アバウト・タイム 愛おしい時間についてのレビュー・感想・評価
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名匠リチャード・カーティスが最後の監督作でたどり着いた柔らかな境地
日常の中でふと、この映画について思い出すことがある。自由な時間が無限にある若い頃には気づかなかったかもしれないが、大人になって、歳を重ねて、自分がもう後戻りはできないのだなあとつくづく感じる瞬間に、「時間」や「人生」について描いたこの物語の優しさと切なさがぎゅっと胸を締め付けるのだ。
主人公は代々、タイムスリップする能力を有している。が、どれだけ行使しようとも、決して完璧な人生が送れるわけではなく、むしろ大切なのは、誰か大切な人と共にある「ありふれた時間」ということに気がつくのだ。かくも登場人物が何ひとつ特別な何かを成し遂げるわけではないからこそ、観る者はそこに映画と現実の隔たりを感じることなく、彼らに深く共感せずにいられなくなる。ささやかだけれど、ここにリチャード・カーティスが「最後の監督作」として描きたかった境地があるのだろう。自分を見失いかけた時、そっと寄り添ってくれる名作である。
一日一日を大切に
ある家庭で、男たちだけは特殊な能力を持っている。
それは《タイムトラベル》が使えること。
過去に戻り、やり直しはできるけれど、
未来には行けない。
方法は「クローゼットに入り暗くするだけ」
クローゼットを出ると少し過去に戻っていて、
やり直すことができる。
21歳になったティム(ドーナル・グリーソン)は
父親(ビル・ナイ)に特殊能力(タイムトラベル)があることを
告げられる。
ティムはほとんどを女の子との、出会いや告白とか、
ラブの成り行きに使っちゃうんです。
メアリー(レイチェル・マクアダムス)との、心温まる会話や
デート風景が楽しい。
これちょっと“反則では?“と思ったのは、
はじめてメアリーの部屋へ入った日のこと、
初ベッドインの一回目・・・
ティムは緊張して、ぎこちなく、やや不調‼️
そこで、クローゼットに入って初ベッドインの二回目・・・
さらに初ベッドインの三回目⁉️に挑戦、
妙に場慣れしてきて、メアリも、訝しがります。
(これって都合良すぎません?)
でも爆笑でした。
そんな調子で、気儘にティムは
妹ボーイフレンドを、、
遊び人から真面目な彼に交換したり・・・
思いの外、ほっこりするいい映画です。
何気ない日常の一瞬、一瞬が大事だと
気付かせてくれます。
時空を超えて、ちょっとユニークな
心温まる映画でした。
父の辿った道のり、息子が歩む人生
男だけに過去と現在を行き来できるタイムトラベル能力が受け継がれる一族。
21歳の誕生日に父からそれを告げられたちょっと冴えない息子が主人公です。
ヘマをする度に時間を戻ってやり直せる。なんとも魅力的な能力に思われますよね。
けれど、何度かのやり直しと父との対話を経て、人生で変えたいもの、変えたくないもの、変えるべきではないもの、変えてはいけないもの。それが主人公の心に形を成してゆきます。
プロポーズを決意するエピソードなんて、もう最高!
過去に戻ってやり直しをすれば、いつか理想の人生を歩めるのか?
その答えを求める人は是非、観てください。
同じ監督の別の作品がデジタル・リマスター版で公開されるに先立ち、見逃していた本作をAmazonプライムで視聴しました。
細部にわたるまで素晴らしい
ストーリーはもちろん、背景に至るまで作りが緻密で丁寧で、完全に没入。
泣けるし、見終わってからも、しみじみする。
日常美を描いた作品だと思う。
ちょっとしぼんだ気持ちの時に思い出したり、
とても楽しい気持ちの時にも思い出したりする、そんな映画。
好きだなあと思った細かいシーンは、主人公の妻(彼女の時も)が、眠くてベッドからでないシーン。たしか2回あったと思う。起きなきゃいけなくても眠くて仕方ないから無理、という感じで、そして幸せそうにすやぁっ、むにゃむにゃ、するところ。
日々の幸せと愛情を感じられている人にしかできない演出だなあと思った。実に細やか。
後悔の毎日
後悔ばかりの人生に祝福を与えてくれる映画
上手な生き方ができなくて、いつも後悔ばかりの人生。タイムトラベルの能力があれば、ぜひ使ってみたい誘惑にかられる。でも、この映画は教えてくれる。何度人生をやり直しても、結局は同じ。それよりも、未来から来た自分として、その日を精一杯生きること。そんな幸せの秘訣を、コミカルに教えてくれる。生涯ベストの映画です。
タイムトラベルをテーマにした映画の中では、この作品の右に出るものはないだろう!
