「ややコミカル＆アジアンテイストな『ミッション：インポッシブル』」ルパン三世　浮遊きびなごさんの映画レビュー（感想・評価）

日本人なら誰もが知る『ルパン三世』の実写映画化。
監督を務めた北村龍平は『ゴジラ FINALWARS』という名の劣化版マトリックスを撮った方なので
個人的な印象はすこぶる悪いのだが(笑)、それでもこの映画はけっこう楽しんで観られました。
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原作イメージの再現については諸々意見あるだろうが、僕は小栗旬のルパンは外見もシャープでハマってたと思う。
まあ黒木メイサは細すぎるし玉山鉄二と綾野剛は太すぎるが(笑)、
セクシーというよりクールな峰不二子も悪くないし、後者２人は銃や刀での身のこなしがグッド。
あと、浅野忠信は恐らく彼のキャリア史上で最も役作りしてるんじゃなかろうか(爆)。

まぁあまりアニメに思い入れの無い人間の意見だけど、
荒唐無稽なキャラを上手く実写に落とし込めてると僕は感じた。
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それに本作、アニメ並のスケールの話を実写で再現しようとして、これが割と成功しているからスゴい。
シンガポール、香港、日本、タイとアジア全土で物語が展開。
チームプレーで最後の仕事に挑む流れも含め、アジアンテイストの『ミッション：インポッシブル』なノリだ。

スケールの大きい邦画って、それに見合うだけの映像が仕上がらず、観てるこっちが気恥ずかしくなるほど
チープに見えてしまうことも多いが、本作ではそんなチープさは殆ど感じられなかった。
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アクションシーンも気合いが入ってる！
『るろうに剣心』以前と比較すればだが……アクションについては邦画の中でもかなりレベルが高い部類かと。

格闘シーンのカットが細かすぎて見づらいのはかなり大きな欠点だが、それでも
役者さんの動きのキレは良いし、銃撃戦や爆破シーンの迫力もなかなかのもの。

クライマックスは荒唐無稽なスケールで繰り広げられる一大アクションシーン！
主人公たちそれぞれにライバルを登場させて最後に決着を付けさせる王道展開も燃える！
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最大の欠点はテンポだと思う。
133分と長尺の本作だが、中弛みを感じる瞬間は少なくない。
特に、北村監督が好みそうな男臭さを感じさせるシーンは長過ぎる。
代わりにもうちょいコミカルなシーンが欲しかった気も……。
あとカーチェイスシーン。かなり頑張っているとは思うんだけど、
全体のアクションの出来と比べると物足りないので、ちょっと贅沢を言ってみたくなる。
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だけど総じて面白い！
スケール感もあるし、アクションもユーモアもあるし、ストーリーにも軽くヒネリが利いている。
エンターテイメント大作として一定以上の出来。続編出るなら観たいです。
その際はもう少し火薬量とカーチェイスを増やしてほしいなあ。格闘シーンのカットも少なめで。
あと、五右衛門にはもう少し修行して、次は車を真っ二つにするくらいの気合いで挑んでいただきたい(笑) 。

〈2014.08.30鑑賞〉
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余談１：
日本、台湾、韓国、タイ、アメリカなど５ヵ国ものキャスト＆スタッフが集結して作った本作。
最近はハリウッドで映画を撮ってた北村監督だが、これだけ多種多様なスタッフをまとめたのはスゴいこと。
（なので本当は邦画と呼ぶよりアジア映画と呼ぶべきなのかもしれない）

で、キャラクターも当然５ヵ国以上の人間がゴチャ混ぜなので、劇中では全員日本語に吹き替え。
序盤こそ違和感があったが、「まあアニメやマンガじゃ普通にあることか」と勝手に納得。
キャラクターみんな世界的な泥棒やら警察やらなので、語学も堪能と考えれば問題ないさね(笑)。

余談２：
本作は問題なかったが、スケールの大きい邦画でワールドワイド感を出そうとして
外人さんを登場させたものの、かえってチープになる映画って多い。
なんと言うか、バラエティ番組で外タレさんがやってる再現映像みたいな薄ら寒さを感じることって無いすか。
『20世紀少年』とか『人類資金』とかJ・チェンの映画とか。
まあこの辺は、役者さんの責任よりは演出する側の腕による所が大きいんだろうと思う。
ちなみに、『アジョシ』でベトナム人の殺し屋を演じていた
ラム・ロワンの登場が、外国人キャスト中で一番嬉しかったりした。