「ひろしは日本のとーちゃんだゾ」映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ひろしは日本のとーちゃんだゾ
お馴染み映画クレヨンしんちゃん第22作目。
最初、今回のあらすじを聞いた時はびっくり。
ロボとーちゃん!?
しんのすけと遊んでいる最中、ぎっくり腰になったひろし。美女に誘われた怪しいメンズエステで、何とロボットに改造させられてしまった…!
パッとしないと言われる最近の作品。
今回もその一本に?…と思ったら、あちこちで高評価の声。
で、実際に見てみたら…
「オトナ帝国」「戦国大合戦」に並ぶ傑作!…とまでは言わないが、ここ最近の中では素直に一番面白かったと思う。
クライマックスの巨大ロボットバトルはご愛嬌として、数々のロボット映画ネタにニヤリ。
「意外とラクチンだね、大人の階段って」「ぼんやり上ってると大人になってから大変」の台詞や、黒幕の分からんでもない動機は、大人には苦い笑い。
そして、ラストの親父の決着にジ〜ンとする。
考えてみれば、映画でひろしがメインになるのは初。
何より家族を愛するひろしの姿を通じて、家族の絆を描く。
映画クレヨンしんちゃんの普遍的なテーマは今作でも健在。
何だかんだ言って、今を代表するホームアニメなんだな。
頑固親父が居なくなって久しい昨今。
ロボとーちゃんの裏には、頑固親父を復活させて日本を鍛え直そうとする“ちちゆれ同盟”の大陰謀があった…!
日本の父親の在るべき姿って?
昔ながらの頑固親父?
冴えないけど親しみ易いパパ?
ひろしは後者。
腰痛めて安静にしていたいのに、せっかくの休日あれやこれや雑用片付けて欲しかったと言われる始末。
子供はパパの体よりTVの心配。
切ないわ…。
だけど…
マイホームを持ち(ローンは32年)、車を持ち、犬も飼い、子供は二人、一応企業に勤め、それなりに役職にも就いている。
確かに冴えないけど、家族への愛情は溢れんばかりで、時には家族の為に体を張る。
ひろしって案外、理想の父親像?
毎回名台詞が多いのもひろし。今作でも…
「押し付ける事がしつけじゃねえんだ。自分からやらなきゃ意味がねえんだよ!」
「子供が俺たちのエネルギーだろ!」
時代と共に父親像が変わっていくのは必然。
頑固親父はもうなかなか居ないかもしれないが、いつだって家族の中心に居るのは、ロボットのように頼りがいがあって、家族の事を考えてくれる父親。
とーちゃんはとーちゃんなのだ!
最後に、納谷六朗さんのご冥福をお祈りします。
園長先生、好きでした。