ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のレビュー・感想・評価
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何となく、何となく。
感動した!泣いた!素晴らしい!スタンディングオベーション!という、激しいまでの感嘆は湧いて来ないです。
登場人物達にしても、感情を迸らせるほどの激しい心の動きというのは、全編を通して皆無です。
なんと云いましょうかね、終始、ユルいです。
というか基本はロードムービーですからね。この手のジャンルって往々にして、物語運びがゆったりもったりしてるじゃないですか。
だからすんごい面白いエピソードが出てくる訳でも、大事件発生て訳でもない。かといって何も起きないって訳じゃあない。ペーソスでナードで、少しだけルサンチマン的な要素も入った、主人公達にとっては難儀な出来事の数々というか。
(偏屈で半分ボケかけの年老いた)父親の、我儘を遥かに通り越した駄々っ子的要望を、(人生の落伍者ではないんだけど何となく私生活や諸々に満たされてない)次男坊が、辟易しながらもそれに付き合ってやるという物語展開です。
次々と振りかかるユルいハプニングを通して、何となく心をかよわせ、何となく分かり合り、何となく互いを知り合い、何となく、僅かばかりの親孝行をして、そして日常へ帰る。
そんな、とある家族の数日間をモノクロ映像で、なのに鮮やかに描き切る、アレクサンダー・ペイン監督の手腕。今回も堪能いたしました。
いい映画だった
すごくリアルなアメリカが描かれていただんじゃないだろうか。美男美女が皆無! 主人公も普通だし、他の登場人物は老人と中年ばかりだった。
モノクロ映像がそのうち物語の展開に従ってカラーになると思っていたら最後までモノクロのまま。
お母さんがお墓で毒舌をかまして、スカートをまくる場面が最高だったけど、もし自分の結婚相手だったら嫌だな~と思った。
結末で、おじいちゃんが高額当選者みたいな様子で街を車で横切って行くのが痛快だった。
最近つくづく思うのだが、50手前にもなると、もはや成長も学習も向上もなくなり、どんどん諦めと惰性ばかりになるばかりになってきている気がする。子供が入れば見本になるような生き方をしたいと思うかもしれないのだが、そうじゃないので本当にどうでもいい。もう我慢なんかしていられるか、という気分で、この映画でおじいちゃんがリンカーンに行きたいって言うんなら行かせてあげればいいし、車の運転もさせてあげればいいと思った。
髪がぽやぽやしてた
サエない父ちゃんの話だが、息子の方もサエない。
仕事も微妙、彼女はもっと微妙、母ちゃんウザい…そんなサエない日々の息子、父ちゃんダシにとりあえず旅に出て現実逃避したいだけでは?と、最初思った。が、観続けるうちに、情けない父ちゃんを丸ごと受入れる旅は、父ちゃんに似て情けない所のある自分を受入れる旅でもあるんだなあとシミジミ。
父ちゃん演じるブルース・ダーンの、鼻毛がみっしり生えてる感じが良かった。ぽやぽやした髪の毛もイイ。うちのおじいちゃんに似てた。
入歯とかいろんなモノを探しまわるところもイイ。
くだらないモノを探して人生は過ぎていく。それを諦めではなく希望として描いているところがイイ。
家族愛の映画。
家族っていい。
現在の監督のなかでは打率が相当高いアレクサンダー・ペイン監督の新作である。
まだ53歳なので、これからもどんどん撮ってくれるだろう。
100万ドルが当選したという手紙がウディ(ブルース・ダーン)のもとに届き、ウディはその賞金を受け取るために単身ネブラスカのリンカーンに向かおうとする。
次男のデイヴィッド(ウィル・フォーテ)や妻のケイト(ジューン・スキッブ)は詐欺だとして取り合わない。
だが、頑固なウディはなんとしてもリンカーンへ行こうとする。
結局、デイヴィッドが折れて、ともに旅をすることになる。
アレクサンダー・ペインは僕と同世代で、だから、丁寧な人間観察には恐れ入る。
賞金当選がデタラメとわかって観ていて、でも、大金持ちになると聞いた回りの人間たちは、まさにハイエナのごとく寄ってくる。
人間の業というか性(さが)というか。
すごいのはケイトで、家では夫のことをボロカスにけなすのに、夫のお金は守ろうとする。ハイエナたちに一喝したシーンは胸がすっとした。
家族っていいもんだな、と久しぶりに思った。たぶんそれぞれに役割があって家族は成り立っている。
いい映画を見せてもらった。
また皆に会いたい
一言で言うと「(良い意味で)クソみたいな『グラン・トリノ』」でした。褒めてます。やってることは死ぬほどしょうもないのにこんなにも心動かされてるのか不思議になるという意味では『SRサイタマノラッパー』的とも思えます。どちらも好きな自分にはたまらない映画でした。
漫才のようなテンポの良いやりとりと絶妙に愛らしいキャラクターたちによって生まれる心地良い笑いとともに2人の距離が縮まって行く様が素晴らしい。こんなにゆったりとした気持ちになれる映画は初めてかも。ベストシーンは酒場の2人が向かい合って息子の出生について話すシーンと空気圧縮機のシーンですかね。兄弟出るシーンは全体的に笑える。
誰にでもお勧めですが、特に老人萌えする人は絶対見てください!!またあの親子や周りの人たちに会いたい!!
