劇場公開日 2014年5月31日

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万能鑑定士Q モナ・リザの瞳 : インタビュー

2014年5月26日更新
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国民的女優・綾瀬はるかと名画「モナ・リザ」が醸し出す絶妙な共通項

綾瀬はるかにとって、主演最新作「万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」(佐藤信介監督)は、座長として1年を駆け抜けたNHK大河ドラマ「八重の桜」のクランクアップ後、初めての仕事だった。綾瀬自身も「私自身、大河を撮影しながら『きっと、自分のなかで何かが変わるはず』という気持ちで、次の作品がすごく楽しみでした」と振り返る。実際には「それがそんなに変わっていない(笑)」といい、「久しぶりにお会いした佐藤監督からは『貫禄が出たね』ってやたら言われましたけど……。自分の成長って、自分ではわからないものですね」と、どこまでも自然体だ。(取材・文/内田涼、写真/江藤海彦)

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原作は松岡圭祐氏によるミステリー小説「万能鑑定士Qの事件簿」シリーズ。ヒロインの凜田莉子(りんだりこ)が、超ロジカルな思考と膨大な知識に基づく驚異の鑑定眼を武器に、さまざまな難事件を解決していく。

映画はファンの間でも人気が高い第9巻をベースに、仏ルーブル美術館の臨時学芸員にスカウトされた莉子が、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナ・リザ」の40年ぶりとなる来日の裏でうごめく巨大な陰謀に立ち向かう姿を描いた。昨年11月、日本映画として初めてルーブル美術館でのロケを敢行。すでに「警備員に直談判し、本物のモナ・リザと対面した」など大きな話題を呼んでいる。

近年「映画 ホタルノヒカリ」「リアル 完全なる首長竜の日」などに主演し、コミックや小説の映画化作品は初めてではない。ただし、今回はいきなり第9巻を原作に選んだため、莉子の「沖縄県の波照間島で生まれ育ち、かつては劣等生だった」というバックボーンが「脚本にはそれほど詳しく描かれていなかった」(綾瀬)という。その特殊なヒロイン像を演技で表現することは、大きな挑戦だったはずだ。

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劇中には莉子が、豊かな感受性を生かした記憶法を使って、たった一晩でフランス語を習得するというシーンがある。「莉子は興味のあることに対し、喜怒哀楽の感情と結びつけて、記憶に焼きつけていくんです。今回ならフランス語の辞書を手に、笑ったり、泣いたり、ときには本の匂いをかぎながら、言葉を覚えていく……。そんなシーンで(脚本には描かれない)普通とはちょっと違う、天真爛漫な人柄を表現できればと思いました」。

綾瀬自身もフランス語のセリフに挑戦。莉子と同じようにはいかず、「そうできればいいんですけど(笑)。実際にはクランクインの前に1回だけ、フランス語の先生からレッスンを受けました。最初はセリフをカタカナで書こうと思ったんですが、厳しい先生で『それはダメ』と怒られてしまって……。でも、結局いただいたテープを聞いて、全部カタカナにして暗記したんです(笑)。莉子のフランス語は“覚えたて”という設定なので、ものすごく上手じゃなくてもいいですよねって」

メガホンをとる佐藤監督とは、綾瀬が声優を務めた長編アニメーション「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」(2009)以来のタッグ。意外にも綾瀬が、同一監督と再び組むのは初めてのことだ。「顔の角度や動きのタイミング、間合いや言い回しのちょっとしたニュアンスまで、指示はかなり細かいですね。監督のなかにあるイメージに、ピタっと一致するまでOKは出ない。でもその分、完璧にこなしたいという意欲がかき立てられます」

そう語る綾瀬は、「フランスのシーンと、東京に戻ってからのシーンに統一感があって、全体的に『ここどこなんだろう』って不思議な気持ちにさせてくれる。東京のシーンで、あえて東京だってわかりやすい街並みを撮影していないからでしょうね」と、佐藤監督のこだわりをズバリ“鑑定”する。

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最後に、佐藤監督が指摘する“貫禄”について改めて感想を求めると「いやあ、いいんだか、悪いんだか……。でも出来あがった作品を見ながら、思っていた以上に莉子ちゃんの芯の強さがドシっと出ているなと思いました。監督が言う貫禄って、このことかなって(笑)」。

「経験が増えていくと、自分に『できること』と『できないこと』、『やりたいこと』と『やりたくないこと』が見えてきてしまう。でも結局はいろんな状況のなかで、一日一日を積み重ねていくしかないんだろうなって思っています。ちっちゃなこと…例えば毎日の食事だったりを大事にしながら、ハッピーに年齢を重ねていきたいです。細かいことは気にしません!」

誕生から約500年経った今もなお、名画「モナ・リザ」が世界中を魅了する理由のひとつは、見る角度や距離によって、まったく異なる表情を見せるミステリアスさにある。綾瀬もまた然り。今後もスクリーンという額縁のなかで、作品ごとに違った魅力を放ち、女優としての貫禄はますます増していくはずだ。

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