ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のレビュー・感想・評価
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親父には共感できないが仕方ないか
宝くじ当選者に人が群がるという話はいかにもありそうだが、
この映画の場合、主人公が本当に当選したかはかなり疑わしい状況で、
しかも主人公に群がる親族友人には、その分け前に預かるための正当な理由もない。
そういう半端な状況にもかかわらず、人間関係が破壊されても構わないような
強気な態度で無心をする親族や友人が多い。状況的にありえないだろう、と。
リアリティが感じられなかった。
父子の触れ合いもいまいち共感できなかった。
子の父を想う気持ちは素敵だが、父には共感できない。
詐欺の証拠が揃っているのに、そこを直視せずに本当と信じ込もうとしたことや、
子に大きな迷惑をかけるとわかりながら旅に付き合わせたこと、
乗れもしない高額な車やらを裕福でもない息子に買わせたことなど、
父のやったことは、子に相当な負担をかけることばかりである。
息子が、悠々自適に暮らす金持ちならいいだろう。
だけど、この映画の主人公のような庶民にとっては
数週間に渡る休暇の取得や数百万円の買い物は、本当に痛い。死活問題である。
この父は、息子がそういう苦しい状況になるということまで考えただろうか。
親子関係は千差万別だが個人的には、この父には共感できないの一言に尽きる。
のんびり観られる映画
言っても仕方がないが、どうせならカラーで観たかった。たくさんいい画、景色があるんだから、そっちで観たかったかな。アメリカの殺風景な田舎の感じは結構興味そそられる。たぶん、アメリカ人には生活感ありすぎてあんまり映画にはしない映像。
ゆるい笑いを撮るのが上手い。あと「そこらへんにいるなんてことない人」ぽいキャストをよくこれだけかき集めたものだと感心する。まあ、のんびり観られる映画。
あえての白黒映像、味があります。 最初は呆けた爺さんの痛い、辛い、...
年寄りってこういうもん(^^;;
だから何?
●男は面倒くさい生き物だ。
地味に面白い
とにかく頑固
主人公はとにかく頑固。それも最後までちっともかわらず。それなのにラストはスカッとして見事。まるで自分があの町にたたずみ、彼の運転するトラックをゆっくりスローモーションで見送ったかのような気持ちになる。
規格外に癒された
なんでこの映画をDVDなんかで観てしまったのだろうと後悔です。
まず!
じじいばばあが小汚いのがいい!!
映画内の老人は小ぎれいにされてて設定年齢より実年齢がかなり下の俳優だったりってパターンでがっかりすることが多いのですが、さすがペイン監督だと思いました。だからこそ癒されるし、本気でムカつける!最高!!
一回の「ファッッキュー!!」と一発のパンチにこんなにもカタルシスのある映画がかつてあったでしょうか!
人物描写も素晴らしかったです。
お母さんがやたら親類や近所の人の情報に長けてるところは僕のおばあちゃんそのものでした。
涙が流れはしませんでしたが、胸を打つシーンが次から次へと押し寄せ、心をバシャバシャ洗われたような感覚がありました。
最高。
いい旅はいい関係を築く
100万ドルに当選したというインチキ臭い手紙を信じて疑わない老いた父と、そんな父を目的地まで連れて行く事になった疎遠の息子。
1500kmにも及ぶ父子旅。
派手な要素も劇的な出来事も一切無い。
淡々とした展開で、ユーモアとペーソスと、しみじみとした感動が染み入る。
ハリウッド映画と言うより、まるで日本映画を見ているよう。
旅の途中立ち寄った懐かしの地での親戚や旧友の人間臭い描写なんて、山田洋次の映画でよく見る。
ロードムービー×人間ドラマを描かせて、アレクサンダー・ペインに並ぶ者は、今、ハリウッドでもそうは居ない。
ブルース・ダーンが俳優人生晩年になって、最高の名演!
