「フランシスは…」フランシス・ハ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
フランシスは…
公開時は俊英ノア・バームバック監督作として注目されただろうが、今となっちゃあ女優に留まらず監督としても高い評価を受けるグレタ・ガーウィグのブレイク作として注目。“ダークサイド”に堕ちる前のアダム・ドライヴァーも出演。
何だかまるで、ウディ・アレン映画を見ているようだった。
舞台はニューヨーク。
そこで生きる人々の人生観、恋愛観。
軽快な演出、ナイスな選曲、洒落た台詞。
『マンハッタン』を彷彿させるモノクロ映像…。
バームバックもニューヨークで生まれ育ち、ニューヨークが舞台の映画を撮り続けているニューヨーカー。将来のウディになるかも。
ウディ映画と違うのは、主人公像。ウディ映画の主人公はインテリで、少々鼻に付くひねくれ者が多いが、本作の主人公は共感・応援したくなる。
プロのダンサーを目指すフランシス。
夢を追う彼女の山あり谷ありのサクセス・ストーリーであるのだが、当初は自由気ままな暮らし。
今が楽しけりゃいい…今の若者そのもの。若干KY気味の、ダメ人間。
が、ルームシェアしてた親友が恋人と暮らす為にルームシェアを解消、さらに恋人にもフラれてしまう。
突然立たされた人生の岐路。
新しい住まいを求めて街を転々、新しい人生を探して街を模索。
時にユーモラスに、時にシリアスに、共感度たっぷりに、ヒロインの友情、恋愛、夢、挫折、再起、成長…。
グレタ・ガーウィグが生き生きと好演。脚本も兼ね、このヒロインはガーウィグ本人だろう。
音楽や数々の楽曲がヒロインの心情やシーンにハマり、本当に心地よい。
また、このちょっと変わったタイトル。最後に意味が分かり、ニヤリ。
小規模・低予算のモノクロ作品で実験色が濃いが、意欲作。
バームバックのセンス、ガーウィグの才に溢れた快作。