「安定のマンネリ感。」まほろ駅前狂騒曲 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
安定のマンネリ感。
映画版→ドラマ版→また映画版、と続けて観ているけれど、
多田も行天も変わってない。このマンネリ感がいい。
映画版をドラマでやや派手に(大根仁)した感があったけど、
私はこの大森立嗣の焦点の定まらない不安定さも好きだ。
二人によく似合っている気がする(基本原作通りだとか)
多田(瑛太)と行天(龍平)のコンビは、なにも成長していない
ようで、いくらか成長しているような、また同じことで喧嘩
しているけど、やや距離が縮まったような、そんな気がする。
今回は、行天の娘(精子上の)はるちゃんが登場する。
常連キャラを総登場させたうえ、謎の新興宗教団体事件や
バスジャックまで描いているので、さらに雑多になっている。
はるちゃんや、行天の過去を知る団体代表の小林(永瀬)が
おそらく今回のメインであるはずなのだが、どうも存在が薄い。
とりあえず便利屋は客を選べないので、介護から盗撮まで
多岐に渡って次々と引き受けるのだが、いや~大変だなぁ^^;
はるちゃんも言ってたけど、行天はたいして働かないし…(爆)
多田の過去を深く描いた一作目から、今回は子供を通して
行天の過去や心情にも(ダラダラとだけど)迫っていく内容に。
多田が子供の墓参りに行って話しかけるところは泣けたな…。
(笑い泣きしたのは、亜沙子さんとのあの場面だけどね)
瑛太も龍平も口数が多くないので(実際も)、台詞の間や表情、
ヘンテコな動作や態度がいちいち面白い。いつも困っている
ような、安定感のなさから生まれる包容力にジンとくるのだ。
どちらも大好きな俳優…というのもあるけれど、
子供を抱く何気ない仕草や、二人ではるちゃんを囲んでリス
と戯れるシーンなど、さり気ないシーンでの二人はパパ度を
発揮している。子供に対する目線は俳優も嘘がつけない。
由良に対する優しさもビンビン感じる。もしもこんな二人が、
本当に便利屋をやっていて(まぁ仕事面で色々不便はあるけど)
何かものすごく不条理なお願いをしても、きっと聞いてくれる。
そんな父性的な安心感が女ごころや母親魂を擽りまくるのだ。
(もちろん優作ネタは今回もやってます。あと小指の想い出ね)