劇場公開日 2014年4月19日

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「涙を流さざるを得ない『“子供”も楽しめる大人向け映画』でした。」映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0涙を流さざるを得ない『“子供”も楽しめる大人向け映画』でした。

2014年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

良かった。
確かに良かった。
…ですが、違和感や小聡明さも感じる作品でした。

劇場版のクレヨンしんちゃんを鑑賞するのは実に12年ぶり。
02年公開 第10作目『嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』以来。
まず12年観ていないシリーズモノを自然に観ることが出来た点に驚きました。
12年間変わらない、そのブレなさに若干の感動すら覚えました。

本作の主軸はロボットひろし。
ロボットとなった父 ひろしが招く混乱を描きつつ、事の原因となる組織の陰謀に立ち向かう野原一家が描かれています。
ここで或る設定が咬まされることでロボットひろしの存在が厄介なモノに。
中盤から煽りに煽って迎えた終盤。
正直、泣きました。涙ボロボロ出ました。

が、鑑賞後暫く時間がたち思い返してみると。
言い知れぬ違和感が。
元のひろしとロボットひろしの違いは何であろうか。
人格も記憶も同じ。その違いは身体、つまり生身か否か。
その点こそが重要かつ大きな違いなのかもしれませんが。
じゃ、同じく生身の体を持つクローンひろしだったら本作のような結論になるのか。
映画「オブリビオン」のラストに抱いた違和感を思い出すと共に、アトムを身勝手な理由でサーカスに売り払った天馬博士を観ているような気分に。
或る人物の葛藤無き急激な掌返しも含めて、あのような展開になって好都合でしたね、という嫌な印象すら受けて若干のモヤモヤ感が残っています。

また話全体を通して、『“子供”も楽しめる大人向け映画』という印象。
本来は『“大人”も楽しめる子供向け映画』という丁寧かつ深い作りが評価を受けていたはずでしたが。
その評価を意識するがあまり、催涙弾のような強制的に泣かせにかかる話の設定や随所に差し込まれる小ネタは完全に大人向けだったと思います。
鑑賞中の子供の雰囲気を確認できてはいないのですが、本作は子供が楽しめたんでしょうか?

半ば強制的に涙を流さざるを得ない本作。
半永久的に続ける想定のシリーズモノの枠内で大きな挑戦をしたのは確か。
中盤以降の展開に違和感や小聡明さを感じたのは、自分が薄汚れた大人になってしまったからかもしれません。

オススメです。

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Opportunity Cost