「正直70点レベル。なのに・・」寄生獣 完結編 ルイコスタさんの映画レビュー(感想・評価)
正直70点レベル。なのに・・
心を揺さぶられましたねぇー。
これはホント原作の力。
原作の大ファンですけど、やっぱり寄生獣の深淵さ、壮大さ、その世界観は圧倒的でした。
中でも田宮良子はスゴかった。深津絵里さん、半端ないです。赤ちゃんの笑顔をきっかけに母性に目覚めていく過程は、抜群だった。原作にないセリフもその点は過不足なくてよかったなー。
ただ後藤の命をどうするか逡巡するシーンをはじめ、冗長に感じるシーンも多かった。原作ファンもいれば、初めまして世代もいるから難しいとは思うけど。
ちょっと気になった点を、書き連ねると。
・田宮良子VS寄生生物3人のシーン
あそこはもっと丁寧にやってほしかったなー。田宮良子の知性が存分に発揮されるシーンだから。
・市役所での攻防
あれももっとちゃんとやってくれー。人間が初めて寄生生物に攻勢に出るシーンであり、組織対個人を象徴するシーン。現場に新一がいないとどうしてもサブストーリー的に感じられる。ああいう構成で物語のテンポは上がるが、メッセージがちゃんと伝わったかどうか・・
・田宮良子のラスト
あそこは身バレする必要があったかなー。確かに衆人環境なのに我が身を犠牲にするというメッセージはよく分かった。ただそうなると、我が子を助けた田宮に発砲したことが理不尽に感じてしまった。あくまで警察側は田宮良子が寄生生物かどうか分からない前提でいかなければ発砲する必然性に欠ける気がした。
・新一と村野のエッチシーン
あそこまで段取り踏む必要あったか??確かにお互い初エッチだとそんなもんかもしれんが(笑)新一が村野のことを大切に感じていればそれでよかったのでは・・
・後藤の命をどうするか逡巡するシーン
もうちょい画柄をどうにかしてくれー。もっと画のバリエーションを増やしてアップとロングの意味を際立たせてくれれば、もっと見れるシーンになったろうから。
全体として時間は伸ばさなきゃダメかも。でもね、3時間こえても自分はそれでもいいですけどね。
ここまで文句を言ってもね、この作品、自分は好評価です。
それはなぜか。
原作が素晴らしいことがひとつ。
それと、製作陣がこの原作を大好きなこと。
それはちゃんと伝わってきました。
原作から何年経ったか分からんが、この作品にもう一度光をあてようと考えた製作陣にはホント敬意を表します。
あともうひとつ。
あそこで放射能を入れ込んできたこと。色んな意見があるだろうけど、自分は賛成です。原作が危惧してた事態が、まさに現実になってると思うし、そのことをメッセージに込めることこそが、ちゃんと原作の世界観を表現するってことだと思いますわ。