モノトーンがものたりーん
正気と狂気の境界線を綱渡りし続けるウディを演じるブルース・ダーンが良かった。
良かった。
登場人物が地味。
映像もモノクロームで地味。
ネブラスカ州への道程は何もなく広大な大地が広がるのみ、これまた地味。
この並びだけでは何も面白みがない映像が淡々と流れるように思えますが。
作中ではユーモアと家族の温かさ、そして田舎の澱みが描かれており決して退屈しません。
特筆すべきは父ウディ。
宵宵のウディは突飛な行動を繰り返しては周りを困惑させ続けます。
耄けてしまったのか。
いや、そうとも言い切れない所に本作の良さがあると思います。
耄けているようだけど、場面場面で「単に家族を困らせたいのでは」「故郷の面々の鼻を明かしたいのでは」というウディの悪意/悪戯心を感じます。
正気と狂気の境界線を綱渡りし続けるウディ。
本当はどちらなのかを分からせない所が本作の大きな魅力の一つだと思います。
その点で演じるブルース・ダーンの演技は素晴らしかったと思います。
ウディを取り巻く家族の面々も良い。
父と共に旅をする次男のディビッドの優しさ。
長男のロスと次男のディビッドのタッグの良さ。
そして母のケイト。
この母が話が進むについて印象が変わる点も良かった。
この父には、この母が必要だったということが徐々に確認する過程。
本作の楽しみ方の一つだと思います。
モノクローム映像も本作の魅力の一つ。
白黒映像が持つ懐かしさ、距離感が田舎を旅する彼等の姿とマッチします。
また色の濃淡が工夫されているため白黒なのに色鮮やか。
影の使い方やヒト/モノの配置も好きな作品でした。
地味だが味のある本作。
何もないネブラスカに実体のないモノを求めていくウディが、そして周りの人間が、旅を通して再確認するものは何か。
その過程、結論を見るため劇場に足を運ぶ価値はあると思います。
オススメです。
いい思い出ができた老父と、それを作った息子にほんのり
当たってもいない当選金の知らせを真に受けた老父に手を焼きながらも旅に付き合う息子が素敵。
何を言っても聞かず、ただただネブラスカを目指そうとする夫を罵る妻の口の悪さが、話に香辛料たっぷりのクセのある味付けを施す。
旅の途中で立ち寄る父親の生まれ故郷での出来事が、話の中心でもあり、ラストへの大いなる伏線でもある。
故郷の人々が大金を手にする父親を賞賛、妬み、たかりで取り巻くのは予想通りだが、父の過去や性格形成に触れることで父への理解を増す息子の心理がうまく描けている。
この作品はモノクロだ。町の人も含めて、心理の動きを表現しようとしたとき、たしかに色は不要かもしれない。不要というより邪魔か。モノクロにしたのは正解だと思えた。
コンプレッサーを取り戻そうとするシーンが笑えるが、モノクロだと昔のドタバタ喜劇を見ているようだ。
ついでだが、字幕が「空気圧縮機」になっていたが、あれは「コンプレッサー」でいいと思う。空気圧縮機? 普段、使わない言葉に、一瞬、何のことかピンとこなかった。
エンドロールを見ていたら、スタッフリストのヘアメイクが目についた。父親のあの無造作にばらけた髪の毛も計算されたものなのだろうなと思うと可笑しくなった。
あの髪と髭、ボケてるのかボケてないのか絶妙なバランスを作り出している。そんな父親のちょっぴり鼻息荒い凱旋と、息子の思いやりがほんのりさせるラストが見もの。
アレクサンダー・ペインの作品は、どれも幸せ気分に浸れるラストが待っている。
未完成感