タイムリープでパラレルワールド
モテない弁護士の主人公が、20歳の誕生日に「実はタイムトラベルできるんだ」と父から聞かされ、その能力を使って、彼女作れるだろうか、という話。
俺は、そう思い込んで観ていたが、タイムトラベルによって、恋愛を成就しようとする前半は、刺身のツマだった。
20歳から40歳までを、ゆっくりと観ていく映画、というのが正しいのかもしれない。そう思えば、タイムトラベルの制約とか前提があまりにも適当なことも我慢できる。
たしかに、ずっと観ていられた映画だった。
自分にはあまりハマらなかったけれど。
壮大なおまけ
「タイムリープして違う行動をとったら、これまでの世界と別の世界が出来上がる」というパラレルワールドの話を聞いたことがありますか? でもそんなちっちゃなことで枝分かれして 10の50乗トンもある宇宙が2つになったり3つになったり増えていっていいのだろうかとふと思いませんか。この映画の結果なんて、どんなことになっちゃうの、そんなの無理って、思いませんか? 俺は思ってました。
でも、ある漫画が「そうじゃないよ」と教えてくれたので、紹介しておきます。
原作は光瀬龍の描いたSF小説「百億の昼と千億の夜」、漫画にしたのは萩尾望都。
主人公の1人であるアシュラ王が、世界を、無限の距離とも思える端から端まで、かつ時間の面でも56億7千万年と言う悠久の時間を渡ってきてのエンドシーンです。
アシュラ王にどこからともなく聞こえてくる、外の世界?からのふたりの話し声。
A. 「…なんだ? 反応炉に変な粒子集団が生まれてるぞ」
B. 「慌てるな。自然消滅因子を流し込んでおけ。それで問題ない」
アシュラ王が
感じたであろう「俺が渡ってきた世界が、彼らから見たら、泡のひとつに過ぎない大きさだと言うのか!? 」という驚きは推して知るべし、です。
実はこの小説、このマンガ。こんな例えに使っていいような代物ではなく、壮大な、誰もが一度は読んでみてほしい話です。アシュラ王の最後の驚きも、実は先に書いたことだけではありません。残念ながら、映画化はまだされていないので、こんな形で紹介しました。あはは。
英国貴族とのシンデレラ物語
10年前に見逃して、後悔したので、再上映(特別上映)を機に、観ました。
典型的な英国片田舎の貴族の"お気楽青年"が、典型的なタイムトラベルする話で、
ストーリーは、誰もが予想する範囲で進行する、出尽くされた古典に属する映画展開であるが、
タイムトラベル機能を 恋愛以外に使わない主人公の潔さには感心する。
沢山の事案を、映画に詰め込むと、作品が混沌とするので、あえて切り口を「結婚」の1つだけに限定したようだ。
この映画が言いたい事は「もし あの時。。。」と言って後悔や反省をする事が何事にも多々あるが
人は、"一合一会"に生きることこそが大切であるという事。
ただ、気になった事として
あんなに良くしてくれた祖父とセットである バージョン違いの選択をしない事だ。
確かに、人間は 同じような遺伝子条件から生まれても、顔かたちが、少なからず 変わってくる。
「人間は外見ではなく、心が大事」ならば
同じように育った人間は、姿 形が多少違っても 中身がほぼ同じだという事
その違いよりも、祖父との数々の事柄の方が、下なのか?
僕なら、"思い出"を選択します。
日本人の僕としては、彼女の刺青がどうも、違和感があって。。。
貴族のおぼっちゃんが恋するのが
出会い系に出入りするアバズレで、シンデレラストーリーとしては、上下バランスが取れてよいのだろうが。。。
この映画を観比べるなら、「青春18×2 君へと続く道」のように、
タイムトラベルなく、過去を振り返る映画に共感してしまいます。
なんだかくすぐったい・・・
イギリス人ってファンタジーが好きですよね。アリスだったりピーターラビットだったりPoohだったりハリーポッターだったり・・・きっとどんより暗い気候と長い冬が暇を持て余した彼らを空想の世界に駆り立てるんでしょう。
この作品もイギリスを舞台にした空想の物語。日常に起きる大小様々な失敗を過去に遡ってやり直すことが出来てしまうっていうお話。勿論そんなこと実際にはありえないんだけど、設定があまり大袈裟ではないからか、白けることもなく、観ているうちに「あったらいいのになぁ」って気にさせられて、なんだかくすぐったい感じ。
ロマコメなんて正直もう興味はないんだけれど、歳を重ねるにつれてどうしても「あの時ああしておけばこうだったのになぁ」なんて考えてしまうことが増えてしまっていて、この作品には感情移入させられてしまいました。万が一人生のその部分をやり直せたからってその後に完璧な結末が待っているなんてありえないことはわかっているんですけどね。何だか切なくもなりました。
