。
今作では彼を聖人だとは描いておらず、反アパルトヘイトを
掲げるアフリカ民族会議(ANC)に身を投じた彼が、
政治活動に傾倒していく様子が冒頭から色濃く描かれていく。
非暴力主義を貫くことの限界、過激な武装闘争に身を投じて
テロ活動を行うしかなくなった彼らの選択には胸が痛くなる。
なぜ、どうして、ここまで黒人が差別され卑下されるのか。
どんな疑問を抱こうとも、法すら解決してくれない時代。
彼が生きた時代の恐ろしさとおぞましさ。
自身の活動によって家族との縁が薄くなり、結婚しても
結局破綻する。冒頭とラストで彼が回想する幼い頃の家族、
皆が笑い合い、一緒に食卓を囲む風景が遠くに霞んで見える。
どれほど長い闘争が続き、どれほどの自由が奪われ続けたか、
人々はその環境で得た苦しみを、何か憎むことでしか復讐を
成し得ないものだろうか。2番目の妻ウィニーとマンデラが
相反する決意を浮かべたあたりから、難しさが充満してくる。
ずっと闘ってきた人間と、これからを考える立場にいる人間。
目には目を。歯には歯を。そうしなければいつか殺される。
それが唯一の生きる糧だった妻にマンデラが告げたこととは。
アンタはのんびりトマト栽培かよ。それでいいのか?と訴える
若者に対し、後に釈放されたマンデラが実現させたこととは。
少し前に観た映画で(今作と比べるのもどうかとは思うけど)
母親と息子の人生を引き裂いたシスターに対して、その母親が
下した判断を思い出す。罵声を浴びせても、法に訴えてもいい
その立場で、母親がシスターに下したのは全ての赦しだった。
憎しみを終わらせることは難しい、恨んでも殺しても癒えない
その苦しみをどうしたら受容や赦しの心に転化できるんだろう。
彼の演説をじっと部屋で聞いているウィニーの姿が映った時、
いままでの彼の云わんとすることが通じてくれれば、と思った。
無条件で相手を受け容れることから理解は育まれていくのだと
人間マンデラは95年の人生を懸けて、私達に教えてくれている。
(ボノが書き下ろした「オーディナリー・ラヴ」が、また素晴らしい)
引き込まれた‼︎
生きた人間マンデラ
アパルトヘイトのひどい状態を描く、よりもマンデラの人間性を描いた映画です。
はた目にもひどい、ということも人として生きていく中ではある・・・。変に隠したりごまかしたりせず、率直に語る人だからネルソン・マンデラらしいのかもしれない。そんな人だから信頼され愛されたのかな?とも思います。
とはいえ、ANCないのゴタゴタ、妻との不和等が映画としてきちんとまとまっているか、というとあまりに駆け足すぎるよう。
大統領就任で映画は終わるのですが、実際はまだまだ彼の人生はここから・・・。
観ていて消化不良を感じてしまいます。
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