5人の大統領が崖に掘り込んである有名な山を見上げながら、「感想は?」と息子に尋ねられた老いた父親の言葉は「未完成だな」。真っ正直を絵にかいたような息子の期待をはぐらかすくせのある大酒飲みの父親。宝くじで1億円が当たったと周囲に吹聴しているが、0.000001%の確率を楽しんでいるにすぎない。本来、宝くじとはそういうものだ。当たっているかいないかわからない時の流れる間がすべてである。
その時間を描くには、人生のゴールが近い父親がとりつかれたように宝くじの結果を求めて突き進む密度が必要で、その密度が滑稽さを通り越して痛々しい。死を覚悟した老人に引きずられるように、会いたくもなかった親戚・家族・昔の友人が寄ってくる。いや、真っ正直な息子がおせっかいをやいているだけだ。父親にしてみれば親孝行のつもりの息子から逃げたいのだが、肉体の衰弱には勝てず、息子と旅に出て、人生を振り返ってしまう。
ロードムービーといっても、車はあまり走らない。金目当ての旅なのに1500kmを3日もかけて走るから、走りたいのか休みたいのか、よくわからない。老いた父親も金が欲しいのか欲しくないのかもよくわからない。旅の途中で酒ばかり飲んでいる。宝くじに当たっているはずがないのに、当たっていないことを確かめなければ旅は終わらない。当たっていないことがわかったら旅は終わる。そのむなしさがこのロードムービーの命である。
宝くじ発行元の事務所で、パソコンで当選番号を確認して、当たっていないことがわかってから息子が本領を発揮して、父親の昔の友達に一泡吹かせる。旅も終わり、人生ももう終わる時に、最後に旅を楽しもうという趣旨のようだ。いたずらをする面白さの効果をどうとらえるかで、映画に対する印象は変わるので、最後の展開については、賛否が分かれると思う。
優しくなりたい。
つい先日「私立探偵 濱マイク」の感想を書いたと思ったら、
なんと今作にご本家のマイク・ハマーが出てきたので驚いた。
主人公の人生に何かと絡むエド役がその人。
アカデミー賞にもノミネートされた本作。
全編モノクロームで、モンタナ州からネブラスカを目指して旅に
出た父子の珍道中を描いている。
冒頭、高速道路をおぼつかない足取りでとぼとぼと歩く老人。
パトロール警官に、どうして高速道路を歩いているんだ?と
聞かれ、宝くじに当選したから貰いに行くんだ、と平然と答える。
次男が連れて実家に帰れば、口煩い母親がまたやったの!?と
この父親を責め立てる。あ~一度や二度じゃなかったのね^^;と、
この爺さん、もうきてるんだなぁ(表現が悪いですけど)と思った。
すでに自分の親も、いつこんな風に歩き出すか分からない運命を
抱えた年齢になってきているので、他人事とは思えない。
物静かながら眼光鋭い視線のB・ダーンは昔の面影を失わず、
淡々とこの老人を演じている。口喧しい妻のJ・スキッブなど、
その年齢でそんな下ネタ言うかよ!?と思うほどの熱演である。
代理キャスターとして働く兄と、お人好しで何かと不運続きな弟。
強固な決意の父親に同行することになった次男が、その道中で
父親の知らなかった過去に触れていく…というロードムービー。
昔の貸し借りをネタに次々と賞金にあり付こうとする親類や知人。
詐欺だといっても信じて貰えず、渡さないなら人でなし呼ばわり。
挙句には手紙を盗まれて、バーで詐欺をネタに大笑いされる始末。
過去の借金や(お互いにね)酒のツケなどを引き合いに、あさましい
やりとりが展開するが、どれもあぁ有りそう…と思うことばかり。
当選しても誰にも言わない方がいいのはこれがあるからだ。
私的に心に残ったのは、もちろん最後のシーンではあるのだが、