無口で頑固者、半分ぼけているちょっとの愛らしさ、そして滲み出る哀愁…この枯れた味わいは絶品!
息子ウィル・フォーテも受け身の好演。呆れつつも常に父の傍に寄り添い、何て孝行息子!
一際印象を残すのがジューン・スキッブ。
毒舌・下ネタの老いた母だが、金の無心に来た親戚を一喝するシーンは、座布団10枚!
白黒の映像が素晴らしい。ペン画のような美しさ。
この素朴な物語に白黒の映像が見事に合い、より作品の効果を上げている。
懐かしの地で母と長男と合流。
親戚や旧友から思い出話、困った話を聞く。
良くも悪くも、ちぐはぐだった家族が一時集う。
怪我しても体調不良になっても、100万ドルに執着する父。
その理由に、不器用な父の愛を知る。
父を馬鹿にして笑う父の旧友へ息子がお見舞いした一発。
ラストの息子から父へのプレゼント。
間違いなくこの旅は、意義あるものになった。
ロードムービーらしい
ウラハラな作品でした。
何だか、心がホカホカと温まり、ラストはホロリと味わい深いですね
先ずこの映画の舞台はアメリカ中西部の片田舎と言うのがグッと心に沁みた。
そして映像はモノクロで、いかにもここ数十年殆んど大きな変化も無く、この街では総ての時間がゆったりと流れている、そんな感じのノスタルジックで、スピード感も無く、
スローでテンポを抑えた画作りは、私の心をドップリと物語の中へと引き込んでいった。
牧草地帯の多いこのネブラスカ州では、主な産業と言えば農業が中心なのだろう。
緯度的には北海道と同じ位に位置しているこのネブラスカは我が国の本州程の広さが有る広大な酪農、農村地区。
何だかこう言う片田舎の街道をずーっと旅するロードムービーと言うのは本当にそれだけで、物語になる。
人間は誰でも個人では生きられない。集団生活を営む事で進化を遂げて来た。そんな人類の遺伝子の中にはきっと、農耕生活を続けて来た先祖の遺伝子が、世界中のどんな人々の中にも受け継がれているのだろうか?それ故か、田舎暮らしの経験の無い自分もピタリとこの世界観にハマってしまったのだ。理由は定かではないにしても、思わずそんな気持ちをも想い起こさせるような、不思議な親近感を感じる物語であった。
そしてこの作品の主人公のウディ爺さんを演じているのが、ベテラン俳優のブルース・ダーンと言うので本作を観ようと決めていた。
彼はあのハル・アシュビー監督の「帰郷」や「ひとりぼっちの青春」「名犬ウォントントン」ヒッチコックの「ファミリープロット」などジャンルを問わず様々な名監督の作品に出演してきた。近作ではコッポラの「ヴァージニア」やタランティーノの「ジャンゴ」にも出ている。そして近年リメイクされた「華麗なるギャツビー」がヒットして、再び「華麗なるギャツビー」の話題は大きく取り上げられたが、ロバート・レッドフォードの宿敵であるトム・ブキャナンを演じていたのだから彼がいかに人気実力共に有る俳優であるか今改めて思い知らされるのだ。
そして賞金を貰える事を信じて、バカと罵られようと何故ウディがこの旅を始めようとしたのか、その動機が最期の方で明かされるのだが、これには本当にノックアウトさせられました。思わず廻りも気にせず号泣してしまいましたね。
何だか自分も段々と年を重ねて来たのか分からないが、人の優しさに触れるとついつい涙腺が緩んでしまいます。特に大きな事件や、変化などドラマチックな出来事も無い平凡な日常こそ、最も愛おしく、素晴らしい輝きを放っている時間だよね。
アレクサンダー・ペイン監督の描き出す家族の肖像には、何処となく小津監督が描き出して来た人間の原点を重ね合わせて観てしまう。貴方は彼の作品をどう観るのでしょうか?
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