劇場公開日 2014年6月28日

  • 予告編を見る

「スカヨハAIになら間違いなく恋をする」her 世界でひとつの彼女 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5スカヨハAIになら間違いなく恋をする

2015年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

人間と人工知能の恋と言う物凄く突飛な設定のSF恋愛映画でしたが、思いのほかスンナリと世界観に浸れたのは、やはり奇才と呼ばれるスパイク・ジョーンズ監督の手腕ならではでしょうか。
どう考えてもコンピュータに恋するなんて、ありえない話、普通に考えてアブナイ人ですよ(苦笑)
でも、恋しても全然おかしくない、そう思えるような人工知能サマンサを構築させた監督の手腕、見事過ぎます!

離婚で心が傷つき寂しい時期に、こんな完璧な女性(人工知能)に出会ってしまったら、確かに人に何と言われようとも、恋をしてしまうこと間違いなしでしょうね。
自分の全てを理解してくれて、秘書的な役割も完璧にこなしてくれて、時には叱咤激励してくれたり、落ち込んだ時は慰めてくれたり、しかも人間と同じように嫉妬までしちゃう、ある意味本物の理想の女性。
冷静に考えればプログラムですから当たり前なんですけど、恋は盲目とはまさしくこのことって感じで・・・。

それにしても、主人公セオドアと人工知能サマンサの恋の結末は、また思いがけない結末と言うか、ある意味必然と言うか、切なさたっぷり、でもほろ苦さの中に微かな希望が宿る、人間らしさ漂わせるラストに、監督のセンスの良さを見た気がしました。
離婚に踏ん切りがつかず打ちひしがれていたセオドアの成長物語としては、とても見応えのあるストーリーだったと思いましたよ。

しかし声だけの出演でここまでの存在感を出せるスカーレット・ヨハンソンのハスキーボイス、凄過ぎです!
顔が想像出来ちゃうぐらいの存在感は、魅力的である反面逆にマイナス要素でもあった気はしましたが、でも彼女の声がこの作品の価値を高めたのは間違いない事実でしょう。
ちょっとキモ系バツイチ中年男を演じたホアキン・フェニックスの演技もお見事の一言、やや哲学的なテーマに好みは分かれそうですが、私は面白かったです!

スペランカー