賞金を貰いに行った会社で、最後にふと息子が聞いた
「こういうことよくあるの?」に対し「たまにね。アルツハイマー?」
と受付女性が応える一コマ。残酷な運命を提示しながら、どこか
貴方がいるからお父さんは幸せね。と告げているような気がした。
運転を代わった父親の誇らし気な笑顔は、いつまでも胸に残る。
(現実を受け容れ、感謝し、恩返しをする、それができるうちに。)
遺すもの、世代交代…そして道は続く
アレクサンダー・ペイン監督の前作「ファミリー・ツリー」を観賞後に本サイトにレビューをアップしたが、その後もう一度見直してみると以前より全然良くて、イマイチ分かってなかったことを実感した。
何度観てもいいかなって思うくらい見飽きない映画だし、新しい発見があるし、時が経つほどジワジワ効いてくるものがある。
そして本作も静かに静かに効いてきます。
きっとまだ分かっていないとは思うけど、A・ペイン監督を受け入れるだけの引出しみたいなものが備わった分だけ以前よりもずっとこのオフビートで何も起こらないんだけど奥が深い感じを飲み込めるようになった。
きっと本作も時間と共に昇華していくに違いないだろう。
横長のシネスコープにモノクロの画面一杯に広がる風景はどこか見たことのあるような、そしてどこの地方にもありそうな人間関係…いゃあ、分かるなこの感じ…そしてこれまた静かに訪れるカタルシスと…
小津安次郎作品が好きだというA・ペイン監督だけあって日本人には受け入れやすい映画だと思います。
とにかく良い映画でした。
懐かしい風景
アメリカの内陸地方は本当に何もなく退屈。しかもくじに当たったなんて知ったら、少しボケたウディーでなくてもその気になってしまう。この映画はモノクロというより銀と灰色の感じが、その年寄りのウディーと街の殺風景さを象徴している。ボケもあるが純粋なウディーはひたすら信じてリンカーン市へ向かう。それに付き合う次男の優しさ。子供って出来の悪い子程、最後は孝行するとは周りでもよく聞く話です。そして大金の話を知った親戚や元の友人達のたかる姿は人間の一番嫌な所がむき出しでゾーッとしましたが、ウディーだけでなく、そういう人々も悲しい。あのお母さんも口が悪く下品だけど、頑強に子供達を守る姿がチラリと見えてほっとしました。全ての人々から見えたのは、貧困さ故、皆がこんな生き方していると・・。たった1%の金持ち以外は皆貧しいアメリカ国民。なんか切実、だけど、そんな中でも家族は助け合い寄り添う。心温まる映画ではありますが、元仕事仲間のずるさ(次男が殴ってスッキリ!)とか、最後にたどりついた偽のくじ売り場の女性事務員が「アルツハイマー?」とか「高齢者にありがちよ」と当たり前な顔して言ってた場面見て愕然と落ち込んだのは私だけだろうか?あまりに現実すぎて後味悪かったでした。救われたのは次男の車とトラックを交換できて、ウディーが運転できたこと。80年代のあの頃を思い出しウルウルしてしまったのでした。
個性的な?おじいさんとおばあさん
に振り回される息子のロードムービー。
咬み合わない親子、強い母親、30代中盤・自分の
年齢からかもしれないが、グッと来るものもクスっ
とする会話のやりとりもあって面白かった。
ただ、ほかのレビューの方も書かれていますが、
大きな期待は禁物です。
淡々と物語は進んでいきますが、最後はOKじゃないですか?
なかなかのスバルアウトバック映画で
スバルオーナーの僕には大満足!
平々凡々
私だったら…
身につまされる
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