「*ネタバレ*映画の内容そっちのけ*」ローン・サバイバー 紋さんの映画レビュー(感想・評価)
*ネタバレ*映画の内容そっちのけ*
イスラム過激派組織の人たち(所謂イスラム教を悪用しているテロリスト達)を相手にする作品は数え切れない。
毎回のように心が震える場面は、米軍が倒れた仲間の兵士を必ず救出しようとするところだ。
そして、イラク戦争やアフガニスタンなど、過激派組織相手の作品に登場するテロリストらは、毎度の事ながら、どうしても、それらしく見えないものである。
米軍が仲間を助けるところをテロリストに狙われる、という痛ましい事は実際に起きている。
腐るほど埋まった地雷、あたりかまわず自爆攻撃、など、仲間を助ける米軍の兵士に比べ全くなんの大義も持たぬ迷惑な過激派達は、確かに悪なのだ。
しょっちゅう見る「ロシア(もしくはソ連)対アメリカ」な物よりずっと納得のいく展開ではないか。
ただ、どの映画もそうだが、「なぜ米軍が狙われるのか」までは描かれない。
もしかしてそれは常識なのか?
答えはノーだ。
テロリストらは悪だ。当たり前の話だ。
けれど米軍のすべての兵士、米国政府がすべて善ではない。
それを踏まえた上で見なければ何故アメリカがここまで嫌われるかは理解できない。
ところで今回の作品は実話をもとにしたもので、米軍の中でもエキスパート達が腐るほどのタリバンと対峙し戦う。生き残れるはずもない状況の中で、決死の覚悟で向かう米軍の兵士。凄まじい死闘がずっと続く。
この映画の何が、一番にクールかといえば。
最後大怪我を負いながらも生き残った兵士を、パシュトゥン人の地元住民が命懸けで守るシーン。彼らは文字通り命を懸け、タリバンと銃撃戦を繰り広げる。そのかっこよさと言ったらもう言葉にできない。
これまで闘ってきた米兵士の事など忘れ飛ぶほどだ。ごめん、兵士さん。
頭にこびりつくシーンだ。
パシュトゥンワーリを映画で観たのは初めてかもしれない。
あれは、作品を全部持っていくくらいの最高の場面。
こういう言い方はどうかとも思うが書いておこう、アフガニスタンもイラク戦争も日本は支持した立場である。そしてそれを忘れたかの様になった。その日本人として観る時に、作品は違った意味を持つ。
実際に一人一人の亡くなった方々に対し、起きたことに対し、ずっと重たい。