劇場公開日 2015年3月7日

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「前編は危なっかしい内容、後編の展開に期待」ソロモンの偽証 前篇・事件 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5前編は危なっかしい内容、後編の展開に期待

2020年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合:70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 何でも大規模な配役試験を経て中学生役の出演者を選んだらしく、出演者が良い。このような作品だと事務所のごり押しとか映画会社の宣伝効果のための人気取りを優先して、知名度はあってもとかく配役とは異なる大人な年齢の役者や実力のない役者が無理やり中学生を演じていてしっくりとこないことが多い。
 しかし本作では配役とほぼ同じ年齢の役者にしっかりと演技をさせていて、まずそこが評価出来た。これによってまだ大人になり切れていない中学生が直面する学校生活の数々の問題に苦しむ様子が自然に理解出来る。

 この前半での物語は危なっかしさが目立った。告白状だけでは信用がおけず真実がわかるものではないし、告発状を受け取ったとされる担任の教師は受け取ったのにそれを破って破棄したと調査もされずに決めつけられているし、とても出鱈目な状態で話が進んでいた。それでいて校長の津崎は真実を追求しようとしないまま事なかれ主義で無責任だし、事件後の学校側の対応も不誠実だった。これでは何が真実でどうなっているのか、誰も納得できるものではない。
 だから主人公の涼子が学校を信頼せず真実を追求しようとするという流れは理解できる。また優等生涼子自身も完璧とは程遠くて自らの行為に呵責を感じているのも良い。なかなか凝った設定で、多くの登場人物がそれぞれの事情と背景があるというのが、物語を複雑にして簡単には終わらせないということを暗示している。

 それにしても生徒による裁判というのはどうなのだろうか。それなりに能力が無ければ裁判は不完全で不公平なままになってしまうし、そうなればそれこそ冤罪とか反対に有罪の人を無罪にしてしまうとか間違った方向に進んでしまいがちだ。本来なら出席するべきはずの人も、わざわざそのような裁判に出席する必要など無いと考える人もいるだろうし、証拠と情報だって警察は公開してくれないだろう。かなり無理があるような気もするが、どうなるのかとりあえず後編を観てみたい。

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Cape God