「あなたにとって人生ってどうなのよ」って優しく問いかけてくれたような気がした素敵な作品でした。
後悔から希望へ
お恥ずかしながら、今回初鑑賞でございます。初めてが映画館で、本当に良かった。ロマンス映画なのに、映画館で見るべき作品。Filmarksさん、ありがとうございます😊
なんとなくのイメージとは結構違って、かなり穏やかで温かい映画だった。洗練された美しい脚本に魅了され、ワンシーンワンシーン、鮮明に刻まれていく。心に留めて置きたい映画とは、まさにこのこと。タイムリープを通して何気ない日常のありがたみを感じる、というのは王道な筋書きだけど、本作は近年のタイムリープブームの先鋭だろうし、ファンが多いのも大納得の高品質。いや〜、好きだな〜🥰
ロマンス以上に家族愛を色濃く描いた、素晴らしい作品。父親役のビル・ナイが言葉にならないほど最高。こんなお父さんになりたいな。こんなお父さんが欲しいな。タイムリープを繰り返して得られたのか、誰よりも落ち着いていてカッコイイ。タイムリープを読書に使うところもすごく良かった。もし自分がこの力を手に入れたら、同じように映画を見まくるだろうから、よりね笑
大切な人と見たい、イギリス生まれのラブロマンスの傑作。こんな幸せな気持ちになれるとは。途中、マーゴット・ロビーに浮気しちゃうんじゃないかヒヤヒヤしたけど笑
少子化対策映画
幸福な人の為の生老病死冠婚葬祭映画
ジューンブライド特集とかでなんかやってたので観てみました。
おお・・・ほぼほぼ満席(しかも若いカップルが意外と多い?)
なるほど、よくできたラブストーリー映画でした。
この作品の設定だけを読んでSF作品かと勘違いして観てしまった方にとっては確かにSF的な要素はかなり薄く(設定も結構雑ですね)肩すかしになるかと。あくまでラブストーリーだったり人生観にまつわる作品ですので。
絶賛や肯定的な評価が多いので敢えて別の視点で書いてみます。
この作品を素直に観れてしまう方って、おそらく「既に幸福」な方なんだろうな、と思われます。
既に幸福の渦中にある人が、自身が幸福である事を噛みしめたり確認する為の作品、と云えるでしょう。
大衆エンタメ作品というのは多かれ少なかれポルノ的要素があるもので、それは性的表現という意味合いではなく、「人の心の弱さに寄り添う」というニュアンスでのポルノ的要素です。
そしてこの作品も、既に幸福な人のためのポルノであると云えるでしょう。
主人公の青年はイギリスの片田舎の裕福な家庭に育ち、異性にはあまり積極的ではないところがあるものの、「能力」を駆使してどんどん突き進んでゆくわけですが、金銭面での問題はまるで描かれずサラッと弁護士の卵だったり周囲には多少癖がありつつも重篤な問題のある人間は居ないわけですね。異性を奪われたら能力を使って奪い返せばいいわけで、敵が存在しない(存在しなかったことにできる)。
唯一、妹だけが愛着障害だったり発達障害的な要素でもって問題を抱えている描写がありますけども。できるだけ助けようとはするものの妹は二の次、主人公にとっては自分第一。
子供も1人、2人、3人、と経済面については何の心配もする描写無くつくってしまう。そのあたりのストレスを描写するとこの作品のテーマがブレてしまうのもわかりますけども、そういう側面においてストレスフリーなのがこの作品のポルノ的ファンタジー的側面でしょうね。ポルノ的だからわるいのではないのです。ポルノ的な側面をそうだという認識を把持したまま愉しむことが大事だと私は思います。
主演の女優さん、とても魅力的だと思いました。
人生を軽く考えている印象に映る
コメディでも無い普通の世界観なのに、タイムトラベルができるという設定から、あまり興味が無かった今作。しかし評価が高いので観てみた。
男女が恋愛をし結婚して子供を授かり幸せな家庭を築くストーリーは、タイムトラベルができるという点を除いては割と普通の内容。だがそこが良く、彼らの幸せに感情移入できる。
自分に都合の悪い事態が起こると、何度も過去に戻ってやり直す肝心のタイムトラベルも、こんなことができたら良いなと想像したこともあり面白かった。
タイムトラベルを通じて日常の大切さに気づくのがこの映画のテーマなのだろう。しかしそれよりも、タイムトラベルが日々の決断の重みを失わせ、一回切りしかない人生を軽く扱っている印象の方が強く残った。人生には嫌なこと辛いこともある。だが、ゲームのように後戻りできないからこそ真剣に向き合うようなる。それを自分に都合の悪い事態が起こる度にやり直そうとするのは、人生の喜びさえ失う態度に思えた。
ただ一言
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